専門職大学/専門職短期大学特集|大学Times

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大学Times Vol.27(2018年1月発行)

大学類型としては55年ぶりに誕生する新学校種 専門職大学/専門職短期大学特集

産業構造の急激な転換により、社会における将来予測の困難化が進んでいる。高等教育においては、高等教育進学率が上昇し、学生の資質の変化、多様な学生を受け入れる中で、産業界などからはより実践的な教育へのニーズや、リカレント教育いわゆる社会人の学び直しへの対応が求められている。変化の激しい社会に対応し得る人材、すなわち、より高度な「実践力」と新たなモノやサービスを創り出せる「創造力」を有する人材の育成強化が急務となっている。
そうした背景の中、大学類型としては55年ぶりに新しい学校種「専門職大学」「専門職短期大学」が誕生する。大学制度の中に、実践的な職業教育に重点を置いた仕組みを制度化するものであり、産業界との密接な連携により、専門職業人材の養成強化を図る。高校生にとっても新たな選択肢が広がると期待される。注目が集まる専門職大学/専門職短期大学の動向を探ってみた。

「専門職大学」「専門職短期大学」の概要

〔1〕制度化の背景

創設の背景には、現在日本が抱えている少子化・超高齢による生産年齢人口の減少により、高度情報化やグローバル化で経済社会や産業構造の目覚しい変革があげられる。雇用も年功序列や終身雇用制度が終焉を迎え、企業内教育の縮小、職務や労働時間、勤務場所などを明確に限定したジョブ型雇用への移行が加速され、職務に直結した学びが求められ、雇用形態が大きく変化してきた。

また2017年度の学校基本調査によると、浪人生らを含む大学や専門学校など高等教育機関への進学率は80.6%、高等教育機関のうち、同じく大学(学部)への進学率は52.6%と最も高くなり、高等教育機関への進学率も上昇している。このような状況から、1)社会の変化に対応でき、2)実践力・創造力・専門性に加え、これらを裏打ちする理論を兼ね備えた、3)新しい価値観を創出できる人材が求められる傾向にある。

〔2〕高度な「実践力」や豊かな「創造力」を培う教育

専門職大学/専門職短期大学は、その専門性を有する関係者の協力を得て教育課程を編成、実施することになっており、産業界と連携した教育の実施が義務付けられている。開設授業科目は基礎科目・職業専門科目・展開科目・総合科目で、修業年限は4年制課程(124単位)の専門職大学と、2年制(62単位)または3年制課程(93単位)の専門職短期大学と定められている。中でも企業内実習をそれぞれ40単位(600時間)以上、20単位(300時間)以上、30単位以上履修と定めた点に大きな特徴がある。卒業者には4年制の学位は「学士(専門職)」、2・3年制は「短期大学士(専門職)」が授与される。専門職大学は前期課程及び後期課程の区分制課程も導入できることにより、前期課程修了後に就職してから後期課程へ再入学、社会人が学び直しのために後期課程から入学するなど、多様な選択ができるのも特徴である。

必要専任教員数はおよそ4割以上を実務家教員とし、その半数以上は研究能力を併せて有する実務家教員を揃えるという教育体制を整える。

既存大学、専門学校との違いとしては、大学は専門教育と教養教育や学術研究を併せて行う性格から、学問的色彩が強い傾向があるが、専門職大学は特定職種における業務遂行能力の育成に加え、高度な「実践力」や豊かな「創造性」を培う教育に重点を置く。また長期の企業内実習などを行い、より実践的な教育を行う仕組みとなっている。既存の大学と同様、大学院への入学資格が得られる。また専門職大学は大学制度の中に位置付けられるのに対して、専門学校は自由度の高い制度の特性を活かし、社会的な要請に柔軟に対応し、多様で実践的な教育を展開している点に違いを見ることができる。

〔3〕育成する人材の具体例

育成する人材は、いわゆる「成長分野」が中心となる。ポイントは、ICT(Information and Com-munication Technology)への精通、新しい価値観の創造、実践力+マネジメント能力を兼ね備えた人材の輩出である。主なポイントを表-1にまとめた。

育成する人材の具体例

〔4〕今後のスケジュール

2019年度の開学申請は16校(専門職大学13校/専門職短期大学3校)で、本年8月に大学設置・学校法人審議会による審査を経て答申・認可される。それにより、2019年4月より開学される。なお、2020年開学予定として、学校法人阿弥陀寺教育学園(千葉・石川県)、学校法人電子学園(東京都)、静岡県立農林大学校(静岡県)、学校法人辻料理学館(大阪府)、アジアマーケティング株式会社・学校法人友幸学園(岡山県)、学校法人穴吹学園(香川県)など数十校が検討している。

2019年度開設予定
専門職大学・専門職短期大学 認可設置一覧(PDF)

検討する大学/短期大学も増える可能性

2017年10月、文部科学省より大学/短期大学の設置基準について改正案が公表された。この改正により、既存の大学/短期大学がもつ一部の学科を、実践的な職業教育を行う「専門職学科」として設置することが可能となり、かつ専門職大学/専門職短期大学は、名称に「専門職大学」「専門職短期大学」を付けなければならないが、「大学(短期大学)」の名称のまま「専門職学科」を設置することができる方向になった。新たな履修スタイルのイメージを図-1にまとめた。

ただし、1)大学/短期大学は、専門職学科のみで組織する学部のみを置くことはできない、2)通常、学科の設置については学位の種類及び分野の変更を伴わない場合は認可を必要とせず、届出のみで行えるが、専門職学科への転換・設置等においては学位の種類・分野の変更の有無に関わらず設置認可が必要となる、3)「専門職学科」の設置基準は専門職大学と同等だが、専任教員数(短期大学は校舎面積も)については、小規模の学科を想定した基準が追加される、などの条件がある。

当初は専門学校の専門職大学化が話題の中心であったが、この度の改正で新たに検討を始める大学/短期大学が出てくる可能性が上がった。既存の大学/短期大学が設置する専門職学科(学部)認可申請の受付は、2018年3月より開始され、その後の審査・答申を経て早ければ8月末に認可される。
今後の動向に注目である。

大学の専門職学科による新たな履修スタイルの例

〔参考〕
中央教育審議会「実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関の制度化のポイント」平成28年5月25日/中央教育審議会「専門職大学設置基準及び専門職短期大学設置基準(省令)の制定等について(案)」平成29年7月3日/高等教育局高等教育企画課「専門職大学設置基準案について」平成29年7月20日