【名古屋芸術大学】音楽×美術×デザイン 領域を越えて融合する新しい学び|大学Times

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【名古屋芸術大学】音楽×美術×デザイン 領域を越えて融合する新しい学び

2017年度から、名古屋芸術大学は大規模な学部改編を実施する。音楽学部、美術学部、デザイン学部の3学部4学科を統合し、新たに芸術学部芸術学科を設置。これまでの学部はそれぞれ専門領域となり、音楽領域、美術領域、デザイン領域として芸術学科に配置される。さらに、新しい専門領域である芸術教養領域が新設され、1学部1学科、4つの専門領域へと大きく変革されることになる。今回、改編の背景と意義を、竹本義明学長、津田佳紀副学長、萩原周学長補佐に伺った。

改編の背景
境界なき時代への対応

名古屋芸術大学

現在、社会、政治経済をはじめとして全ての分野においてボーダーレス化が進んでいます。翻って大学を見ますと、美術学部美術学科、デザイン学部デザイン学科、音楽学部音楽学科と縦割りです。領域の境目に対して融通が利きにくい形になっています。しかし、社会を見ますと実際には美術をやっていながら音楽的な素養も求められる場合もありますし、その逆もあります。まさに芸術が境目のないボーダーレスの時代になっているのです。それに対応するために本学の枠組みを一度考え直して芸術全般でやっていこうというのがそもそもの発端です。この改革が大学の永続的な発展に寄与すると考えています。(竹本義明学長)

改編の意義

@1学部1学科化―芸術的専門性を社会で活用できる人材の育成+社会の変化に対応した組織体制

名古屋芸術大学

芸術的な構想力とそれを実現する力、想像力、観察力は、社会のいろいろな場面で必要とされており、その重要性はますます高まっています。本改編では、従来の芸術系教育機関の卒業生の生き方の選択肢をさらに広げ、社会の中で芸術的技能や知識を還元できる場を増やすことを目指しています。芸術的専門技能を持った人材が加わることで、そこに新たな価値を生み出す可能性を持った場は、まだまだこの社会にたくさんあります。そこでこれを達成するにはどうすれば良いかと考えると、従来、1つの大学で複数の専門分野の教育を行いながらも、それがしばしば他分野と没交渉的、縦割り的になりがちであった教育慣習の構造に問題があります。この構造自体を変えていかなければ、新たな学際的活性は望めません。そこで既存の学部を1つにまとめた大改編という選択肢があがったのです。これまで通りの専門性を3学科に再配置するという選択肢・意見も一方ではあります。しかしながら、学科で専門性を分かつことは、従来学部で切り分けていた時との制度的、機能的条件に大きな変化は期待できません。1学科の下に、従来の音楽、美術、デザインを置き、芸術教養領域を加え、それらを並列配置することで、互いに相乗効果をもたらすことがこの改革のねらいです。

1学部1学科化のもう1つのメリットは、社会の変化に対し、柔軟かつ迅速に対応できる枠組みを本学が手にすることです。経済の停滞や、人口減少、グローバル化など、大学を取り巻く状況は、全体的に厳しくなっています。社会がこの先もどう進んでいくのかはなかなか予想できませんが、仮にもっと厳しい状況におかれた場合でも、大学がその条件に応じて的確に舵を切っていけるような体制にする、それが1学科化を決めたいま1つの理由です。

A「芸術教養領域」の新設―専門性を維持しつつ、社会の要請に応えた教育

新設される領域の名称は「芸術教養領域」になりますが、その中に設置するコースは「リベラルアーツコース」という名称です。昨今の一般大学では、新しいタイプのリベラルアーツ領域と呼ぶべきコースや学部、学科を作っているところが非常に多くなっています。これは、戦後日本の各大学に作られた教養学部的なリベラルアーツではなく、学際系リベラルアーツ(または領域横断型リベラルアーツ)と呼ばれています。学際(inter- discipline)とは、多様な分野の専門知識や経験が必要な課題を研究する際に、様々な領域の学者や技術者が協力することを意味しています。研究の場における学際は1970年代から盛んに行われていますが、日本の教育の場では十分に行われてきたとは言えません。現在、学際系リベラルアーツコースが各大学に増えてきているのは、社会からの要請があるからでしょう。だからこそ、このような学部やコースに多くの学生が来ているのです。さらには、高齢化の問題や格差の問題、環境の問題など、実際の社会では様々な問題の解決が求められています。このような複雑化した問題を解決する人材は、従来の縦割り型の大学教育からだけでは輩出されにくいため、社会は新しい学際系リベラルアーツの学びを求めていると考えられます。このことを踏まえ、本学では「芸術教養」という学際的リベラルアーツの学びの場を設立することが重要と判断し、今回の改革の基本的な趣旨としました。

芸術教養領域では、具体的に5つのリテラシーを学びます。まず、異文化社会でのコミュニケーション力と物事を論理的に伝える方法を身に付けるために、英語リテラシーと日本語リテラシーを学びます。また、ネットワーク社会で活躍するために、情報リテラシーを学び、情報収集能力と情報発信能力を磨いていきます。さらに、芸術大学の教育資源をフルに活用して、ビジュアル・リテラシーとサウンド・リテラシーも学びます。映像や音声を利用したコミュニケーションは、現在、一般の人々にまで浸透し、社会で必要な能力とされているからです。これらのリテラシーを基盤とし、高学年では、様々なプロジェクトやインターンシップ、海外の異文化体験等を通じて、柔軟に社会と関わることを学びます。また、卒業研究を通じて、視覚文化をはじめとした社会と文化に関する多様なテーマを学びます。

この芸術教養領域と、音楽、美術、デザイン、そして人間発達の全ての領域を横断的に学べる「全学総合共通科目」も新たに設置されます。領域、学部を越えての学びは、学生に多くの刺激・影響を与えるでしょう。新しいカリキュラムによって、本学の卒業生が、それぞれの専門技芸を職業や生活において、より高いレベルで発揮してくれること、また、音楽をやっている一方で美術やデザインにも興味がある人など、様々な領域に関心を持った学生が本学に入学してくれることを確信しています。(津田佳紀副学長、萩原周学長補佐)

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