【大学ism】静岡産業大学|大学Times

  1. 大学Times
  2. 特集記事一覧
  3. 【大学ism】静岡産業大学

大学Times Vol.38(2020年10月発行)

【看護・医療系大学特集】スペシャルインタビュー NPO法人ピースウィンズ・ジャパン「空飛ぷ捜索医療団(ARROWS)」

今、「地方創生」「人生100年時代」「SDGs」「Society5.0」など、新しいキーワードが生まれ、また、新型コロナウイルス感染拡大によって、これまでの生活様式や価値観も大きく変化している。移り変わりの激しい現代社会を生き抜くためには、教養として学問の原理・原則を基礎におきながら、これからのビジネスや生活の場で学びえた知識や技能を生かせる“実践力”が欠かせない。これからの企業や地域社会の持続的発展を担う“産業界が求める人材育成”のために地方にある私立大学の役割とはなにか。2020年4月、経営学部長に就任した佐藤和美教授に取り組み事例などの話を伺った。

経営学部・学部長プロフィール
佐藤 和美教授(さとう かずみ)

明治大学大学院商学研究科博士課程後期単位取得満期退学。商学修士。1983年、財団法人日本システム開発研究所嘱託研究員を経て、1985年、鹿児島女子短期大学専任講師。2002年に静岡産業大学経営学部助教授となり、2007年4月准教授、2011年4月教授に就任。2020年4月から現職。専門は経営分析、管理会計、公会計。著書に『アカウンティング-企業経営と会計情報-』税務経理協会、『グローバル社会の会計学』森山書店。研究論文に「持続可能な水道事業に向けての財政展望」他。

就職率100%を目指すことは
企業や地域社会に“求められる人材育成”につながる

静岡産業大学経営学部が静岡県磐田市に誕生して四半世紀が経ちました。開学より本学が地元の企業や地域社会で求められる人材の育成にこだわってきたのは、地元産業界や地域住民からの熱い要請を受けて設立した私立大学であり、その出発点が「経営学部」であったからです。

経営学は、現実社会と密接に結びついた“実学”です。また、企業を対象とした学問ともいえます。例えば、経営学では、企業の経営戦略や組織戦略、マーケティングや会計・財務などをもとに、ビジネスに関する事柄から企業の行動や意思決定を解き明かすことができます。本学が企業や自治体などと連携した授業やプロジェクトなどを「実学教育」と称し、推進しているのも実学を重視しているためです。中でも、静岡県に必要な人材を大学と企業や団体、自治体が協力して育てようという精神のもとで開設した「冠(かんむり)講座」では、ビジネスの最前線で活躍する人材と最先端のビジネス情報を正課の授業に組み込み、学生たちに伝授しています。

多種多様な実践の場を通じて学生はビジネスに必要な知識の理解を深められ、経営学部の就職率は、ここ数年間で99%以上を維持できています。これは、これまでの教育成果のあらわれと嬉しく思う一方、新しい時代にあった力を身につけた人材を輩出するために我々はどのような教育改革を行うべきか。今、まさにそれを問われていると感じています。現在、本学の経営学部は磐田キャンパスだけでなく藤枝キャンパスにも設置していますので、経営学部長としてのバトンを引き継ぎながらその責任の大きさを感じているところです。

教育の基本にあるのは、
学生自身が社会に出た後も成長し続けるための“種”を蒔くこと

私は長年にわたって管理会計および経営分析の学問分野で、研究や講義に携わってきました。その中で学生たちに伝えてきたことは「変わりゆくもの」と「変わらないもの」、および「相違するもの」と「共通するもの」の認識です。

例えば、企業経営に役立つ管理会計の手法は、時代の変遷とともにその時代に有効な手法が生み出されてきました。古くは20世紀初頭の予算や標準原価を用いた組織管理の手法に始まり、その後、企業の成長にともない様々な手法が生み出され、実際の企業で活用されてきました。大事なのは、「なぜ、その時代にその手法が生まれたか」を考察すること。変化が起きた理由や背景を理解することは、学生が未来に向かって新しい手法を思考する原動力を培うことにつながります。そのために「変わりゆくもの」の認識が必要なのです。

では、「変わらないもの」とは何でしょう。それは、いつの時代も組織を構成するのが「人間」であるということ。手法を用いるのも、それによって影響を受けるのも人間であり、いつの時代も変わりません。管理会計の手法を成功させるか否かは人間次第なのです。そして、相違と共通の認識も同様です。多くの事象において、なぜ相違点があるのか。なぜ共通項を求めようとするのか。それらを明らかにし、認め合うことから物事の思考が始まります。

「なぜ」から始まる思考力は知識の修得と一緒になって、様々な「気づき」を生み、社会の成長を促します。卒業した後も学び成長し続ける“種”を蒔くこと、これこそが教育の基本と考えます。

「ビジネス専門基礎教育」と「多彩な学問分野」の掛け算で、
自分らしさを生かして学び、ビジネスに必要な力を修得

学び成長し続けたいと願う“種”は別の側面からも与えることができます。それは、学生一人ひとりの学びへの「興味」や「関心」を膨らませることです。
経営学部では、学生の興味・関心や将来目標にあわせて体系的に専門性を深められるように、学修目標を5つのフィールドに分け、学問分野・科目を的確に組み合わせながら自分だけのカリキュラムを作ることができます。具体的には、ビジネスの基盤となる「経済学」「経営学」「商学」「会計学」「心理学」「統計学」を専門基礎教育科目として位置づけ、学生の興味・関心にあわせた「地域マネジメント」「スポーツマネジメント」「データマネジメント」「ビジネス心理」「子ども情操心理」のフィールドから専門を深められるように工夫しています。

例えば、「スポーツビジネス」に興味があれば、前述の専門基礎教育を修得しながら、そこに「スポーツマネジメント」フィールドから「スポーツ」をキーワードに専門科目を選択することで、経営学の視点からスポーツ産業の特性を理解し、食や旅行、IT、健康などの地域資源とスポーツを融合させながら新たなスポーツ産業を創出する人材を目指せます。また、「保育」や「子ども支援」に興味があれば、必要な専門基礎教育を修得しつつ、そこに「子ども情操心理」フィールドから「子ども」をキーワードに専門的理解を深められ、保育学の視点で子どもを取り巻く環境や社会変化を理解し、子どもの家庭への支援や保護者への相談援助に関する心理学の知識と技能を身につけられます。

このようにビジネスに必要な基礎知識と多彩な学問分野の掛け算により、学びへの可能性が無限大に広がります。また、学生は興味・関心を持って学ぶ楽しさを知ることで、社会に出た後も学び成長し続ける人材につながっていくのです。

一人ひとりの“想い”や“がんばり”を
大切にした入試制度などを展開

今回の入試制度改革は、①知識・技能の習得、②(①を基にした)思考力、判断力、表現力、③主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ力など、高校生活でどれだけ身につけてきたかを大学入試で確かめることが求められています。

例えば、経営学部の総合型選抜入試(旧AO入試)は、2つのタイプ(オープンキャンパス参加型、諸活動評価型)があり、志望理由書では計画的に学習を行おうとする態度を、調査書や面接は知識や理解、技能について評価し、そして、課題レポートで受験生の学びへの関心や意欲、思考力などを確認します。特に、諸活動評価型では、高校在学中にがんばったことを題材に課題レポートを作成しますので、提出されたものを面接で丁寧に聞き取りながら評価に加えていきます。

また、総合型選抜入試で合格した受験生は、大学入学まで勉強習慣が維持できないという課題がありましたので、希望すれば学業特待生に挑戦できる「特待生SSU定額パック9(ナイン)」を設けました。この制度を利用すれば、総合型選抜入試の受験料30,000円で、複数の特待生入試を受験することができ、毎年、多くの受験生が利用しています。この他にも多様な受験生を意識して入試制度を設けており、生徒自らが得意とする分野で入試に挑んでいただけます。

本学部が求めるのは、自らの成長や将来目標、地域社会のために、自律的に努力し続けられる人材です。がんばった経験があったり、熱い想いや学びへの意欲の高い人は、企業や地域社会で求められる人材として大きく成長できます。そのため、前述のような興味・関心を広げる学びのフィールドを設け、また、多様な経験ができる「実学教育」にも力を入れてきました。具体的な将来目標を持つ学生には、「公務員プログラム」「国際ビジネスプログラム」「金融・会計プログラム」など7つの進路別履修プログラムを通して目的意識を明確にしながら支援する体制などもあり、入試から卒業までの四年間、学生一人ひとりの想いやがんばりを大切にした支援を心掛けています。