【短期大学特集】淑徳大学短期大学部|大学Times

  1. 大学Times
  2. 特集記事一覧
  3. 【短期大学特集】淑徳大学短期大学部

大学Times Vol.28(2018年4月発行)

【短期大学特集】密度の濃い短大教育は2年で大きく成長できる〜淑徳大学短期大学部〜

女子の大学進学率の上昇とともに、短期大学への進学者は年々減少している。近年は共学化が進み、さらに首都圏の大学・短期大学併設校が次々と四年制への移行を進めている中、就職率が4年連続100%(292名/292名中・2018年3月卒業生)という高い実績をあげている淑徳大学短期大学部に、2年教育への思いを伺った。

基本に帰り「人としてどう生きるか」を実践

前原英明学長は、教育方針について次のように述べている。
「本学は昭和21年の開学以来、時代の変遷とともに学科の改組・転換を行いましたが、常に忘れてならない教育方針があります。それは建学の精神の一つの表現としての「共生(ともいき)」や「感恩奉仕」です。これは、自分は社会の一員として共に生き共に生かし合う、感謝し奉仕する心です。それが結果的には自分にも幸せがくるという考え方です。戦後の日本は、急激な経済成長を遂げた一方で、企業の生産活動による、深刻な公害がおこりました。自己の利益を最優先し、「自分だけ良ければ」という当時の社会風潮は大きな問題でした。

本学は学校法人大乗淑徳学園が設置し建学の精神(仏教・浄土宗)を心に置いて教育をおこなっております。本学ではまず「人としてのありかた」を重要と考え、専門教育とともに基礎教育を重要視しています。不確実な時代だからこそ基本に帰り、自分の心にしっかりとした信念、心の支えが必要なのです。この考えは本学の教職員全員が共通認識としており、「福祉の淑徳人」として学生たちをどのように育てるかを、全員で考え実践しております。

「1日も早く保育者として活躍したい」学生には最適な短大教育

佐藤純子教授

現在、淑徳大学短期大学部は幼稚園教諭、保育士を養成するこども学科、健康福祉学科では社会福祉士や医療事務・秘書を養成する社会福祉専攻と、介護福祉士を養成する介護福祉専攻がある。
保育者になるためには、大学の4年教育と短大の2年教育に差があるのだろうか。こども学科の佐藤純子教授は次のように述べている。

「現在、待機児童が増加しており、保育人材も足りていません。よく保育所や幼稚園の園長先生から、「在学中に幼稚園教諭や保育士の資格を取得して卒業しても一般職に進む学生が多いと聞くが、淑徳大学短期大学部でも同じ傾向にあるのか」と聞かれます。確かに四年制大学であれば、そのような傾向はあると思いますが、短大の学生は、むしろその逆で一般職に就く学生はごくわずかです。95%が専門職に就き、保育者として活躍しています。本学の学生の特徴は、2年間の大学教育の中で知識や技術を身に付けて、1日も早く保育者として活躍したいという情熱に溢れた学生が多いことだと思います。最短ルートで専門職として子どもたちや利用者の方と関わることができる、そこが短期大学で学ぶことの良さであり、強みではないでしょうか。学費面でも家庭の負担が軽減され、2年間の大学教育で優秀な人材を輩出することができる短期大学は、社会のニーズにもマッチした高等教育機関ともいえるでしょう。2年間で専門教育を学び、多くの学生は20歳で保育の現場へ行きますが、「保育者としてのキャリアが早くスタートできてよかった」という卒業生の声が多数を占めているのも事実です。若いうちに現場で経験を積み、多くの知識を吸収できるのは何よりのアドバンテージであり、たとえば同い年の四年制大学の学生と比較しても、周囲に頼られ自信を持って活躍する姿に、そのことを実感するようです。

さらに本学は、「福祉の淑徳」として70年以上の歴史と伝統があります。多くの卒業生たちが保育園、幼稚園、児童福祉施設、自治体などいろいろな福祉現場で活躍しています。実習先やボランティア先で、淑徳の先輩が指導してくれ、学生の成長を傍で見守り、就職先でも後進の育成に携わる、そんな安心感のある仕組みができているので、伝統校ならではのよい学びの循環が本学にはあります」

専門性だけでなく教養や社会人基礎力を涵養

三田寺裕治教授

電子化が進み、年々高度化する医療機関の事務的業務。受付や会計に留まらず、医師の事務作業補助や経理・総務事務、病院マネジメントなど多岐にわたっている。医療事務や医療秘書の人材養成を目的とした学科・コースは現在、専門学校でも続々と新設されているが、同じ2年間の学びにおいて、短期大学はいかなる特徴があるのだろうか。本学の医療事務・秘書コースの立ち上げから尽力する、健康福祉学科の三田寺裕治教授は次のように述べている。

「本コースでは、診療報酬請求業務に関連する科目だけでなく、医療情報システムや医療マネジメント論、ICDコーディング演習、医療データ解析演習など、専門性の高い科目を多数配置しています。自ら考え主体的に行動できる、問題解決能力の高いスペシャリストの養成をコンセプトに日々教育を行っています。専門的な知識・技術の習得も重要ですが、幅広い教養や「社会人として通用する基礎的な力」を涵養することも短大の大きな役割・使命であると考えています。具体的には、時間を守ることの重要性や挨拶の仕方、社会人として通用する言葉遣い、基礎的なPCスキル、組織で働くとはどういうことかなどです。今の企業や医療機関は自分の組織内で人材育成を行う余裕がありません。そのため、極めて基本的なことですが、在学中に社会人になるための基礎的な力を習得させることが重要であると思います。

変化の激しい現代社会においては、必要とされる知識や技術は絶えず変化します。卒業後も学び続けることが重要であり、在学中に生涯にわたって学び続けることの重要性や姿勢を身に付けさせることが重要だと思います」

知識と人柄を醸成する密度の濃い教育の成果

建学の精神「利他共生」の考え方は淑徳のカラーとなり、学内の学びの場や、卒業後の職場でも醸成され、信頼へと繋がっている。

「利他共生とは人を尊重することであり、本学にはお互いを思いやり大切にする土壌があります。たとえば、学生が自発的に勉強会を企画し、わからないことを学生同士で教え合ったり、休みがちな学生に声をかけるなど、助け合いの精神が根付いているように思います」(三田寺教授)

「保育者採用においては、長年の実績と信頼から“淑徳枠”を設けているケースがあります。保育・幼児教育の現場では出身校によってもカラーが出やすいですが、本学卒業生が職場で信頼されているのは、短大で学んだ「利他共生」を日常で体現している成果だと思います」(佐藤教授)

昨今は企業の求める人物像として、業種に関係なく「コミュニケーション能力」や「問題解決能力」の高さが挙げられることが多くなった。そのためには専門性だけでなく、幅広い教養やソーシャルスキルの育成も不可欠である。2年間の密度の濃い教育でも有益な学びであることは間違いない。一生懸命取り組み、若いうちに大きく成長するための選択肢として、短期大学を見直す余地は充分にある。