【獣医学特集】日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 卒業生インタビュー|大学Times

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大学Times Vol.28(2018年4月発行)

【獣医学特集】日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科 卒業生インタビュー

メーカーや国から依頼を受け、食品等を分析して消費者の安全・安心に貢献する日本食品分析センター。その中で、食品の中の微生物の分析を中心に携わっている住谷さんに、食品分析は実際どんな仕事か、仕事に就いたきっかけ、日本獣医生命科学大学 応用生命科学部 食品科学科で学んだことを伺いました。

住谷 真理さん

事件の裏側で世の中に影響を与えることも

会社のことや仕事について教えてください。

日本食品分析センターは、食品や医薬品、化粧品などの分析を行っている会社です。その中で、食品の中の微生物分析業務を中心に携わっています。会議や報告書を作るのも業務のうちですが、ほぼ一日中、顕微鏡を覗いたり、試験管を振ったりして分析・実験をしています。

この会社に入社して8年目になりますが、一貫して微生物部で働いています。最初は東京本部の配属でしたが、入社4年目のときに、多摩研究所での食品部門の立ち上げの中心メンバーに選ばれたことで、こちらに異動してきました。このように、若手でも力を発揮する場を与えてくれる会社です。

お客様は個人ではなくメーカーが中心になりますので、表立って名前が出ることはあまりない仕事ですが、皆さんになじみがありそうな話として、コンビニなどに置いてあるお弁当や飲料などに記載されている賞味期限の日数が微生物的に問題ないかを分析・試験しています。

国からの検査の依頼もあります。2012年頃に集団食中毒をきっかけとして、ユッケが規制されたことがありましたが、その法律を作るためのデータ収集の仕事もやっていました。表に出ない仕事ではありますが、実は世間を動かすような仕事もできることが、他の会社にはない魅力だと感じています。

私はもともと食べることが好きで、食品に関わる仕事がしたいという思いがありました。けれど、一つの食品メーカーにこだわってしまうと、限られた商品にしか携わることができません。そこで研究室でお世話になっていた藤澤倫彦先生に相談してみたら、「こういう仕事があるよ」と食品分析の仕事を紹介してくださいました。色んな会社と付き合いがあり、様々な食品を扱えるのが、この仕事ならではの面白みでもあります。

どんな人が働いていますか? 仕事のやりがいは?

卒業生インタビュー

日本食品分析センターでは、女性の比率が圧倒的に多いです。産休から職場復帰されて、長く働いている女性も多数います。食品分析は手作業になりますから、気を配らなければならない場面はよくあります。そうした意味では、細やかな配慮ができる人が比較的多い女性の方が向いていると感じるところはあります。

業務時間は、9時から17時半までというのが基本ですが、異物混入など、世間を騒がしている事件などが起こったときに、微生物部は忙しくなる傾向があります。このような報道があると、事件を起こしていないメーカーにも消費者からの問い合わせが増えるのです。それをきっかけに、安全・安心をより確実にするために依頼がくるケースが多いです。

そうした中でも、なるべくオン・オフをしっかり区別することを心がけています。残業が多くなりプライベートがなくなると、絶対嫌になるのでいかに業務時間内に効率的に仕事を終わらせるかを考えます。そして、分析業務はとにかくスピードが要求される仕事です。お客様は本当に困っているケースが多いので、いかに速く正確に結果が出せるかが求められます。効率よくスピーディに仕事をすることで、お客様にも喜ばれるのです。電話口でメーカーの方とお話することもありますが、「本当にありがとうございました」と感謝の言葉をいただいた時は、この仕事をしていてよかったと感じます。

食品科学科の学びの中で微生物の魅力に気づく

食品系の大学に行こうと考えた理由は?

卒業生インタビュー

大学選びの際は、食品にちなんで栄養学などになんとなく興味を持っていました。また、千葉県の実家からでも通えるということを重視していました。せっかく入学しても、通えなければ意味がありません。他の大学と比べたことがないのですが、日本獣医生命科学大学は、最寄駅の武蔵境駅から徒歩2分のところにキャンパスがあるので通いやすく、駅周辺もとてもいい環境なので4年間不満なく過ごすことができました。

大学に入学してからは、ひたすら勉学に励むとともに、授業の後は、サークルに行き、みんなで遊びに行くこともしばしばでした。私は合唱サークルや柔道部や野球部のマネージャーなど、いろいろなサークルに参加させてもらい様々な経験をしました。他大学と比べても、サークルは充実しているほうだと思います。馬術部や野生生物研究会、ケネルクラブなど動物系のサークルが多いのも日本獣医生命科学大学ならではです。

高校のときは食べるのが好きなだけでしたが、大学の食品科学科で授業を受けたり、先生や先輩から触発されたりして、いつの間にか微生物という肉眼では見えない生き物のことが、好きになっていました。実際いないと思っていても、「顕微鏡を覗いてみるといる」というミクロの世界です。2年生の終わりに、腸内細菌を中心に研究している藤澤先生の食品衛生学教室を選択したのも、「微生物にもっと関わりたい」という気持ちがあったからです。大学に入ってから、微生物の魅力に気づきました。

研究室は何人くらいでした?雰囲気は?

卒業生インタビュー

食品衛生学教室は、1学年約10名、大学院生をあわせて30名程度の研究室です。すごくのびのびしていて、雰囲気はすごくよかったです。藤澤先生は、本当に穏やかな方で、怒るところはあまり見たことがなかったです。ずっと実験をさせてもらって、時間ができると何となく足が向いているというような、本当に気さくで和気藹々とした研究室でした。今の仕事でも、比較的その研究室と近いことをしているので、好きなことをずっと続けられているという意味では、すごくよかったなと思います。

また、食品メーカーなどは就職サイトなどで求人が出ますが、食品分析をしている会社が表だって人を募集していることは稀です。ですから、藤澤先生を通して食品分析の仕事を知ることができたのは、とても幸運だったと感じています。そうした意味でも、研究室選びはとても重要だと思います。

日本獣医生命科学大学というと、どうしても獣医というイメージが強いですが、獣医だけではなく食を扱う学科もある大学だということをもっと広めていきたいです。この大学の食品科学科の学生は、獣医学部の学生との交流が持て、色んな話を聞くことができることもメリットだと感じます。

苦手なことから自分を見つめるのも方法の一つ

最後に高校生にアドバイスをお願いします。

就職のときは、その会社のことを調べたり面接等で職場を見せてもらったりして、色んな情報を集めます。大学への進学もこれと同じで、とにかくオープンキャンパスなどへ足を運びその大学のことを知ることが重要です。また、自分のモチベーションにつながるなら、大学のネームバリューで選択するのもいいでしょう。

学校の勉強については、やらなくていいということは何一つないと思います。どの勉強でも、やっておけば何らかのメリットにはなります。けれど、「あの人がやるから自分もやる」「あの人がやらないから自分もやらない」ということでは、確実に自分の力になりません。自ら選んで学んでいくことができれば、その事柄が自分に合うか合わないかが確実にわかってきます。なぜ合わないかを探れば、「自分はこういうことには向かないかもしれない」ということが見えてきます。苦手なことや嫌いなことから自分を見つめることで、自分の進むべき道が見えてくることもあるのです。