【京都産業大学】乳がんの抗がん剤抵抗性に働く新たな機構を解明--英国科学誌Cell Death & Disease(オンライン版)に掲載|The大学Times

【京都産業大学】乳がんの抗がん剤抵抗性に働く新たな機構を解明--英国科学誌Cell Death & Disease(オンライン版)に掲載大学通信 2020.3.19

がんの部位別統計(調査元:統計国立がん研究センターがん対策情報センター[2014年])によると、乳がんはがんのなかでも日本人女性の罹患率トップであり、1975年以降今なお増加傾向が続いている。早期発見と治療法の進歩により、寛解するケースも増えているが、進行すると、抗がん剤に抵抗性を示すがん細胞が出現し、再発や転移によって死に至るケースも少なくない。乳がん細胞が抗がん剤抵抗性を獲得するメカニズムは、いまだ十分に解明されておらず、そのため転移・再発乳がんの治療選択の幅が狭められているのが現状である。

近年、多くの癌腫において、「がん幹細胞(がん源細胞ともいう)」の存在が報告されている。このがん幹細胞は、従来の化学療法や放射線治療に抵抗性を示し、転移や再発を引き起こすことから、根治を阻む最大の要因と考えられている(図1)。再発した治療抵抗性のがんを従来の化学療法で治療可能とするためには、がん幹細胞の抗がん剤抵抗性に働くメカニズムを解明し、対策することが重要である。

研究チームは、乳がん臨床検体の遺伝子発現データベースを解析し、ヘキソサミン合成経路(以下、HBP)酵素遺伝子群の発現が、進行性乳がんと関連して上昇していることを見出した。HBPは、細胞内糖代謝の主要プログラムであり、最終産物のウリジン二リン酸-N-アセチルグルコサミン(UDP-GlcNAc)の供給により、タンパク質のO-GlcNAc修飾やヒアルロン酸糖鎖のシグナルを上流で調節している(図2)。

また、HBP下流シグナルのうち、ヒアルロン酸糖鎖シグナルを遺伝子改変技術により抑制したところ、シスプラチンによるがん幹細胞様細胞の細胞死が上昇し、抗がん剤抵抗性が減弱することを見出した(図3)。さらに、阻害剤によるO-GlcNAc修飾の抑制により、低下した抗がん剤抵抗性が再度上昇することも明らかにした。つまり今回の発見は、HBP下流シグナルであるヒアルロン酸糖鎖シグナルとO-GlcNAc修飾とのバランスが、がん幹細胞の抗がん剤耐性にとって重要であることを示唆しており、がん治療の観点からとても重要な発見といえる。本研究の成果は、将来、治療抵抗性のがんに対する全く新しい治療技術の開発につながる可能性があり、その技術をがんの根治的治療法として展開するための基盤となり得る。

この研究成果は、2019年10月23日に英国科学誌「Cell Death & Disease(オンライン版)」に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学
 
関連リンク
・生命科学研究科 Chokchaitaweesuk Chatchadawalaiさん、板野 直樹 教授らの研究チームが、乳がんの抗がん剤抵抗性に働く新たな機構を解明!
https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20191115_400a_news.html

・総合生命科学部 板野 直樹教授らの国際共同研究チームが、 乳がん幹細胞抑制の鍵を握る糖代謝リプログラミングの機構を解明
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20161115_release_nls.html

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