【大学入学者選抜改革特集】イベントレポート 神奈川大学高大連携協議会フォーラム|大学Times

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大学Times Vol.30(2018年10月発行)

【大学入学者選抜改革特集】イベントレポート 神奈川大学高大連携協議会フォーラム

神奈川大学高大連携協議会フォーラム

神奈川大学では、毎年1回高大連携に関する様々なテーマを設定し、各業界からの事例発表やディスカッションを行う「神奈川大学高大連携協議会フォーラム」を開催している。第13回となる今年は8月3日(金)に「高大接続に向けた入試改革と大学教育」−大学入試における多面的・総合的評価の現状−と題したテーマで開催され、間近に迫った入試改革の現状を知ろうと会場には地元・神奈川県のみならず全国各地から多くの高校・大学教員が集まった。当日行われた3つのプログラムの中で、本誌では第2部の鎌倉女子大学・神田外語大学・神奈川大学による実践発表と、入学者選抜改革の現状や今後の課題について3大学による活発な議論がなされた第3部パネルディスカッションの要旨を紹介する。

実践発表@

「高大接続改革に向けたAO入試の導入−小規模大学ならではの入試改革の可能性−」

鎌倉女子大学

鎌倉女子大学は教育系や家政系を中心とした3学部5学科構成で、学生数は短期大学部を含め約3,000名という、いわゆる「小規模大学」にカテゴライズされる大学である。本学では、4学科で行われるAO入試を2016(平成28)年度まで「プレゼンテーション型」として実施してきたが、2017(平成29)年度から「高大接続重視型」に変更した。これまでの入試方法では、高校時代の諸活動の取り組みと大学入学後の展望にミスマッチが生じていた。それなら文部科学省の指針に沿った入試方法を採り入れてみようというのが変更に踏み切った大きな理由である。

試験は2日にわたって行われ、初日は様々な志望学科の受験生5〜7名による集団討論30分とプレゼンテーション10分、2日目は60分800字の小論文と10分程度の面接となる。受験生には負担が大きい形式だが、この入試には該当学科の教員の約6割が携わることになり、大学側も手間をかけている。

結果として、導入初年度の志願者数は前年度より下がったものの、今年度は趣旨が理解されたのか、導入前を超える志願者数となった。また、AO入学生の1学年時GPAを見てみると導入前よりも約0.2ポイント上がっており、所期の目的は達成できたと言えるのではないか。

実践発表A

「神田外語大学 多面的評価の実践例−一般入試における面接実施について−」

神田外語大学

神田外語大学ではアドミッションポリシーに「コミュニケーション能力を習得している人」「国際社会で活躍する意欲のある人」と標榜している。入学後も日常的に学生同士や学生と教員がコミュニケーションを取りながら授業を進めていくこともあり、1987年の開学以来継続して一般入試(センター試験利用入試は除く)において全員の受験生に面接を実施している。

学力試験の成績がボーダー上にある受験生の判断材料とはするものの、面接の結果が合否そのものに影響するケースは殆どない。そもそも面接が嫌だという生徒は本学を受験しないので、受験生が自然にスクリーニングされ、入学した学生の授業聴講態度はとても良く、学生と教員の距離がより近くなるという好循環に繋がっている。

一方、AO入試では一部の学科・専攻で2018年度より「プレゼンテーション型」を導入した。プレゼンの内容は限定しない分選考には時間がかかるので、これを志願者の多い英米語学科でも実施するかは検討中である。入学生のGPAが他の入試方法より低くなってしまっている自己推薦入試も含め、多面的な評価方法については今後更なる検討が必要であるが、一般選抜における面接については今後も継続していきたい。

実践発表B

「高大連携と高大接続改革に向けた神奈川大学の取り組み−経営学部の事例紹介−」

神奈川大学

神奈川大学経営学部では、以前より受験生の高校時代の成績や入試の点数と入学後のGPAの相関関係を調査してきた。その結果、入試の点数と入学後のGPAに明確な相関関係は見られなかった。しかし、高校時代の評定平均値はGPAとの相関関係が強く見られた。つまり、高校時代に不得意科目を放置せず自主的に学習する姿勢を身に付けた学生が、大学入学後も良い成績を修めている。

また、入学後に充実した大学生活を送っている学生は、高校時代から学習習慣のみならず部活動や生徒会活動にも積極的に取り組んだ充実した高校生活体験を持つ傾向にある。

本学ではそのような「落としてはいけない」学生を多く拾い上げられるように15種類もの入試方法を採り入れている。入試全体の約45%が推薦系であることがその表れで、特にAO入試ではエントリーシート・事前課題・小論文を2名の教員が、プレゼンテーションと面接を3名の教員が選考にあたる。このように複数の目を通して選抜された学生には、入学直後からも演習を中心とした複数の教員と接点が持てるカリキュラムにより、更にその力を伸ばすことができる機会を提供している。

パネルディスカッション

−入学者選抜改革の「多面的・総合的評価」について、特に
@共通テストの利用有無
A英語外部認定試験の活用
B主体性の評価方法(調査書やe-ポートフォリオの活用)
C2021年度入試概要の発表時期
の4点について伺いたい

鎌倉女子大:@A利用の方向で検討 B総合型選抜は先程説明した形式で主体性は十分評価可能。学校推薦型はまず併設高校でeポートフォリオを検証、指定校は集団討論を検討。公募制は面接+小論文で見ていく。一般については他大学の動向も見ながら検討中 C総合・推薦は年内、一般選抜については年度内に公表予定。

神田外語大:@センター入試利用で入学する学生は成績が良いので利用 Aこちらも水準以上のスコアを持って受験する学生の成績は良いので利用の方向で検討。ただ、様々な種類や性格の異なる検定の中からどれを選択すればよいのか高校生はわからないのではないか。 B主体性を簡単に評価できる力量が自分を含めた教職員にあるとは思えない。eポートフォリオも全員に課すとなれば高校側は相当な負担を強いられるのではないか。現段階では面接以外の方法で主体性を評価することは慎重にならざるを得ない。

神奈川大:@A利用するが学部毎に方針を検討 B高校側の体制が整っていないと聞いているので、全面的に採用すると公平性を欠く。従って従来の選抜方法と併行利用して見ていくことになる。 C12月中旬から段階的に公表予定。

−英語の4技能評価および民間検定試験活用について具体的な検討の様子は

神田外語大:タイプの異なる検定を横並びに扱うための変換式をどのように策定するのか。かなり難しい作業になるが、何とか共通点を見つけて高校生のために道筋を作らなければならない。ただ、本学ではここ数年文法力がないために英語運用力が伸び悩む学生が増えている。4技能だけでなく英語教育全体の中で見直しが必要ではないか。

神奈川大:英語英文学科の教員より、4技能のうち一番評価が難しいのはスピーキングと聞いた。であれば公募制推薦の面接では英語による会話も含めようかという話になっている。英語は4技能が揃ってはじめて使える「道具」になると思っているので、今後の入試でも前面に押し出していくイメージで考えている。

−「主体性の評価」の基準として考えられる、大学に入ってから伸びる学生像とは

神奈川大:経営学部公募制推薦の面接を30年担当しているが、学部創設初期の頃は何かやってやろうというエネルギッシュな学生が多かった。そういったことがeポートフォリオの文面だけでどこまで読み取れるのか。読み取れない部分こそ直接会って確かめるということを丁寧にやっていくことが主体性評価のポイントだと思う。

鎌倉女子大:本学では人に接する職業を目指す学生の比率が高いので、テストの成績だけ良い学生よりも、出席状況が良く学校行事に積極的に参加する学生の方が伸びている。

神田外語大:成績が良くて意欲がある学生は手をかけなくても伸びるが、そういう学生ばかり入試で取れるわけではない。一番問題なのが勉強しなきゃと思うけどうまくいかない、いわゆる中間層の学生。本学ではそのような学生を伸ばすための仕組み作りに全学を挙げて力を入れだした。つまり入試における主体性よりも、入学後にどう主体性を育てていくかということを考えている。