【短期大学特集】多様化する学びの新時代到来高等教育の“入口”として短期大学に期待|大学Times

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大学Times Vol.28(2018年4月発行)

【短期大学特集】多様化する学びの新時代到来高等教育の“入口”として短期大学に期待

昨年秋、青山学院女子短期大学の募集停止がインターネット「YAHOO!ニュース」のトップを飾った。一般的なネットニュースのトップを、募集停止が飾ることは異例である。当時の反響は大きく、中には「短大は中途半端」「時代が終わった」といった無責任な書き込みも散見された。日本の高等教育は新時代を迎え、学びの選択肢も多様化している。短期大学の可能性について考えてみた。

女子就職は「短期大学卒」が応募条件だった時代の終焉

1980年代半ばまで、国内企業の新卒求人は「男子・四年制大学卒、女子・短期大学卒」という応募条件が大半を占めていた。当時を知る人によると「短大生の多くは、教養を身に付けて「いい会社」に就職し、結婚して退職し、専業主婦になって子育てするというレールが敷かれていた」時代だったという。一方、四年制大学の女子は就職難で、行きたい企業に応募することもかなわず、縁故を頼るか、男女区別のない教育・研究職、あるいは女子大生を積極採用する一部の業種に限られた職業を選択せざるを得なかった。

ところが1987年「男女雇用機会均等法」が施行、大きな転換点を迎えた。企業求人において男女の区別は違法となり、「総合職」「一般職」の区分で四年制大学の女子はどの企業にも応募できるようになったのである。企業も女子学生を大卒者対象の総合職として採用するようになり、就職における短期大学の優位性は次第に薄れてしまった。

短期大学の入学者が1993年をピークに年々減少した背景には、このような国の制度変更も少なからず影響している。

大学へ行っても「卒業後やりたいことがみつからない」学生が4割以上

大学進学率は年々上昇し、今では高校生の半数以上が大学へ進学する。と同時に学費等を奨学金で補う学生は増加の一途をたどり、大学生の2.7人に1人が日本学生支援機構の貸与型奨学金を利用している(同機構広報資料より)。第二種(有利子)でも民間の教育ローンより金利が安く、卒業後の長期返済も含めて、利用者や保護者にとってありがたい制度であることに変わりはない。

もうひとつ、興味深いデータがある。日本学生支援機構が在学生に対し、2年ごとに実施する最新の「学生生活調査」では、「卒業後にやりたいことがみつからない」と答えた人が、「大いにある」「少しある」を合わせて41.6%にのぼった(平成28年度調査結果)。つまり、やりたいことがみつからないままで大学の4年間を過ごし、卒業後に奨学金の返済が待っている学生が相当数、内在していることになる。今は就職の売り手市場といわれているものの、企業が「やりたいことがみつからない」就業意識の希薄な学生を積極採用するとは考え難い。

新卒正社員としての就業機会を逃すことで奨学金返済が滞るといった、負のスパイラルに陥る危険性もある。

昨今、奨学金の返済問題がメディアで取り沙汰されているが、論点を変えて、やりたいことがみつからない学生が、奨学金を利用して4年間大学に行くことのリスクについて、今一度考えてみてもいいのではないだろうか。

大学や専門学校でも困難な学部・コース変更

さらに「やりたいことがみつからない」ことが動機となる、大学の学部変更は決して容易ではなく、学ぶ姿勢自体に消極的な学生が乗り越えるのはほぼ不可能であろう。専門学校も同様で、入学後の分野ミスマッチを在校中に回避し、他分野に移行することは大変難しいと聞く。結局は退学し、一から学び直しという道を選択せざるを得なくなる。

「君たちはどう生きるか」という児童文学を焼き直したマンガが、若者の間でも空前のベストセラーとなっている今日、自分の将来について決められない、やりたいことがわからないといった不安を抱えている若者は、想像以上に多いのかもしれない。

短大卒業後の進路選択のチャンスを最大限に活かす

すべての18歳に、将来の方向性について決断を迫ること自体が酷な話だとしたら、現行の高等教育制度を活用し、多様性をもった柔軟な学びの道を模索してはどうだろうか。

そのひとつとして、高校卒業後、短期大学へ入学するケースを考えてみたい。
短期大学の2年間で教養と専門教育の基本を学び、20歳に卒業後の進路として①大学へ編入し、学問を深める②違う学部の大学へ編入し、やりたい学問を学ぶ③専門職大学(専門職短期大学)へ進学し、技術と理論を学ぶ④就職して社会で活躍する⑤就職して数年後、大学(専門職大学、専門職短期大学)で学び直す⑥外国へ留学する といった多彩な進路が可能となる。

ここで言いたいのは、短期大学は入学して2年後にもう一度「選択のチャンス」があるということだ。大学への編入学は年々門戸が開かれつつあり、学びの継続も可能になった。

さらに2019年4月にスタートする新しい学校種「専門職大学・専門職短期大学」の活用もできる。就職しても数年後、再び学ぶ「リカレント教育」を主眼のひとつに誕生した制度であり、キャリアチェンジも含めた学び直し制度が拡充されつつある。

1面で紹介した、淑徳大学短期大学部の事例にもあるように、2年教育の中では人柄教育も含めた密度の濃い教養教育と専門教育を行っているため、学科の専門職として、それぞれの現場で活躍する進路も選ぶことができる。

短期大学は2年で「卒業」できる。これは次の進路選択、将来設計において大きなアドバンテージとなり、やりたいことがみつからない大学2年生、3年生とは、大きく異なる点であろう。