【特集】特定看護師や薬剤師養成、チーム医療の枠組みなど大学の持つこれからの医療系の課題|医療・看護の高度化に向けて|大学Times

大学Times Vol.1(2011年2月発行)

【特集】医療・看護の高度化に向けて−医療・看護の高度化、専門化が進む今日、看護師を始めとした医療専門職を
養成する大学の果たす役割も今後ますます重要になるといえよう。
医療・看護の現状を見ながら、それに伴う大学教育のこれからについて展望
してみたい。−

特定看護師や薬剤師養成、チーム医療の枠組みなど大学の持つこれからの医療系の課題

特定看護師制度が実現すれば、「4大による看護師養成」に力が入る

特定看護師の養成要件として、先の検討会では、(1)看護師免許を持っていること、(2)看護師として一定期間の実務経験(例えば5年以上)があること、(3)特定看護師の養成を目的とした第三者機関が認定した大学院修士課程を修了していることなどを上げている。

「大学院修士課程の修了」が必須条件となれば、大学を卒業した学士の学位を持つ看護師が今まで以上に必要となり、大学教育の果たす役割が増すことは言うまでもない。問題点としては、指定基準である「実習場所(病院等)」を大学側が十分に確保できるかであり、チーム医療を実践していく上でも大きなカギとなる。先にあげた大学間での合併や、大学と病院との共同などは、そうした指定基準への対応も念頭に置いた動きと言えるだろう。

一時期減少した看護師養成校の定員と学生数は、看護師不足を解消するためなどから再び増加に転じている。看護師数自体も少しずつではあるが増えている。しかし、さらに高齢化が進むことなどで看護を必要とする人が増加すれば、必要とされる看護師の数はますます多くなることが予想され、看護師養成校の定員もさらに増えることが予想される。

特定看護師制度が実現すれば、国の方針でもある「4年制大学による看護師養成の主流化」が確実に定着する。当然のことながら今まで専修学校が担っていた養成枠が大学に移行するなど、看護医療や看護師養成における大学の役割はさらに大きくなるはずだ。

看護職員数の推移/看護師学校・養成所総定員の推移(PDFが開きます)

来年の薬学6年制の卒業生誕生で今後医療がどう変わる? チーム医療の枠組みや医療高度化で進む大学改革

2006年4月から適用された薬剤師養成のための薬学教育6年制への移行に伴い、2003年から2008年の間で大学新設を含め28の薬学部が開設された。チーム医療も視野に入れたより高度な薬剤師教育を目指して始まった新制度だが、すでに幾つかの問題を抱えている。学部増加による影響で各大学の受験者の減少も見られ、6年制初の卒業生は2012年に誕生するが、数年後の薬剤師の過剰供給も心配されている。

6年制では、長期実務実習のための実習施設を確保できるかが大きなポイントだ。昭和大学薬学部では、医・歯・薬・保健医療学部の揃った医系総合大学の特色を生かし、全学生が附属病院でチーム医療の実務実習を行っている。しかし、こうしたチーム医療に欠かせない他分野と協同した実務実習が、すべての薬学部で十分に行えているとは必ずしも言えず、大学側の今後の対応が注目される。

6年制初の卒業生について、活躍が期待される点は二つ。一つは最善の薬物治療の提案など、チーム医療において処方支援に積極的に関われる点。昭和大学ではバイタルサイン測定や注射、点滴などもできるようにする教育を進めており、これが広がりを見せる可能性がある。二つめは、一般用医薬品を使ったセルフメデュケーションを支援できること。供給過剰が心配されているものの、今後医療の形が変わる中で6年制を卒業した薬剤師の重要が高まるという予測もある。

医学部に関しては、地方の医師不足が懸念される中、定員増や国公立大学の地元優遇措置(地域枠)の導入などが行われているが、医学部新設を国が後押しする動きも見られ、国際医療福祉大学、北海道医療大学、聖隷クリストファー大学、東北福祉大学の4大学が新設の準備を進めている。医学部新設の動きは今度も広がる可能性があるだろう。チーム医療の枠組みや医療の高度化に伴い、前述したような実習施設の問題を含めて、医療系大学の改革がさらに進むことは間違いない。今年度の上智大学と聖母大学のほか、2002年の山梨大学と山梨医科大学、2008年の慶応義塾大学と共立薬科大学、2009年の愛知県立大学と愛知県立看護大学など、医療系単科大学と総合大学の合併の動きは、今後とも続くことが予想される。特に地方の医療系単科大学では、合併することで総合大学のスケールメリットやブランド力が生かせ、一方、総合大学にとっては医療系大学の教育力が生かせるなど、互いのメリットは大きい。これまで医療系学部のなかった早稲田大学のような総合大学に、新たな医療系学部が誕生する可能性も大いにあるだろう。

ここで、チーム医療に関する教育や薬剤師養成の現状について昭和大学薬学部の木内祐二教授、看護師養成教育の現状について昭和大学保健医療学部の副島和彦教授、菅原スミ教授に話を聞いた。

2003年〜2008年に28の薬学部開設(PDFが開きます)
用語解説(PDFが開きます)