崇城大学生物生命学部の宮坂教授らの研究が科学技術振興機構(JST)の社会還元加速プログラム(SCORE)に採択 -- 光合成細菌で病気に強いエビを育てる|The大学Times

崇城大学生物生命学部の宮坂教授らの研究が科学技術振興機構(JST)の社会還元加速プログラム(SCORE)に採択 -- 光合成細菌で病気に強いエビを育てる大学通信 2018.8.30

 研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム<社会還元加速プログラム(SCORE)>では、自らの技術シーズを基にしたビジネスモデルの策定と実用検証可能な最小限の試作品の製作を行い、想定される顧客などから評価を受ける。その評価結果や社会ニーズを次の研究開発にフィードバックさせてビジネスモデルのさらなる実現化・高度化を目指すとともに、事業化に向けた改善サイクルの経験を通して、起業および経営に必要な能力の向上やネットワークの形成を図る。
 今年度は35件の応募があり、17件が新規課題として採択された。

 宮坂教授と古賀さん、後藤さんは「水産プロバイオティクスの事業化のための養殖現場での実証試験」をテーマとして、海産性光合成細菌のクルマエビ養殖における水産プロバイオティクス(※1)効果のエビデンスを得るために、顧客候補のクルマエビ育苗タンクおよび養殖池で投与実験を実施。その結果をもとに検証を行う。
 この研究により、病気に強いエビを育て、クルマエビ養殖業の発展に貢献することを目指している。

【テーマ】 水産プロバイオティクスの事業化のための養殖現場での実証試験

【メンバー】
<研究代表者>
 宮坂 均教授(崇城大学 生物生命学部応用生命科学科)
<E L(※2)>
・古賀 碧(崇城大学 工学研究科博士前期課程応用生命科学専攻2年)
・後藤 みどり(崇城大学 工学研究科修士課程応用微生物工学専攻1年)

【研究の背景と現状の問題点】
 わが国のクルマエビ養殖は1970年頃から1980年代後半まで急速に生産が伸びたが、1990年代前半からウイルスやビブリオ菌、カビ感染による病害が多数発生し、それ以降は生産が低下した。現在病害は小康状態だが、毎年各地でさまざまな病害が報告されている。
 クルマエビ養殖では薬剤は一切使わないため、水産プロバイオティクスを用いて健全なエビを育てることへの養殖業界からの期待は大きなものがある。また、東南アジアでも早期死亡症候群(EMS)というビブリオ菌感染による被害が深刻化している。現在有効な対策はなく、本発明のエビにビブリオ菌抵抗性を付与する光合成細菌は有効な対策手段となりうると考えられる。

【研究の成果】
 熊本県上天草市の海岸から分離した海産性光合成細菌Rhodovulum sp.KKMI01株は、エサに菌新鮮重量0.01%程度を添加してクルマエビに与えると、エビの歩留まり(生残率)が向上する。また、エビの自然免疫系の遺伝子(活性酸素発生系、活性酸素消去系、抗菌ペプチド、レクチン、自然免疫の制御系など)を活性化し、病害抵抗性も向上させる。病害抵抗性については、エビ病原性ビブリオによる強制感染実験で、光合成細菌を与えたエビの生残率が高くなる効果が認められている。

【今後の展開】
 宮坂教授らは、光合成細菌により病気に強いエビを育て、安全安心なクルマエビの供給とクルマエビ養殖業の発展への貢献を目指している。まずはクルマエビ養殖が盛んな熊本県天草地方での光合成細菌利用の拡大を目指し、その後さらに九州・沖縄全体に利用を広げていく。当面は光合成細菌の利用実績があるクルマエビ養殖がターゲットだが、将来はその他の魚種(マグロ・うなぎ・フグなど)にも拡大。さらに、将来は、ベトナム、タイ、インドネシア、インドとアジア諸国に国際展開を目指す。

(※1)プロバイオティクス
 生物の消化管内に住みついて、その生物の健康に良い効果を及ぼす微生物(善玉菌)のこと。
(※2)EL
 研究代表者の技術を基にした起業化の展開において、ビジネスモデルの仮説立案検証などの活動を中心的に行う者。学内外を問わず、研究代表者と二人三脚の協働で活動を行える者を想定。



▼本件に関する問い合わせ先
崇城大学 生物生命学部応用生命科学科
教授 宮坂 均
TEL:096-326-3111(学部代表)
メール:miyasaka@life.sojo-u.ac.jp

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