「公認心理師」資格対応大学で心理学の新しい学びが始まる〜東京福祉大学 心理学部〜|大学Times

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大学Times Vol.27(2018年1月発行)

「公認心理師」資格対応大学で心理学の新しい学びが始まる〜東京福祉大学 心理学部〜

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2017年9月「公認心理師法」が施行、日本初の心理職国家資格「公認心理師」が誕生する。
現在、臨床心理士をはじめ、心理カウンセラーなど複数存在する心理職の資格は、すべて民間資格。新しい「公認心理師」とはどのような資格なのか。誕生の経緯や国家資格となることで期待される点、資格対応カリキュラムがスタートする大学での学びについて、東京福祉大学・大学院 心理学部 鶴 光代教授に伺った。

心理臨床の専門職として臨床心理士が誕生

心理職の国家資格については、50年ほど前から検討されてきました。当時は福祉職の国家資格もまだなかった時代です。その後の紆余曲折を経て、日本心理臨床学が発足し、臨床心理職の国家資格制度を目指しました。しかし、実現困難ということで、1988年に、日本心理臨床学が中心になり16の心理学会の協力を得て、「臨床心理士」という民間資格を認定する日本臨床心理士資格認定協会を設立しました。翌1989年には、臨床心理士が誕生し、国民のこころの健康に広く貢献すべく活動を始めました。

その一方で、臨床心理士の養成制度も整え、大学院における養成カリキュラムがスタートしました。そして、今日では、臨床心理士資格者は32,000名を超え、医療、教育、福祉、産業、司法関係の諸方面で活動するに至っています。

「ストレス社会」で高まった心のケアの重要性

心理学が世の中に関心を持たれるようになったきっかけのひとつは、「ストレス」という言葉の流行です。このような時代背景とともに、国民の心の健康への支援が不可欠になりました。ストレスの概念が社会に浸透し、人々の「心の健康」への関心が高まっていく中で、病院や福祉施設の心理職として、多くの臨床心理士が雇用されました。また、不登校やいじめ対策など子どもの心のケアとして、全国の中学校に「スクールカウンセラー」が設置されるようになりました。スクールカウンセラーは主に臨床心理士が担ってきています。このように臨床心理士は、当初の目的である国民が利用する心理職として信頼を得る資格へと成長しました。

「全領域で働く心理職」国家資格が誕生

ところが、臨床心理士が国家資格でないことにより、医療領域で働いたときにその働きが診療報酬得点の対象とならないということがあったため、その問題を何とかしないといけないという機運が高まってきました。そうしたこともあり、心理職の国家資格制度化に向けての法的整備が急務となりました。

保健医療、福祉、教育その他の全領域において、心理支援を行う国家資格の実現をめざし、国会議員、文部科学省と厚生労働省、医療団体のご協力を得て、議員立法で2015年に公認心理師法が成立、2017年9月に施行となりました。2018年4月より全国の大学・大学院で、新たに公認心理師の受験資格対応カリキュラムがスタートします。

公認心理師をめざす大学卒業後の2ルート

公認心理師をめざすための資格に対応した大学の学部は、心理学部、文学部、教育学部をはじめ、情報学系の学部や医学部にある臨床心理学科など多岐にわたります。
公認心理師資格 カリキュラム対応大学・大学院一覧(PDF)

公認心理師になるには、まず資格に対応した大学の学部で学び、卒業後は同じく資格に対応した大学院で2年以上学ぶか、養成プログラムに対応した施設(現在まだ、この施設は無い)に2年以上勤務するかして受験資格を得て、国家試験に合格する必要があります。

この制度では、たとえば4年間心理学を学んで卒業し、一度就職など社会に出てから数年後にセカンドキャリアとして公認心理師をめざすために大学院へ進学し、2年後に国家試験を受けるという進路の選択も可能となります。

公認心理師と臨床心理士どちらを
めざすのが賢明か

現在、臨床心理士など心理職として就業している人が公認心理師をめざす場合は、経過措置として、たとえば、指定機関で講習を受講し、2018年予定の第1回国家試験を受験する運びとなります。

現在の高校生にとっては、大学で一から学ぶことができるので、資格対応の大学に入学し、スタート時から公認心理師をめざせるという充実した学びの良さがあると思います。

また臨床心理士は大学院で取得する資格であり、卒業した四年制大学のどこの学部を卒業しているかは問われません。大卒社会人のリカレント教育として、大学院の2年間で臨床心理士受験資格を得ることができるので、そうした人のニーズには合っています。

心理学は統計学や実験も必修科目

心理学は文学部などいわゆる文系の学部に多く設置されていますが、言葉や文章のみで心理学を学ぶわけではありません。たとえば「心理統計学」という必修の学問があり、これは数学です。「心理学実験」や「人体の構造と機能及び疾病」という科目もあります。また現代は、コンピュータや情報処理なども大学教育では必須ですから、文系の大学でもある程度の理数系科目があることは知っておいてください。

潜在能力を引き出し自身の活かし方に気付く

本学では大学での学びだけでなく、卒業後のキャリアを考えて学生を受け入れることが大切と考えています。心理学部で公認心理師をめざす場合、大学卒業後に大学院に進むか、養成プログラムを整えた病院などに就職するなどの選択肢がありますが、現実は学生全員が公認心理師をめざすわけではありません。学生が本学で心理学を学び、その知識を持って広く社会で活躍してもらいたいという願いから、自分たちがどのようなキャリアを積んでいくかを考え、マネジメントしていく授業なども現在準備をしています(設置構想中)。

心理学の特徴のひとつは、学びを通じて学問的に「自分をよく知ること(自己理解)」ができるという点です。たとえば、授業で、いろいろな心理テストを自分自身で試みながら学んでいきます。それによって今はまだわからない、自分の持っている力(潜在能力)に気付くのも心理学の良さだと思います。そして、自分の活かし方がわかるようになるのです。

相手と通じるコミュニケーション力を学び身に付ける

心理職は人と接する機会の多い仕事のため、「明るくて誰とでも話せる人」が向いているように思われがちですが、実は、少し違います。見た目の話し上手、人づきあい上手より、「相手と通じる力」が大事になります。心理学を自ら実践的に学ぶことを通して、相手理解力が高まり、相手と通じるコミュニケーション力が身に付くのです。

心理学の学びでは、ロールプレイング(役割演技)を通した対人関係の授業もありますので、自分自身の個性を活かしながら、自分らしいコミュニケーション力を伸ばし、ひいては人間力を高めていってほしいものと思います。

東京福祉大学 心理学部 心理学科
[伊勢崎キャンパス・王子キャンパス・名古屋キャンパス]

入学後に6つのコース(総合心理学コース、発達・教育心理学コース、臨床心理学コース、犯罪心理学コース、福祉心理学コース、社会・ビジネス心理学コース)から選択し、心理学分野の多彩な科目で心理学の研究方法・実験方法や臨床心理実践、そして心理学の専門領域を深く学習。こころのメカニズムやこころのケアを理解し、さらに、福祉に関する相談・援助の実践方法も学習し、小学校教諭や養護教諭の免許も取得できるため、児童福祉や教育関係など、心理学を生かした分野への就職が強いことが特色です。

鶴 光代 博士

東京福祉大学大学院 心理学研究科 研究科長
東京福祉大学 心理学部 教授
鶴 光代 博士(臨床心理学)

九州大学大学院教育学研究科博士課程教育心理専攻退学元跡見学園女子大学教授 秋田大学名誉教授 日本心理臨床学会理事長 日本臨床動作学会理事長 日本リハビリテイション心理学会常任理事 日本臨床心理士会理事、日本心理研修センター理事