【東京工科大学】コンピュータサイエンス学部の先端研究の成果が時代を切り拓く|大学Times

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大学Times Vol.23(2017年1月発行)

【東京工科大学】コンピュータサイエンス学部の先端研究の成果が時代を切り拓く

1986年に工学系の単科大学として開学して以来、時代のニーズに合わせて成長を続けてきた東京工科大学。2016年度には、コンピュータサイエンス学部が、応用生物学部、医療保健学部と連携して、来るべき超高齢社会に向けて「医療IoT(Internet of Things=モノのインターネット」プロジェクトを始動させるなど、進化が止まることはない。社会の変化に柔軟に適応する人材を育成すべく、大学も社会に合わせて発展を遂げる同大の最新研究動向を紹介する。

「実学主義」教育が教育の柱

日本生体医工学会

東京工科大学は、時代の要請に応える形で、1986年に工学部のみの大学としてスタートし、今日まで学部の改組や設置をはじめ、社会の変化に対応した発展・進化を実現してきた。現在は工学部、コンピュータサイエンス学部、メディア学部、応用生物学部、デザイン学部、医療保健学部の6学部に大学院、研究所を擁し、未来社会で活躍する人材育成に余念がない。

2015年4月には、次世代の社会を支えるサステイナブル工学(持続可能な社会を実現する実学)をコンセプトにした工学部の設置に端を発し、全学部が教育連携し、サステイナブル社会(持続可能な社会)の実現に貢献できる人材を育成する理工系総合大学へと進化を遂げた。

同大は開学以来「実学主義」を掲げている。この「実学主義」とは、先端の知識はもちろんのこと、社会の変化に対応しながら活躍するために欠かせない深い教養や、豊かな人間性を養うもの。時代や技術革新に対応する適応力を身につけ、自己発展を怠らず、先端分野で活躍し続けられる人材を育成している。

コンピュータサイエンス学部
「医療IoT」プロジェクト

日本生体医工学会

コンピュータサイエンス学部では、プログラミングをはじめとするICTについて体系的に学べるカリキュラムを整備。コンピュータ・ソフトウェアコース、システムエンジニアリングコース、ネットワークコース、応用情報コースの4コース体制で、2年次よりコースの配属となるが、他コースの科目も履修でき、幅広い視野を培うことが可能。専門性と実践性を兼ね備えた、真に社会に求められるエキスパートの育成をめざしている。研究面においては、人工知能(AI)やディープラーニング(深層学習)、クラウドコンピューティングなどの先端研究を展開し、これらを通して先進の知識・技術を身につけられる環境を整備。こうした先端のICT研究において、コンピュータサイエンス学部では他学部との連携のもと、超高齢社会に向けて「医療IoT」プロジェクトを始動させた。

スマートメディカルケア (Smart Medical Care)とスマートヘルスケア (Smart Health Care)の分野を中心に、安心・安全、健康・快適な社会の実現に向け、率先した貢献をめざす研究事例についていくつか紹介する。

超小型モーションキャプチャシステム

日本生体医工学会

コンピュータサイエンス学部の松下宗一郎教授らの研究チームは、腕時計サイズの小型かつ軽量で日常生活での利用も可能な、高精度のモーションキャプチャシステムを開発。医療分野などでの活用に向け、同大医療保健学部などと共同で実証実験をスタートさせた。人の動きをリアルにコンピュータに入力する「モーションキャプチャ」の技術は、スポーツの身体計測等における複数のカメラを用いた光学式システムや、市販のコンピュータゲーム等では赤外線カメラや重心揺動計を用いたシステムなどが用いられてきた。しかしながら、設備が大がかりになることや導入コスト、使い勝手、計測精度などの面から、医療現場などへの利用には適していなかった。当研究プロジェクトでは、利用者が手に持ったり腕時計のように装着できる軽量かつ小型のもので、いつでもどこでも利用できる低コストのシステム開発をめざしている。消費電力の少ない超小型マイクロコンピュータでの処理が可能となったほか、センサー出力特性の時間・温度変動についても、アプリケーションへの影響を最小限度に抑えられる。加えて、小型の充電池で長時間(4〜8時間程度)の使用が可能である点も特長のひとつ。また、従来は複数個のセンサーを組み合わせることで精度を維持するシステムが主流であったのに対し、本システムでは腕時計型のデバイス単体での利用もできる。これらにより、試作の段階で腕時計サイズの総重量約60g以下という小型軽量設計を実現したほか、コスト面でも、すでに流通している部品のみを使用していることから、数千円程度の原価で留めることが可能である。

日本生体医工学会

今後の展望としては、一次救命措置における胸骨圧迫の正確なモニタリング手法への適用や、内視鏡下手術における縫合操作の技量モニタリング、リハビリテーションなどでの活用を想定している。これに加えて、医療以外の分野での活用についても検証しており、習熟が必要となる精密機器の組み立てや、楽器演奏における高度な演奏技巧の習熟度をモニタリングするシステムといったエンタテインメントの領域についても活用が期待されている。

この他にも、重度の運動障害を持つ方でも、手首を小さく回転させることが比較的容易に行えることに着目し、腕時計型のワイヤレス運動センサーを使って、障害者の方の意図をキーボードを用いずにPCへ入力できるシステムの開発などを進めている。

人工知能(AI)研究を展開

第3次AIブームと言われる現在、さまざまな場面でのAI活用実績が報告され、その 重要性はますます高まりを見せている。コンピュータサイエンス学部においても、他大学医学部と連携し、先進のAIを用いた分娩システムの開発に取り組み、ディープラーニング(深層学習)を活用して母子ともに安心・安全な出産の実現をめざすなど、新たなAI研究を展開している。

このような潮流の中、東京工科大学では「人工知能(AI)研究会」を発足し、コンピュータサイエンス学部に限らず、全学的にAI研究に取り組む体制を組織した。ICTや工学分野はもちろんのこと、応用生物や医療、デザインなどにおいてもAIをテーマに先進的な研究を行い、多彩な成果を教育・研究に生かしていく。

日本生体医工学会