理工系総合大学のハイレベルな研究環境~東京工科大学~|大学Times

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大学Times Vol.39(2021年1月発行)

理工系総合大学のハイレベルな研究環境~東京工科大学~

時代の要請に応え、6学部と大学院・研究所での充実した研究・教育を通して、社会で活躍する人材を多数輩出してきた東京工科大学。セラミックス複合材料開発の世界的な注目に続き、現代社会において深刻な環境問題を引き起こしている、廃棄プラスチックス問題の解決につながる研究が注目を集めている。2050年までの確立を目標とした、細胞プラスチックスの環境循環型モデルへの取り組みについて、同大の最新動向を紹介する。

「実学主義」でスペシャリストを輩出

東京工科大学は、時代の要請に応える形で、1986年の開学以来、深い教養と豊かな人間性を兼ね備えたスペシャリストを輩出してきた理工系総合大学である。「実学主義」を教育・研究の柱に据え、現在は工学部、コンピュータサイエンス学部、メディア学部、応用生物学部、デザイン学部、医療保健学部の6学部に加え、大学院、研究所を擁する。近年では広く産業界で求められるセラミック複合材料が注目を集めるなど、未来社会で活躍する人材育成に力を入れ、ハイレベルな研究環境での研鑽が可能となっている。

セラミックス複合材料センター

東京工科大学 セラミックス複合材料センターは、航空・宇宙分野から発電、自動車など産業界で広く必要とされる耐熱高温構造材料であるセラミック複合材料(Ceramic Matrix Composites 以下CMC)の開発を強力に推進しており、国内の産官学の連携拠点としてプロジェクト推進や共同研究を行う目的で設立されたセンターである。

2020年12月には、CMCセンターで研究を行っている「セラミックス複合材料の信頼性保証技術開発」が、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のクリーンエネルギー分野における革新的技術の国際共同研究開発事業に採択された。

また、CMCの信頼性評価国際共同プログラムが、航空宇宙業界の専門紙である航空新聞社の『WING』に掲載され、加えてCMCセンターの国際的な活動がThe Industrial Magazine of the American Ceramic Societyが出版するセラミック/ガラス業界の専門誌『Ceramics & Glass Manufacturing Vol.1, No.5』に掲載されているレポートで紹介されるなど、世界的に期待も高まる。

次世代細胞プラスチックスの循環型モデル

さらにこうした研究同様、国の研究機関の支援のもと進行するプロジェクトがある。近年、クジラの体内から大量のポリ袋が見つかるなど、廃棄プラスチックスによる環境汚染問題が深刻化している。これらプラスチックスの大部分は有限な石油を原料とし、製造・廃棄時に大量のCO2を排出、さらにリサイクル率が低い点などが問題視されている。

こうした問題の解決に向け、同大応用生物学部応用生物学科の中西昭仁助教率いる研究チームでは、微生物の細胞からつくられ利用後は自然分解されることを狙う、バイオニクスと有機化学を融合させた「循環型の次世代細胞プラスチックス」の研究開発を進めている。この研究もまた、持続可能な社会の実現に貢献する取り組みとして、公的法人であるNEDOの「未踏チャレンジ2050※1」に採択された。
※1 2050年を見据えたCO2の排出削減に貢献する優れた研究提案に対して研究委託や助成を行う事業

持続可能な社会の構築に貢献する

石油化学製品の代名詞であるプラスチックスを、微生物からつくるというユニークな研究は以前からあった。しかし、同大研究チームのアプローチは既存の研究とは少々異なり、硬い細胞壁をそのまま活かすというもの。微生物の細胞内でつくられた物質を用いてプラスチックスをつくるのではなく、緑藻の細胞壁の部分に着目した発想の転換が新しい試みといえる。作成過程で必要となる補強材は、工学部応用化学科・入谷康平助教の研究室と共同開発しており、学内での研究コラボレーションも盛んに行われている。

細胞プラスチックスの“地産地消”

この研究は、生物由来のプラスチックス開発に留まらず、次世代型材料を日本全国でつくり出せるようにするための生産システムの構想にもおよんでいる。目指すは、細胞プラスチックスの“地産地消”である。開発中の細胞プラスチックスの原料である緑藻の細胞は、コンパクトな設備でも培養可能なので、地域ごとに必要なだけ細胞プラスチックスを生産し、無駄なく利用する生産・消費のサイクルを目指している。緑藻細胞を供給するための細胞培養時に、細胞は光合成でCO2を必要とする。そこで、CO2を排出する化学プラントなどに生産拠点を隣接させることでCO2排出削減も目指す。(図1)

細胞プラスチックスの環境循環型モデルは、2050年までの確立を目指している。

世界を席巻する技術・研究を

研究開発は異分野の融合で大きく発展する場合が多く、このような技術が世界中の研究者を繋ぐ足場となる。自らの技術を通じて、学内や国内はもちろん、世界中の研究者とアライアンスを組むことで新たな研究テーマが生まれ、協力者のネットワークがさらに広がっていく。

東京工科大学には、世界を席巻するようなMade in Japanを創造する新たな技術・研究に触れる環境が整っている。

理工系総合大学として、ハイレベルな研究を進める同大の動向に注目だ。