【これからの日本を変えるこの分野】女子栄養大学短期大学部 食物栄養学科|大学Times

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大学Times Vol.33(2019年7月発行)

【これからの日本を変えるこの分野】女子栄養大学短期大学部 食物栄養学科

短期大学が全国的に減少する昨今、学生満足度の高さで女子栄養大学短期大学部が注目されている。カリキュラムの柱は「調理技術の習得」と「栄養士資格取得」で、2年で調理技術力の高い栄養士として卒業できる。多くの学生にとって伸びしろのある20歳で技術力と短期大学士の学位を取得し、「就職」「大学編入」「専門学校進学」など多彩な進路選択の機会があるのは短期大学ならではの特権だ。栄養学の知識と調理技術はAI時代でもなくならない実学として、リカレント教育にも期待されている。女子栄養大学短期大学部食物栄養学科 豊満美峰子准教授に話を伺った。

予防医学の観点から栄養と食を考える
独自の【4群点数法】

本学の創立者・香川綾は医師だったことから、本学では「未病」という予防医学の観点から食と栄養教育を実践しています。栄養素の考え方も6群(タンパク質、カルシウム、カロチン、ビタミンC、糖質、脂質)ではなく、4群点数法【(第1群:乳・乳製品、卵、第2群:魚介、肉、豆・豆製品、第3群:野菜(きのこ・海藻を含む)、芋、果物、第4群:穀類、種実、油脂、砂糖、菓子、飲料、アルコール、調味料等)別表参照】という考えのもと、主食、主菜、副菜を偏りなく食べることを基本としています。

女子栄養大学短期大学部 食物栄養学科

薄味でもおいしく1回で味が決まる
「調味パーセント」計算法を習得する

食の基本は「健康でおいしく食べる」ことです。どんなに栄養の知識があっても、奨める食事がおいしく作れないというようなことのないよう、本学ではまず実習を大事に、学生の調理技術力を高めるための授業を進めています。

そのひとつが、「調味パーセント計算法」を用いて「正しい味付けを学ぶ」ことです。たとえば味噌汁は0.7〜0.8%塩分と設定していますが、特徴は「何人分でもおいしく、1回で味が決まる」ことです。一般的な家庭の味噌汁は塩分が1%を超えており、実習を繰り返すことで次第に味覚が慣れていきます。食材の調味分を数値化し、計量調味することで、教員だけでなくこれまで料理をしたことがない学生でも、常に同じ味に作れるようになるのです。1人分でも1000人分でも同じ味に作れるのが特徴で、学生は家に帰ってから家族に料理をふるまい、横でみているお母さまにも感心されるなど、とても喜ばれるそうです。この計算法をマスターすると、インターネットで公開されているあらゆる料理レシピも、アイデアはそのままに、健康的で正しい味付けに修正することが可能になり、健康でおいしい食事を作る技術が2年で習得できるのです。

果物や野菜の正しい包丁使いが必須
調理技術は教員とマンツーマンでトレーニング

1年生の前期には、包丁による野菜や果物の皮むきや切り方の実技試験を行います。学年約160名のうち、高校時代に調理師免許を取得した人を除き、ほとんどの学生が毎週のように教員からマンツーマンで包丁の正しい使い方を学びます。中には学校の調理実習以外で包丁を持ったことがないという学生もいますが、全員が真剣に取り組み、包丁を使った調理技術を習得します。トレーニングを通じて学生と教員とのコミュニケーションがとれるのも、本学の特色のひとつでもあり、教員が学生の名前と顔をしっかり把握しており「サボれない」環境が、結果として最短ルートで正しい調理技術を習得する道にもなっているのです。

「家庭料理技能検定」で習得した
調理技術力を試す

学生は1年次の11月に実施する「家庭料理技能検定」2級の一次(筆記)試験を受験します。この検定は、健全な食生活を支える家庭料理に係る技能の普及を図り、健康と食生活の向上、食育の推進に資することを目的としています。家庭料理とは日常的に食する料理一般をいい、技能とは家庭料理の調製に必要な知識・技術全般を指します。合格すると翌年2月に実技試験があり、約8割の学生が合格しています。難関の準1級試験にチャレンジし、合格する学生もいます。学生個々の調理技術力を試すべく、取り組んでいます。

卒業後は短大ならではの多彩な進路を選択

卒業後の進路は「就職」「大学編入」「専門学校進学」と、短期大学ならではの多彩な道に進んでいます。最も多いのが栄養士資格を活かして子どもたちへの食育を志し、保育園や幼稚園に就職する人で、求人も多いのが特徴です。その他には社員食堂を運営する給食会社や、臨床栄養学の知識を活かして病院や高齢者施設へ行く人もいます。

女子栄養大学へ編入学も推薦枠があります。管理栄養士をめざす実践栄養学科15名、食文化栄養学科10名を設けていますが、推薦に外れた学生も一般入試を利用して大学へ編入しています。  また本学のある駒込キャンパスは香川調理製菓専門学校と同じ敷地にあり、先生方とも日頃から交流があります。学生の中には野菜を使ったパティシエをめざして調理技術を究めるべく、短大から専門学校へ進学するといった進路選択も本学ならではだと思います。

女子栄養大学短期大学部 食物栄養学科

実社会と繋がり研鑽する教員
卒業時の学生満足度調査は高水準に

本学の教員はフードコンサルティングや企業での開発など、学生を教える傍ら社会活動も行っている人が多く、常に新しい研究や情報を取り入れ、質の高い教育として学生に還元しています。特に病人食などはフローが早く、日々勉強していなければなりません。また最近はハラル食や食アレルギーの問題など、数年前とは日本を取り巻く状況が変わり、食と栄養のプロフェッショナルとして切実に学ぶべきテーマが増えてきました。最新の情報について、卒業生も本学で学ぶ機会を設けています。

このような取り組みが、卒業時の学生満足度調査の高さにも表れたのかもしれません。特に「2年間の学びはあなたの今後の人生に役立つと思いますか」に99.4%の学生が賛同してくれています。

食べることが好きな人は伸びるという傾向があり、さらにスポーツをしている人には自分の身体に直結する学びです。また今は何をやっていいのかわからない高校生も、まずは本学をめざしてください。自分のためになって栄養士資格・栄養教諭2種免許状も取得でき、卒業後の選択肢も広がります。

日本のココが変わる

豊満 美峰子 准教授

交通の便も良い本学は、実はセカンドキャリアやリタイア後の学びにも力を入れています。これまでも60代の学生が活き活きと学び、若い学生たちともうまくコミュニケーションがとれています。AI時代には今ある多くの仕事がなくなるといわれていますが、「料理が上手」なのは自分や家族を幸せにできる究極の実学です。健康でおいしい食事を作る技術を習得し、卒業時に栄養士資格が取得できるのは、何よりの励みとなるでしょう。
リカレント教育には、期間や費用も含め2年で学ぶ実学が最適だと思います。

女子栄養大学短期大学部 食物栄養学科
豊満 美峰子 准教授 管理栄養士 博士(栄養学)

女子栄養大学栄養学部栄養学科栄養科学専攻卒業
女子栄養大学大学院栄養学研究科修士課程修了
株式会社消費経済研究所調査事業部研究員、女子栄養大学短期大学部食物栄養学科助手
2006年3月女子栄養大学博士(学位取得) 杉野服飾大学准教授を経て2010年4月より現職