【データサイエンティスト特集】インタビュー 高千穂大学|大学Times

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大学Times Vol.41(2021年7月発行)

【データサイエンティスト特集】インタビュー 高千穂大学

【データサイエンティスト特集】

高千穂学園の歴史は、明治期創立の小学校に始まる。1914年(大正3年)に私学初の高等商業学校を創立、実学教育を標榜し、戦後は高千穂商科大学として学問研究を通じた人格的資質を具備しうる人材の育成に尽 力してきた。2001年(平成13年)に経営学部を新設して高千穂大学と校名を変更。2017年(平成29年)にデータサイエンスを経営視点で学ぶ「情報コース」を新設し、注目を集めている。当コースについて経営学部 の永戸哲也助教に話を伺った。

高千穂大学 経営学部 助教 永戸 哲也(ながと てつや)

担当授業科目:情報リテラシー、情報社会論、情報管理論、ゼミⅠ、専門ゼミ

ビッグデータ、IoT時代に対応
「情報分野をコアに学びたい」学生も増加

経営学部は2001年(平成13年)に商学部から独立する形で新設されました。「情報コース」は今年で設置5年目、今年3月に第1期生が卒業しました。それまで情報分野の授業は選択科目として履修可能だったのですが、近年、ICT(情報通信技術)がビジネスに深く影響を与えるようになり「情報分野をコアに学びたい」という学生の要望も年々高くなったということも、コース設置の背景にあります。時代の流れはビッグデータ、IoT(モノのインターネット)、AIという言葉の出始めでした。人々の暮らしの中でデータがたくさん取れるようになり、個人情報を活用したビジネスが注目を集めています。マーケティングの世界ではこれまでは年齢、性別、地域などの属性によって予測が立てられていたことが、SNSやGPSによって人々の行動が具体的に見える時代となり、行動履歴や行動特性などのビッグデータを扱う技術がビジネスでも必要になったのです。


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膨大なデータのハンドリングが
経営の生死を分ける時代に

2000年以降、機械学習や深層学習の研究が進んだことでブレイクスルーが起こり、AI(人工知能)による自然言語や画像・文字認識などが使えるレベルになりました。新しいテクノロジーが世の中に出るときは、始めは期待を持って受け入れられるのですが、ある程度経つと冷静に判断され、現在は「幻滅期」という時期に差しかかっています。AIについても、現在の集積データが適切かどうか?といった課題もあります。

マーケティングだけでなく、これからはあらゆる領域で多くのデータを取得する時代になります。例えば接客での従業員の導線や応対内容、来客の導線などをセンサーや設置カメラでデータが取れるのです。これまでは情報機器にどうデータを取り込むかだったのが、IoTの時代が進むと自動でデータが取れるので、膨大な取得データをどのようにハンドリングするかが、経営の生死を分けると言っても過言ではありません。その点が、データサイエンティストがビジネスで求められる理由です。

文系大学のデータサイエンスは
ビジネスで必要なスキルを意識して学ぶ

本来のデータサイエンスは理系の学問で、数学の高度な知識が必要です。文系の大学生にはハードルが高く、本学でもいかに学生が疲弊せずに学んでいけるかを常に心掛けています。本学としては、これからのビジネスの中で必要なスキルを身に付けることを見定めて、適切なデータサイエンス教育を行っています。ICTに関するリテラシー科目は大半の学生が履修していますが、セキュリティや知的財産権、依存や心身への影響などの問題に対し、ネガティブな側面からどのようにポジティブに活用するか、カリキュラムの中でサポートしています。

情報コースを設置してからは「プログラミングを学びたい」という学生が大幅に増え、実際にプログラマーやAIエンジニアをめざしたいという学生の希望も出てきました。とはいえ、本学ではサイエンスを強調するのではなく、将来的にデータサイエンスの専門家と一緒に仕事をする中で使える知識は何かを意識し、ビジネスとデータサイエンスとの継ぎ目を理解できる知識やスキルを身に付けてもらいたいと希望しています。

ICTを正しく知り
今までにないビジネスを創出してほしい

私が日頃、授業を行っているときに感じるのは、学生たちはチャレンジングな一方で不安を抱えていることです。コンピュータウイルスのような負の側面を取り上げて、怖がる傾向がみられます。ICTと向き合うとき、大事なのは「正しく恐れる」ということです。正しく知識を身に付ければ良いことの方が多いのですが、まるでブラックボックスを目前にしたように「怖いからやらなくて済むようにしたい」という意識が透けて見えることがあるので、学生の分からないことを解きほぐしながら払拭していきたいです。特に経営の面では、ICTで世界が広がり、予想もしなかったサービスが可能になるなど大きな飛躍ができます。最近ではウーバーイーツのように、ICTとスマートフォンの普及によって、飲食店と手の空いた運び手をつないでデリバリーをする「シェアリング・エコノミー」といった、今まで考えつかなかったサービスが可能になるので、恐れることなく是非とも自分のものにして欲しいということです。

特に情報コースでは、ICTの修得をめざした学生と、ユーザー目線に近い感覚の学生や経営サイドの視点を持った学生が一緒にいるという特徴があります。私のゼミでもICTビジネスを学ぶ学生とプログラミングを修得する学生がいますので、アイデアを実装する上で「できること」「できないこと」の切り分けや「テクノロジーで支援できるアイデア」もあることを学べるのが良い点ではないでしょうか。

学生の企画もWebデータを活用し
消費者目線からの脱却をめざす

今はスキルを身につければWebから必要なデータを取得して分析した上での企画が可能な時代になりました。これからはゼミの研究など、学生の企画も「◯◯がほしい」「△△は身近だから」といった単純な消費者目線のアイデアから脱却できると思っています。ゼミ生の中にスキルを持った学生が一人いることで、研究アプローチやプレゼン内容も変わるのではいかと期待しています。具体的には、プログラミングならば単に「アプリを作りたい」ではなく、ビジネス・アイデアを持つ学生に対し、スキルのある学生がデータを使うとこんなアプローチができると提案、実装まで連携ができるイメージを持っています。

社会的弱者に目を配れるICT人材を目指して、
一緒に学んでいこう

私の周りの学生はICTに興味のある人が多いのですが、ビジネス視点で考えることを忘れないで欲しいです。コンピュータができることと人間のできることには大きな違いがあるので、人の気持ちやビジネスの部分を読めるICT人材になってもらいたいです。

もう一つは、広い意味で社会が豊かになる、特に社会的弱者が楽になるという視点を持ってほしいということです。テクノロジーがこなれて実装されるときに大事なのは、弱者への視点です。そういうマインドを、これから学ぶ学生には忘れて欲しくないと思っています。

テクノロジーを使ってチャレンジしたい高校生を歓迎します。特にプログラミングの分野は手を動かして、集中してやらなければできないものなので、まずは毎日1行でもいいから地道にコードを書くなどの目標を継続してみてはいかがでしょうか。