【九州特集】福岡工業大学|大学Times

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大学Times Vol.31(2019年1月発行)

【九州特集】福岡工業大学

大学生が、目指すプロの業界に実際に就職する際に必要となる「就業力」。福岡工業大学では、就業力を構成する4つの要素を身につけていくためのカリキュラムを「就業力育成プログラム」として、6年前より全学的に体系化。学生たちが4年間の学習成果として、就業力を身に付けられる取り組みを行っている。

プログラムの誕生経緯と概要、評価

福岡工業大学では、キャリア教育の全学的な体系化を行うべく、平成22年度からカリキュラム改訂の議論を進め、平成24年度からコミュニケーション能力育成を主とした新カリキュラム「就業力育成プログラム」を開始、推進してきた。当初、同大学の工学部電気工学科において先行実施していた、コミュニケーション能力の育成を目的としたカリキュラムが一定の評価を受けており、これを全学に展開したものが就業力育成プログラムである。

就業力育成プログラムは、企業が求める人材像と教育目的との整合という視点で構築されており、コミュニケーション教育の全学的展開や、産官学連携によるインターンシップや招聘講義などによって、実践的人材の育成をめざしている。実施にあたり、低学年次にキャリア形成の基礎固めを行うための科目配当を行うこと、コミュニケーション教育関連科目を強化すること、「就業力コア」として就業力育成に関する科目の体系を明示することなどを基本方針としている。

この取組は、平成22年度文部科学省「大学生の就業力育成支援事業」に「『4つの力』育成によるキャリア形成支援」として採択されるとともに、平成24年度文部科学省「産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」にも採択された。今後も「地域力を生む自律的職業人育成プロジェクト」として、九州・沖縄・山口の23大学・短大との連携事業の枠組みの中で、さらなる改善をめざす。

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「就業力」を構成する4要素

このプログラムでは、以下に説明する就業力の4要素を、それぞれの趣旨に叶う学科目を学びながら段階的に修得する。まず「志向する力」でキャリア形成の基礎固め、「共働する力」でコミュニケーション教育の強化をし、残りの2つで問題解決力と、プロとしての実践力を身につけてゆく。

●志向する力

将来の職業や生き方について自ら考え、目的に向けて行動する力。入学前には、自分の将来についての作文課題が課され、入学後の個人面談では、提出された作文の内容に基づいたアドバイスが行われる。「キャリア形成」の講義では基礎的なスタディスキルのほか、目標設定、計画立案、自己管理等の具体的手法を学び、作文と面談を通じて、自分の大学生活や卒業後の職業生活への展望をさらに明確化できるよう学ぶ。

●共働する力

パートナーと共に考えを伝え合い、協力しながら活動するための力。「日本語表現」では、大学生活で目的に応じて文章を書くために必要な日本語の基礎知識や書き言葉の表現法を身につける。また、「コミュニケーション基礎」ではグループワークを通じ、論理的思考や基本的な議論・プレゼンテーションの方法を実践的に習得する。

●解決する力

問題を発見し、適切な方法でその解決を図る力。育成のために、2年次・3年次には、各学科における「技術者倫理」及びそれに相当する科目で、ケースメソッドとグループディスカッションの手法を用いた授業が展開され、問題発見から解決策の提案までのプロセスを学ぶ。それと同時に、技術者が社会に対して保持すべき倫理観を身につけ、専門分野における思考力・問題解決力・コミュニケーション力を高めていく。

●実践する力

学んだ知識を応用し、実際の仕事の中で活用していく力。実学系専門科目のグルーピングによって実学的専門的知識を深め、総合化するとともに、インターンシップなどの実習で企業での就業体験を重ね、学生たちの実際的な職業観を高めていく。

また、より高度な実践力を身につけるために、他学科で開講されている「特定専門科目」も受講できる。特定専門科目は「制御系科目群」「組み込みプログラミング系科目群」「環境エネルギー系科目群」の3グループで、それぞれに受講可能な他学部・学科の科目が指定されている。

特定専門科目では、学科の枠を超えて専門知識の背景や周辺領域等を学ぶことで知識の幅を広げ、専門性を高められる他、地元の企業や行政機関から講師を招いて行う招聘講義やインターンシップも産官学連携に基づいて組み込まれており、実践的知識や経験も得られる。

キャリアポートフォリオ

同大学ではプログラムの履修に際し、学生が学習目標の達成度をWEB上で確認しながら、新たな目標設定や課題発見ができるシステムとして、平成23年度より「キャリアポートフォリオ」を導入している。これは現行の学生情報データベースを拡張・運用するもので、学生の継続的、自律的学習をサポートし、自身の就業力を確認できるシステムである。

キャリアポートフォリオでは、最初にキャリアに関する目標を設定。目標が達成できたらポートフォリオに記録し、それに対する年次ごとの目標設定および自己評価などを行う。他にも、自分が履修した各科目における活動や状況、クラブ活動などの課外活動、インターンシップ活動や就職活動など、キャリアにつながる大学生活での多くの経験、それらより得られた学びや気づき、感想や反省を記録・蓄積していく。そうして学生が自らを振り返ることで、己の成長を感じ取ったり、新たな課題を発見したりしながら、最終的には4年間の学習成果としてどのような「就業力」が身についたかを確認できる。なお活動記録のうち、学んだことや気づいたことを前章で述べた就業力の4要素に当てはめることで、身に付いた能力の達成度がレーダーチャートで表示されるようになっている。

記録内容については、授業の担当者や学生サービスセンター(教務課・学生課)、就職課のスタッフたちが随時確認しながら、必要に応じアドバイスを行う。ポートフォリオの利用にあたっては、WEB学生情報ポータルサイトの専用ページにアクセスすれば、学生なら誰でも利用可能だ。

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