【福岡工業大学】企業や社会で必要とされている最先端の知識と技術を活用し、産学連携を積極的に推進する|大学Times

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大学Times Vol.22(2016年10月発行)

【福岡工業大学】企業や社会で必要とされている最先端の知識と技術を活用し、産学連携を積極的に推進する

福岡工業大学では、産学連携によるイノベーション創出の重要性を認識し、早い時期から産業界との連携に力を入れ、積極的に推進してきた。自動車産業やエネルギー、環境技術、医工などの諸分野において、新技術の研究が進展している。産業界との連携による製品などの実用化を目指し、研究を通じて社会貢献活動を行っている実例を紹介する。

福岡工業大学は、入学者の定員が1000人以下という比較的少人数の大学。 現在、第3期設備計画に沿って、アクティブラーニングの拡大や研究高度化など、キャンパス全域の再構築に取り組んでいる。また、研究高度化に関しては、「革新的エネルギーデバイスの開発−ナノ複合誘電素材の創成と実装」など本学の研究が文部科学省の研究助成事業に採択されるなど、これからも不断の改革を実践し、九州ナンバーワンの教育拠点化を目指している。中でも産学連携で実用化を目指す「焼酎粕から低コスト充電池」、「小水力発電機」の開発と現状を紹介する。

福岡工業大

九州発!焼酎粕(かす)から低コスト充電池を開発。
電気自動車にも活用可能

福岡工業大

福岡工業大学工学部電気工学科の田島研究室は、焼酎製造時に生じる「粕(かす)」を活用した充電池を開発した。この充電池は瞬間的に大きな電気を充放電でき、将来的には電気自動車、小型モバイル機器、家庭用の充電池などへの実用化が期待できる。廃棄物を使用するため、低コストなうえ、放充電の際に劣化が少なく長期間の使用も可能である。

■概要

このたび開発した充電地は「電気二重層キャパシタ」タイプ。「電気二重層キャパシタ」とは、活性炭の表面にある微細な隙間に多数のイオンが付着したり放出されたりする現象を利用した充電池で、通常の充電池と比較して、貯められる電気の量は劣るものの、短時間で充放電する瞬発力に優れており、繰り返しの使用に非常に強いという特徴がある。そのため、ハイブリッド自動車でブレーキ時のエネルギーを急速に蓄えたり、発進・加速時に大きな電力を供給したりする用途に適しているが、現状では更に多くの電気を蓄えられるようにすることと、できるだけ安く作ることの課題がある。今回、田島研究室では、焼酎工場から排出される焼酎かすから、材料となる活性炭の作製と電気二重層キャパシタへの応用に成功した。今後も実用化に向けた取組を進めていく方向で努力を続けている。

■成果と今後の活用

九州で大量に発生し、処理及び有効利用が課題となっている焼酎かすを用いた活性炭の作製に成功。製法の工夫により、従来から多く用いられてきたヤシ殻由来の活性炭と比較して、イオンを表面に保持する能力を約13%向上させた。その活性炭を電気二重層キャパシタの電極として応用し、貯めることができる電気の量も全体として約20%向上させた。 今後は多量の焼酎かすから一度に活性炭を作成、また、焼酎かすの廃棄費用に悩む九州の焼酎業界への貢献を目指す。

落差がない水路にも設置できる、
環境に配慮した小水力発電機を開発

福岡工業大

福岡工業大学工学部知能機械工学科の阿比留久徳教授が、落差がない流れの緩やかな水路に低コストで設置できる「フラッター水力発電装置」に関する技術発明の特許権を取得した。

■概要

地方の農業用水路における小水力発電の設置ニーズは高いものの、設置には落差が必要で、工事にかかる費用および発電機本体の高額化や工事に伴う周辺生態系への影響、設置後の維持管理の煩雑さが課題となり、普及の妨げとなっている。フラッター水力発電は、従来の水車を利用した発電装置とは異なり、水中翼が流れに対し左右に往復運動して発電する形式で、落差が不要で低流速から発電できる。また、高速回転部を持たず構造がシンプルで、ごみの付着や詰まりに強く、水中生物に安全といった特徴がある。

■発電量について

現在は実用化に向けた試験機の段階であり、小型のため発電量は大きく取れないものの(水の流れの速さが毎秒1mの時に約50W)、原理的には大型化もしくは、一つの水路に複数台を設置することが可能であり、水路の水深や幅、水量に応じて発電量を増やすことが可能である。

■期待される活用場面

フラッター水力発電装置には、水路の形を変えるような大きな工事を伴わなくても、台座を据え付けて固定するだけで設置が可能という利点がある。全国にはたくさんの農業用水路が張り巡らされているが、田や畑に必要な水を供給することが最も重要であるため、水力発電機設置のための工事は許可されないことが多い現状がある。フラッター水力発電装置はそのような場所にでも設置でき、また、ゆっくりとした流れでも発電できるため、送電線を引くことが難しい地域での小規模な自然エネルギー利用のニーズに応えられるものと考えている。例えば、LED外灯の点灯や災害時の非常用電源、電動農機具の夜間充電等への活用が期待され、現在、バッテリーへの充電と放電の組み合わせを最適に制御して、電力を更に有効利用するための研究も行っている。

現在、地方の農業用水路に設置し、効果を検証しており、地域の方々からは「小学校の通学路上の暗い道へLED街灯を水力発電で点灯させたい」というニーズがあるなど、多くの面でご協力を得ている。