【看護・医療系大学特集】北里大学|大学Times

  1. 大学Times
  2. 特集記事一覧
  3. 【看護・医療系大学特集】北里大学

大学Times Vol.38(2020年10月発行)

【看護・医療系大学特集】北里大学

2020年1月に国内最初の新型コロナウイルス感染症患者が報告されて以降、日本社会が震撼し、国民の日常生活が変容したことは周知の通りである。その渦中に、北里大学は法人・大学の理念※に基づき、いち早く本件に対処するため「COVID-19対策北里プロジェクト」を3月に立ち上げ、先駆的な研究を開始した。ここでは、プロジェクトの始動から半年にわたる同大学の取り組みと、その研究成果に触れる。
※学校法人北里研究所の理念:いのちを尊(たっと)び、生命の真理を探究し、実学の精神をもって社会に貢献する。

2019年より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な感染拡大が続く中、北里大学は2020年3月19日に、「COVID-19対策北里プロジェクト」を立ち上げた。これは今から130年以上前の1889年、世界で初めて破傷風菌の純粋培養に成功し、翌年には血清療法を確立して、人類の伝染病との闘いに新たな1ページを刻んだ同大学の学祖北里柴三郎から、2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智特別栄誉教授を経て続く、同大学と設置法人である北里研究所が持つ感染制御の伝統や創薬の実績を踏まえてのもの。

COVID-19対策北里プロジェクトでは、国内外既存承認薬の探索研究の実施をはじめとした複数のプロジェクトを全学的体制で実施。一人でも多くの患者の命を救うべく、多様な研究に取り組んでいる。

プロジェクト代表である花木秀明教授・感染制御研究センター長はプロジェクトのこれまでを振り返り次のように述べている。「『COVID-19対策北里プロジェクト』に対して、開始当初より多くの方のご支援をいただき大変感謝しています。皆様のご支援により、承認薬の検索、消毒薬や洗剤の有効性、イベルメクチンの医師主導治験、抗体保有率、漢方の有効性など、様々な研究を実施しています。私たちの使命は、学祖北里柴三郎の実学の精神に則り、プロジェクトの研究成果を社会に還元することです。これからもプロジェクトを強力に推進するとともに、得られた研究成果を広く社会に役立つよう発信してまいります。」

COVID-19対策北里プロジェクト体制図

プロジェクトの過程

3月19日:「COVID-19対策北里プロジェクト」始動
新型コロナウイルス感染症を克服するための研究をスタート。COVID-19対策北里プロジェクト募金も同日に募集開始。

4月17日:医薬部外品および雑貨の新型コロナウイルス不活化効果に関する実験結果を発表
消毒効果が期待できる市販製品を対象に実施した実験結果を公表。消毒用アルコールの品薄状態が続く中、日常生活での感染予防に役立つ情報を提供。

5月6日:西村康稔経済再生担当大臣が研究所を視察
西村康稔経済再生担当大臣が北里研究所の研究室を見学。同プロジェクトの取り組みについて研究者から説明を受け、意見交換を行った。また大村智特別栄誉教授らが開発し、ノーベル生理学・医学賞の受賞につながった抗寄生虫薬「イベルメクチン」に新型コロナウイルスに対して効果がみられるとする論文が海外で複数発表されたことを受け、安倍晋三首相(当時)もイベルメクチンに期待をしている旨の発言が西村大臣からあり、治療薬の候補として注目が高まった。

5月7日:ウイルスへの中和能を持つ抗体取得に成功
片山和彦教授らの研究グループが(株)Epsilon Molecular Engineering、花王(株)との共同研究で、アルパカに由来するVHH抗体に、新型コロナウイルス感染の抑制効果があることを発見。治療薬や診断薬の開発につながると期待されている。

6月11日:プロジェクト代表の花木センター長が衆議院第一議員会館で講演
7月21日:プロジェクト代表の花木センター長が自由民主党の調査会で講演

プロジェクト代表の花木センター長が、6月11日には衆議院第一議員会館、7月21日には自由民主党本部で行われた科学技術・イノベーション戦略調査会に講師として登壇。プロジェクトの進捗およびイベルメクチンの医師主導治験の計画を講演。日本での抗菌薬の供給体制が諸外国に依存していることなどについて、問題提起も行った。

8月19日:「漢方プロジェクト」開始
「漢方プロジェクト」がスタート。漢方医学的側面から、「感染予防」「発症予防」「重症化の阻止」「肺炎の克服」「体力回復・後遺症症状の緩和」と、新型コロナウイルス感染症のステージごとに、それぞれの段階における漢方治療の提案・実施と、実施症例報告の収集・解析を行う。

8月28日:東京都と連携協定を締結
北里研究所と東京都が、新型コロナウイルス感染症対策に関する連携協定を締結。これまでの研究成果を都民に還元し、感染症対策に役立てるほか、東京都の持つ環境やリソースを活用した研究の促進を目指す。

9月1日:消毒薬の効果を再検証、感染予防に有用な製品を評価
4月17日に公表した実験を発展させた研究論文が学術誌「感染制御と予防衛生」(メディカルレビュー社)に掲載された。この研究はウイルス不活性化効果を評価する高い技術力によるもの。

9月17日:イベルメクチンの医師主導治験を開始
北里大学病院において、イベルメクチンの新型コロナウイルス感染症に対する適応追加を目指した医師主導治験がスタート。新型コロナウイルス患者に対する二重盲検比較試験を実施し、治療薬としての効果を検証する。

北里大学からのメッセージ

COVID-19対策北里プロジェクトの運営は、皆様からの寄付に支えられています。「COVID-19対策北里プロジェクト募金」は9月末現在で1,400件を超え、多方面からご支援をいただいております。特に企業や団体のみならず、個人様からのご支援が多いことが特徴です。その期待に応えるべく一層の研究推進を図り、北里柴三郎博士の実学の精神をもって社会に貢献していく所存です。

寄付受け入れ期間:
2020年3月19日~2021年3月31日
寄付に関すること:
学校法人北里研究所 総務部企画課
〒108-8641 東京都港区白金5-9-1
TEL:03-5791-6474
E-Mail:kifu@kitasato-u.ac.jp