第4回専門職大学シンポジウム開催|大学Times

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大学Times Vol.27(2018年1月発行)

第4回専門職大学シンポジウム開催

専門職大学シンポジウム

2017年9月の設置基準公表より、専門職大学設立をめぐる動きがにわかに加速してきた。
11月に行なわれた文部科学省主催の制度化に関する説明会には多数の高等教育機関関係者が参加し、12月には2020年開学予定の学校法人が早くも行政との協定を締結している。そのような中、早くから専門職大学の研究を続けてきたコンテンツ教育学会(理事長・高橋光輝氏)主催の「専門職大学シンポジウム」第4回を取材した。初年度の2019年設立を申請した学校法人担当者と文部科学省担当者によるディスカッションで、専門職大学が果たすべき役割や申請に至るまでの課題を紹介する。

専門職大学シンポジウムVol.4が開催

2017年12月11日(月)、東放学園専門学校においてコンテンツ教育学会主催による「専門職大学シンポジウムVol.4」が開催された。
同学会はこれまで専門職大学シンポジウムを2017年3月、5月、9月と3回にわたって開催しており、専門職大学の設置申請を検討している教育機関の関係者や教育関連メディアを集めている。4回目となる今回は、まず学校法人国際ビジネス学院(石川県金沢市)常務理事である清川裕氏より、同法人が2019年に設立申請中の「金沢専門職大学」(仮称)がめざす教育や申請に至るまでの経緯について説明があった。

清川氏

マネジメントスキルを持った実務家を養成

同法人はトリマー養成スクールに端を発し、現在では福井県と石川県に8校の専門学校を展開している。申請中の専門職大学では、既存の美容師・調理師および製菓衛生師の養成施設(専門学校)とは切り離した美容分野と調理・製菓分野で実務のみならずマネジメントスキルを持った人材を養成するという。その理由に、専門学校卒業生を採用している企業から専門的なスキルに加えて経営的感覚を身に付けた人材を欲する声があることをあげる。それに応えるためには従来の専門学校での教育体制では限界があるという見解だ。

教育内容の特色として特筆すべき点は、学内に株式会社化した美容サロンおよびレストランを設置し、その運営を全て学生に任せるというものである。しかもそれは大学設置の要件である600時間以上の臨地実務実習とは別に設定されるとのことなので、学生は相当数の時間を学外で学ぶことになる。

設置認可申請にあたり大きな課題として3つあがったのが、①校地校舎②資金③教員(専任教員のうち4割かつそのうち半数は研究能力を有する実務家であること)の確保である。同法人は①②については自治体に支援協力を仰ぐことで、③については製菓専門学校の校長がすでに企業と連携した食材の研究開発を進めており、他にも著書を持つ実務家教員を複数抱えていることでクリアできるのではないかという見通しであった。

専門職大学が果たすべき役割とは

後半は、専門職大学制度化の中心人物である文部科学省高等教育局主任大学改革官の塩原誠志氏も加わってのディスカッションが行われた。そこでは、コンテンツ教育学会理事長である高橋光輝氏(デジタルハリウッド大学大学院教授)司会のもと、専門職大学が果たすべき役割や、今後認可申請を考えている教育機関に対して留意しておくべきことなどについて議論された。

塩原氏

まず、司会者の高橋氏より問題提起としてあげられたのが「専門職大学の定義」であった。専門職大学は専門学校とは一線を画すまったく新しい教育機関であるにも関わらず、単に既存の専門学校を大学化するだけという考えに留まっている法人もあるのではないか、ということである。それに対し塩原氏は、既存の教育機関の枠組みだけでは厳しい競争社会の中で新しい産業分野を切り拓いて、今後の日本の成長を担えるような人材は育てきれず、そのような課題に対応できるのが専門職大学であるとの考えを述べた。さらに、産業界から協力や援助をしたくなるほど人材を欲しているこれからの成長分野において、リーダーとなるべき教育機関が複数参入することを第一歩とし、初年度の設置申請数(16校)に話題が及んでも、今は数の問題よりも、それなりに高い設置基準の中でいかに実績を出してブランドを確立するかが重要であると述べた。

高橋氏

教員確保が大きな障壁

続いて高橋氏より清川氏に対して、今後専門職大学の設置申請上ハードルとなるであろう設置学部・校地校舎の確保・実習先企業の確保・実務家教員確保などの設置基準要件の中でどのような点が難しかったのかといった具体的な質問があった。

まず設置学部については法人設立当初から設置しているペット分野も構想に入っていたが、業界としての給与水準が低いことや、専門職大学で養成した人材がその能力を生かして活躍できる環境が社会に整っていないことから断念したとのことである。さらに、美容・調理・製菓と国家資格が取得できる分野だけに、文科省からは「専門学校のままで4年制の高度専門士課程を設置すればよいのではないか」と疑問を呈され、専門学校の教育プラス2年でより高いスキルを持った実務者の養成という当初の構想を見直さざるを得なくなったようだ。校地校舎については自治体の協力を得る代わりに学内施設利用を市民優待にしたり、商品開発についても地元産の食材を使うなど、地域振興の一翼を担うことを期待されたという。

また、文科省への問い合わせ内容の中で最も多かったという「研究能力を有する実務家教員の確保」については、同法人の専門学校で幸い該当する人物が複数いたために事なきを得たと述べた。現実的には外部に求めても都市部でなければ該当者がほぼいないのではないかと懸念する。この教員確保については設置を構想している多くの教育機関にとって大きな障壁となっていることがうかがえた。

「それなりに高い」設置基準を
どのようにクリアするかがポイント

このシンポジウムから2週間後に認可申請を行った16校が明らかになったが、結果として既存の専門学校の大学化、業界給与水準の高くない分野、国家資格が絡んだ分野、研究能力を有する実務家教員の確保が厳しいと思われる地域と、今回のシンポジウムであげられた課題に該当するであろう法人が多く含まれていた。塩原氏自ら、「それなりに高い」という設置基準をこれらの法人がどのようにクリアし、そして順調に認可されるのか、その推移を今後も見守っていきたい。

コンテンツ教育学会概要

■学会名称

コンテンツ教育学会

■目的

映画、アニメ、マンガ、ゲーム、音楽、ファッション、食、建築、プロダクツ、その他ビジネス全般等の制作・流通を担うコンテンツ産業分野における教育研究(コンテンツ教育)の推進及び研究成果の普及並びに会員相互の研究交流の促進。
ビジネススクールにおける教育研究の推進及び研究成果の普及並びに会員相互の研究交流の促進。
高度専門職業人育成のための教育研究

■事業内容

コンテンツ教育に関する研究とその振興と普及
専門職大学の認証評価事業の支援
公式サイト・入会申し込み
http://cc-ra.jp/