2017年度 最新入試動向・学部最新情報|大学Times

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【2017年度 最新入試動向・学部最新情報】入試・大学改革をチャンスととらえ、妥協しない進路選択を

入試や大学改革が進み、大学の学びはさらに魅力あるものになっている。一方で、センター試験の動向に左右されたり、理系の科目負担を敬遠したり、受験生の安全志向は続く。自ら学び、考える入試へと変わろうとするいま、自分を活かす積極的な出願が期待される。

【2016年度入試動向】安全志向、文理均衡が続く

まず、2016年度入試の動向を確認しておこう。
大学入試センター試験(以下、センター試験)は、国語・地理歴史・公民・外国語も新学習指導要領による出題となり、国語と外国語(英語)では出題範囲も変わった。志願状況では、現役占有率(全志願者に占める現役生の割合)は82.0%、現役志願率(高等学校等卒業見込者に対する志願者の割合)は43.4%、また女子占有率は44.3%といずれも過去最高となった。

例年、センター試験の動向は大学入試に大きな影響を与える。2016年度は予備校等による自己採点集計(5教科900点満点)において、平均点が文系はアップ、理系はダウン。また、受験生が理科の科目負担を敬遠する傾向も続いている。このため、国公立大志願者が私立大へ志望を変えたり、私立大の併願校を増やしたりする動きが、2015年度と同様に見られた。国公立大の一般選抜の確定志願者数がダウンする一方で、私立大はセンター方式・一般方式ともに延べ志願者数が増加した。

このほか、学部新設や改組、就職状況の改善などにより、文系学部の志願者数も引き続き増加した。近年の理系の人気が高まっていた「文低理高」の状態から、「文理均衡」へと変わりつつある。「法・政治」「経済・経営・商」「国際関係」などの学部が人気を集めている。

【トピックス】導入進むインターネット出願

2017年度から新たに早稲田大・慶應義塾大が一般入試で導入するなど、私立大のインターネット出願の利用が進んでいる。ネット出願に全面移行した大学も珍しくない。国公立大でも京都大や九州大が導入を予定するなど、今後も利用が拡大していくだろう。受験料割引(ネット割)や学内併願・複数日程受験による割引、コンビニエンスストアを利用した受験料払込みなど、受験生に有利な制度やサービスを有効に活用したい。

【トピックス】英語の外部試験導入とは?

入試改革やグローバル人材育成の流れを受けて、英語において外部試験を利用する大学が増えてきている。おもに利用されている外部試験は、TEAP(Test of English for Academic Purposes)、GTEC(Global Test of English Communication)、TOEIC、TOEFL、IELTS(International English Language Testing System)など。出願要件として利用したり、入試の英語の評価・得点に代えたりする方法が見られる。「読む」「聴く」「書く」「話す」の4技能が問われるため、日頃からしっかりと学習しておきたい。

【2017年度入試展望】改革をチャンスととらえ積極的な出願を

センター試験の動向、学部新設・改組や定員増によって、2017年度入試でも私立大学志向が続く可能性は考えられる。一方、2016年度にセンター試験の全科目が新学習指導要領に対応したものとなり、2017年度は対策が立てやすくなることも確かだろう。国公立大学では理系学部の再編や、地域創生などの社会・人文科学系学部、学際系(複数の分野にまたがる研究)学部の新増設が行われている。また、主要教科を偏りなく勉強している国公立志願者はその後の学習や就職においても有利になるだろう。科目負担ばかりに目を向けるのではなく、本当に自分を活かす進路を考えたい。

2016年度入試では国際系、保健衛生系が人気を維持していたが、2017年度も国際教養、看護・医療などの学部新設が目立つ。このような大学改革をチャンスととらえて、積極的に出願してほしい。

【トピックス】私立大収容定員増の動き

学部等の新設や定員増は、文部科学省に申請し認可を受けることが必要だが、2017年度にむけて、8月末で例年を大きく上回る9000人を超える申請(2017年度に収容定員増加を予定するもの)があった。これは、2018年度申請分から入学定員の抑制策(一定の基準まで入学定員を超えて学生を受け入れることが認められているが、この基準を厳格にし、超えた場合に補助金が交付されなかったり、学部の新設等が認可されなかったりすること)が本格的に実施されることに伴う動きと考えられる。この施策は、首都圏・中京圏・近畿圏の三大都市圏に学生が集中することを緩和し、地方で学び就職する人材を増やすことや、教員1人あたりの学生数を適正にして教育の質を高めることなどが狙い。ただし、この定員増はあくまで入学定員充足率の適正化のためのもので、そのまま合格者数の大幅な増加につながるわけではないことを留意しておく必要がある。

【ポイント】自ら学ぶ姿勢が問われる入試へ

マスコミ等で取り上げられているセンター試験の大幅な改革はまだ先のことになるが、社会の変化や期待に応えて、各大学は入試改革や学部改組などを積極的に進めている。2017年度入試を目指す受験生も、大学がどのような能力や資質を備えた学生を求めているのかを意識しながら勉強に取り組む必要があるだろう。

東京大の「推薦入試」、京都大の「特色入試」、2017年度から導入される大阪大の「世界適塾入試」など、わが国を代表する難関大学はすでに入試改革に着手している。また早稲田大は2018年度から学部横断型の新しいAO型入試を導入する構想を発表。こうした改革の動きは今後も各大学に広がっていくと思われる。

英語の外部試験の導入もグローバル化に対応した改革の一つと言える。知識詰め込み型から、学んだ知識を使って自ら考え、問題発見や解決ができる学生がいっそう求められていることは間違いない。受験のための勉強に偏らず、好奇心を発揮して学んでいくことが大切である。

【ポイント】学びたいことを優先して考える

センター試験の結果が入試動向に影響を与えることはすでに述べたが、受験生はさまざまな情報から不安を感じることが多いだろう。しかし、狭い視野で判断することは禁物だ。センター試験の結果によって志望大学の目標を下げたとしても、他の受験生も同様な動きを示すだろう。実力のある受験生が目標を下げてきたら、結果として同じような競争になってしまう。特に現役生は安易に妥協するのではなく、これからの実力の伸びを考慮して、第一志望群(目標校=現在の自分の実力より偏差値が高めの大学)も積極的に考えておきたい。まずは、「学びたい学問」を明確にすること。そしてそれが実現できる「大学」「学部」を選ぶ。自分を軸に、入れる大学ではなく、「入りたい大学」に向けた学習を継続していきたい。

【ポイント】将来につながる受験勉強を

今年、近大(近畿大)マグロに続き、近大ナマズが話題になった。絶滅が危惧されるウナギに代わるものとして開発されたウナギ味のナマズだという。生命や水産の研究も、いかに市場に支持されるかという視点が重要になっている。また、東洋大は2017年4月に国際観光学部、国際学部ほかを新設。特に観光分野では、外国人の訪日旅行者数が年間2000万人に迫ろうとする中、観光施策・交流を核となって推進できる人材の育成は不可欠だ。このように、環境や少子高齢化の問題に対処し持続可能な社会をつくるために、大学の学びはさまざまなチャレンジを行っている。

いまの受験勉強は、将来の活躍につながっている。たとえば、経済学では数学の知識が、理系分野では研究成果を発信していく国語・英語などの能力が求められる。基礎がなければいきなり大リーグでプレーできないのと同じだ。その先の未来に期待しつつ、受験を乗り切ってほしい。

【執筆者プロフィール】

川嶋 潤(かわしま じゅん)

取材ライターとして、大学・短大・専門学校等の進学情報媒体・広報誌・受験情報誌を中心に活動。2級キャリアコンサルティング技能士(国家資格)、JCDA認定CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)。特定非営利活動法人国際教育企画および専門学校にて、講師・キャリアカウンセラーとして学生・若年者の就職・進路選択支援にも携わる。