【大学ism】静岡産業大学|大学Times

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大学Times Vol.37(2020年8月発行)

【大学ism】静岡産業大学

今、スポーツが持つ多様で根源的な力を、経済、文化、教育、地域などの諸問題の解決に生かす学びに注目が集まっている。スポーツをさまざまな領域で生かすためには、スポーツに関する知識や技能を身につけるだけでなく、これまでのスポーツの枠を超え、スポーツが生み出す価値やその影響について理解し、応用できる力が必要とされる。2021年4月に開設する静岡産業大学スポーツ科学部での教育内容や取り組みなどについて、スポーツ科学部の学部長予定者である小澤治夫教授に話を伺った。

スポーツ科学部・学部長予定者プロフィール
小澤 治夫教授(おざわ はるお)

スポーツ科学部・学部長予定者プロフィール 小澤 治夫教授(おざわ はるお)

静岡県出身。医学博士。東京教育大学(現筑波大学)大学院体育学研究科修了。筑波大学附属駒場中高校教諭、北海道教育大学教育学部教授、東海大学体育学部教授、同大学院体育学研究科長、スポーツ医科学研究所教授を経て2017年より現職。多くの学会、研究会などを通じて体育授業の開発・改善、スポーツ教育推進に取り組む。

スポーツの「価値」を理解し、
より良い未来につなげる

学校体育の授業では、長距離走が苦手な生徒が多くいますが、大人になると市民マラソンにこぞって参加しています。何故でしょうか。それは、学校体育が厳しい練習の繰り返しになりがちで、苦しいものだからです。

私は、中学、高校、大学、大学院の約40年に亘って、スポーツ教育に携わってきました。そこで痛感したのが、日本のスポーツは厳しい練習の繰り返しによって、スポーツを「やらされている」と感じている人が多いということです。本来、スポーツは楽しむものです。スポーツをすることで心と体をリラックスさせ、健康増進につなげることができます。また、競技スポーツでは、勝利することで得られる達成感だけでなく、私たち自身のコミュニケーション能力や指導力、協調性や向上心を育ててくれます。試合を観戦し、応援するだけでも、スポーツを通して感動や爽快感、活力を手にすることができます。

世界中を震撼させた新型コロナウイルス感染拡大によって、多くのスポーツの競技会や活動が中止になりました。これまで経験したことのない「スポーツができない世界」に直面し、スポーツが私たちの生活に欠かすことのできない存在であることを改めて感じた方も多かったのではないでしょうか。スポーツが生み出す価値や可能性に気づくこと。それがスポーツの未来だけでなく、未来の社会を豊かにする鍵になると考えています。

スポーツに関する幅広い知識と技能を学ぶ
「スポーツ科学」とは

2021年4月、磐田キャンパスに念願であった「スポーツ科学部・スポーツ科学科」が誕生します。この学部が目指すのは、スポーツを楽しむ心と体を育み、スポーツに関する幅広い知識と技能を身につけ、豊かな社会を創るためにスポーツを生かせる人材の育成です。

「スポーツ科学」とは、体育学だけでなく教育学、社会学、医学、心理学、統計学などから、スポーツに関するすべての事象について学び研究できる学問のことです。例えば、数値データに基づいて競技や練習法を科学的に解明することは、アスリートとして成長するほかにも、スポーツ競技の戦略や指導を考える上で重要です。また、スポーツの歴史やルールなどを研究することは人文科学の分野、地域社会での活動やスポーツ産業、そして、ビジネスに結びつくのは社会科学の分野になります。このように「自然科学」「人文科学」「社会科学」の学問分野から、スポーツについて学ぶことができます。

スポーツ好きやスポーツ経験者が持つ資質を伸ばしながら、学び得た知識や技能を「未来」のために生かせる人材となってほしい。そのために、最先端の教育・研究に対応できるように全国から教師陣を集め、スポーツ関連施設や最新の測定器などを完備しました。スポーツ科学を極める上で必要な学習環境が静岡県の磐田市に誕生したといっても過言ではありません。

静岡産業大学

学生自らの将来目標の実現を目指し、
「顔の見える支援」を充実

スポーツ科学部では、「する」「みる」「ささえる」「知る」の多角的な視点から、スポーツへの理解を促していきます。学びの柱として「スポーツ科学実践」「健康づくり」「スポーツ教育」の三つの領域をおき、少人数クラスの中で、スポーツに関する高度な専門知識と技能を学びます。また、スポーツ科学の理論と実践の融合を図るために、地元の企業や自治体、教育機関などと連携した「実学教育」を展開するなど、将来、スポーツ科学を多彩な領域で応用できる力を身につけていきます。(図参照)

スポーツ科学部の学びの概念図

特に、キャリア支援では「就職をゴールとせず、社会に出てからも成長し続ける人材を育てる」ことを目標とし、1年次から「キャリアデザイン」の授業を開講。2年次には全学部生を対象にしたキャリアカウンセラーによる個別面談を行い、学生の状況や将来目標などを聞きながら、ニーズに合わせて学内外で実施されるプログラムを提供します。

例えば、スポーツマネジメントに興味がある学生には、本学が独自に開拓したJリーグチームなどでのインターンシップ先を紹介し、中学・高校の保健体育の教員や公務員を目指す学生には「教職センター」や「公務員塾」と連携して試験対策の支援を行います。また、スポーツ科学部に在籍しながらビジネスの知識理解を深めたい学生には、磐田キャンパス内の「経営学部」で開講する科目を30単位まで履修できる制度を設けるなど、定員120名という小さな学部ならではの「顔の見える支援」を大事にしていきたいと考えています。

入試改革元年!スポーツ科学部ならではの
総合型選抜入試

今回の入試制度改革では、①知識・技能の習得、②(①を基にした)思考力、判断力、表現力、③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度といった力を、高校生活でどれだけ身につけてきたかを大学入試で確かめることが求められています。本学部の入試制度もそれをふまえて設計しています。

例えば、総合型選抜入試(旧AO入試)は、3つのタイプ(オープンキャンパス参加型、諸活動評価型、スポーツ実技型)があり、このうち「スポーツ実技型」はスポーツ科学部独自のものになります。志望理由書では計画的に学習を行おうとする態度を、調査書や面接は知識や理解、技能について評価し、課題レポートで受験生の学びへの関心や意欲、思考力などを確認します。スポーツ実技型ではそこに「運動能力」が評価項目に加わり、それらの総合評価で合否を判定します。実技試験は、高校の学習指導要領等にもとづいて「器械運動」「走跳投」「球技」「武道」「ダンス」の5種目の中から選択した3種目によって評価しますので、ある競技に特化した運動能力を求めるものではなく、スポーツや運動を楽しむために自分の体を自由に操作できる力を身につけた人材を求めています。このほかにもさまざまな入試制度を設けることで、運動の得意・不得意に関わらず、自らの得意分野で入試に挑めるように工夫しています。

このように、スポーツ科学部では、自らの可能性を信じて行動する学生のために、多くの機会を用意しています。入学から卒業までの四年間、精一杯頑張ることのできる環境や支援体制を充実させ、受験生の皆さんを心よりお待ちしています。