【これからの日本を変えるこの分野 東京富士大学 経営学部経営心理学科】|大学Times

大学Times Vol.14(2014年9月発行)

【これからの日本を変えるこの分野 東京富士大学 経営学部経営心理学科】働くとはどういうこと?…自分自身と社会とのあり方を深く探る経営心理学

東京富士大学は経営学部のみの単科大学である。今回は経営学部経営心理学科の伊波和恵教授と佐藤惠美准教授に経営者や会社幹部の人が学ぶ経営心理ではなく、学生が学ぶべき基礎的経営心理学をそれぞれ違うカテゴリーから伺った。

組織の中で活かせる能力とさまざまな困難から自らを守るストレスケアを身につける

職場で必要とされるメンタルケアと自己表現を学ぶ

マネジメントの心理学

経営心理学というと、「売れる商品開発のための消費者が求める傾向と対策」や「伸びる会社における経営者の従業員へのモチベーションアップ戦略」というような内容をイメージしていたが、伊波教授のご担当の経営心理学はキャリア開発、メンタル面で弱っている人、ストレスを感じている人への臨床心理学ということで、現在、重要視されている、企業とそこで働く人間のメンタルケアについて学ぶ。これから就職を考える大学生にとって必須の学びではないだろうか。

まず、職場における組織とは何か。その機能はどうなっているのか。組織はなぜ必要なのか。組織の中でどう働いて行くのかというセルフケアとラインケアの初歩を学んでいく。社会人にとっては当たり前の事柄も学生にとっては、まだリアリティーがなくわからないことばかりだろう。そのため経営者目線ではなく、あくまでも学生の目線から「働くとはどういうことか?」を解説し、心理学的概念への理解へと深めていく。たとえばグループワークや心理テストを行い、「○○の場合、人はどういう行動に出るか」やストレスにどう対処するか、ストレスに強い人、弱い人とは…など抽象的ではなく、現実的に人の心について学習するそうだ。

自身が体験したビジネス研修から、また自分の父や母からの実体験から、と多くの事例を集め、グループで話し合う。たとえば、心身症は心から体へとどのようなSOSのサインをだすのか。メタボリックシンドロームもストレスのサインなのか。それはなぜか。などを探っていく。

また、サイコロ型の六面体を使い、各々自分が興味のある写真や雑誌の切り抜きなどを張り付けていき、自分と向き合い、自己表現をするという手法を取り入れたりしているという。

伊波教授は「この経営心理学について、社会に出て大学で学んだことはこういうことだったかと思いだし、40年以上に及ぶ職業人生の中で役立ててもらえたらいい」と心理学を学び、自ら考える大切さの気づきを学生に期待している。

日本のココが変わる

伊波和恵教授

日本は、今働き方を見直さなければいけない時だと思う。それは現在の晩婚化、少子高齢化、共働きが当たり前の社会でまだまだ、企業及び経営者側の対応が追い付いていないからである。育児・介護といった家族の課題と個人の働き方、労働観の問題、それから職業人としての倫理観が相互に葛藤しあっている。経営者サイドの意識改革はもちろんだが、働く側からもコミュニケーションレベルで上に要望を吸い上げてもらえるべく、経営心理学をもっとカジュアルに学ぶ必要があると思う。

伊波和恵 教授 臨床心理士

1993年 同志社大学文学部文化学科心理学専攻卒業 1995年 同志社大学文学研究科心理学専攻博士課程前期課程修了(修士(心理学)) 1997年 文京学院大学人間学部助手等を経て、2004年 東京富士大学経営学部講師、2014年より現職

自己を成長させ、幸福に導くためには、自ら考える力を鍛えることが大切

佐藤准教授は、職業適性と人材アセスメントの分野から経営と心理についてゼミで教鞭をとっていらっしゃる。学生なら自分の評価をテストの点数で示すことができるが、社会人になるとその人のやる気や企画力などを評価するモノサシがない。企業では、採用・配置・給与査定・昇進などで人物を一定のモノサシで評価する。どうやってその見えない評価をするのか。学生にそれぞれの立場に立って考えてもらう。主観的ではなく、あくまでも客観的目線で考える。仕事における適性つまりコンピテンシーについて、また、要求されている能力は何かを探っていく。しかし、その基準は国家、政治・宗教により、また業種、部署により求められるものが違っていることが理解できるだろう。その中で、自分が求めているもの、会社から求められているものをすり合わせて、真の目標を決めていくのが大切である。そのためにも、しっかりと学び、自分の考える力を磨かなくてはいけないと学生に説いているという。

佐藤准教授のもともと研究されているテーマは『青年期から成人期にかけての心理的発達と対人関係』に関することだそうだ。「心理学はもともと人間が幸せになるための学問」であるから、まず自分の目指す到達点を決め、その目標に向かって自分を磨いていくことが大事であると。いろいろな人と出会い、仕事・職場における人間関係に焦点をあて、各個人が青年期のアイデンティティを確立していくためのプロセスを構築する。

学生に期待することは、仕事を通して自ら成長させ、幸せを見出すために他人との円滑なコミュニケーションを図る能力とストレス対処能力を身につける術を養っていってほしいことだという。

東京富士大学

日本のココが変わる

佐藤惠美博士

今後の日本は、10年後いや5年後には必ず労働人口が減る。労働人口を補うために外国人労働者を使っていかざる得なくなるだろう。人種、宗教、文化の異なる彼らと一緒に働く際、必ず心理学が役に立つと思う。どんなに価値観が異なっても、心理学を学ぶことで普遍的な行動予測ができるからである。是非とも、高校時代から心理学を取り入れて欲しいものである。

佐藤惠美 博士(心理学) 東京富士大学 准教授

2008年 白百合大学大学院文学研究科発達心理学専攻博士課程修了 2009年より東京富士大学経営学部ビジネス心理学科専任講師 2012年より東京富士大学経営学部経営心理学科准教授、現在に至る。