大学Times Vol.24(2017年4月発行)
グローバル社会が進んだ現代社会は、あらゆる分野で「世界との関わり合い」なくしては存続できない時代になっている。大学にも、これまで以上にグローバル人材の育成が求められている昨今、多くの大学では、語学を主体とした留学プログラムが行われているのに対し、関西外国語大学では「専門分野を学ぶ留学」を充実させている。日本と海外のキャンパスで、学生は「どこの国に行っても対応できる力」を育み、真の国際人として社会へ旅立っている。
関西外大は、1966年の4年制大学開設以降、話者人口の多い英語とスペイン語教育に絞り、国際交流と留学プログラムの充実に力を注いできた。
現在では54カ国・地域383大学と協定を締結(2016年12月現在)、留学派遣学生総数は2,210人、外国人留学生の受入れ数は744人、1年間で2,954人もの国際交流(2015年度実績)を展開している。毎年、全学生の2割以上が留学、卒業時には約5割の学生が留学を経験する。本学における1年以上の留学は派遣先大学で現地学生とともに学士課程の授業を履修し、専門知識の修得をめざす「専門留学」や「リベラルアーツ留学」あ主流である。短期の留学を含めると、4週間から3カ年まで約30種類のプログラムがある。留学奨学金も充実しており、留学派遣される学生の約8割が、留学先での授業料、住居費、食費など何等かの免除または支給を受けている。その中でフルスカラシップ(授業料・住居費・食費支給)の派遣数は約340人に上る(2015年度実績)。また、海外の現場で国際的なビジネス感覚を養う語学&インターンシップ留学(ディズニーワールドリゾート、グランドティトン国立公園)など、他大学にはない規模の留学制度を有している。
2018年4月、中宮キャンパスから西へ400m、約5万㎡の土地に「御殿場キャンパス・グローバルタウン」を新設する。1年後の竣工をめざして、現在、整備が進められている。
キャンパス自体が海外の街並みをイメージして、5つのステージで構成されている。キャンパス内には約700人が入居できる「Global Commons 結-YUI-」を建設、グローバル人材育成の一翼を担う、多文化共生型の生活空間となる。外国人留学生と本学学生が「学・食・住」を共にすることで、日本にいながら、異文化理解をはじめ、問題解決力、自己管理力、チームワークなど社会人基礎力を養っていく。留学生を含めた学生同士の交流が活発化し、コミュニケーション力、異文化理解力などの向上により、教育効果の向上に寄与することが期待されている。さらに中宮キャンパスと一体運用し、スケールの大きな国際交流・国際教育の拠点として充実・発展をめざしている。
本学は航空業界に強く、特にCA(キャビンアテンダント)の就職者が多いことでも知られている。2015年は43名で出身大学別ランキング1位、過去5年間の総数も232名で1位の実績を維持し続けている(大学通信調べ)。その理由のひとつは、全日本空輸(ANA)、日本航空(JAL)と産学連携協定を結び、航空業界への進路を希望する学生たちに対し、実践的な講座やセミナー、エアラインフェアなどを開催している。有能な若き人材を標榜する企業と、航空業界を志望する学生の要望に大学として応える、WIN-WINの関係の成果であろう。
また、PBL(Project Based Learning)と呼ばれる課題解決型学習への取り組みも見逃せない。本学では就職支援授業として、企業や行政などと連携し、それぞれが抱える課題に学生たちが挑み、解決方法を考え、その成果をプレゼンテーションする。2016年度の実績では、商品開発や外国人観光客の誘致などについてのニーズを調査。語学力を生かして、外国人観光客へインタビューやアンケートも行うなど課題を探り、イベントの企画や情報発信の方法を考えたりした。さらに学習の域を超え、企業の販売商品を考案するなどの成果も上げた。
急速にボーダレス化が進む国際社会において求められるのは、高度な言語運用能力だけでなく、文化や価値観の違いによって生じる多種多様な問題を迅速に理解し、それに対応できる能力である。これらは、さまざまな経験を通してこそ身につくものではないかと考え、本学では留学に連携したカリキュラムや多種多様な留学制度、また異文化理解につながる環境などを整備し、学生に多様な機会を提供している。
以上のことから、本学では先進的なカリキュラムや留学制度を通して、高度な語学力を有し、異なる国や文化、民族、歴史、宗教への洞察力と、異なる価値観への寛容さを持ち、客観的・論理的思考力を身につけ、「コミュニケーション」「ネゴシエーション」「ファシリテーション」の力をも培った人材、どの国に行っても対応していける力、タフな精神力を有したグローバル人材の育成をめざしている。
2017年4月より新しい時代に対応するため、先進的な英語教育プログラムである「Super IES プログラム」がスタート。本学が長年培ってきた英語教育のノウハウと既存のIESプログラムや早期留学直結プログラムを刷新、海外協定先の3大学(ノーステキサス大、アラバマ大、ウエスタンオーストラリア大)と協働で開発したプログラムである。授業はすべて協定大学からの教員または本学が直接招聘したネイティブ教員が担当し、英語力の向上だけでなく、Content-based Approachからの実践的な授業展開により留学先大学の教育課程で専門知識を学ぶのに必要なスキルと能力などの修得をめざす。
大学で就業力を養った学生が、卒業後に就職した各企業で高い評価を受けているのも特筆すべき点だ。日本経済新聞社と日経HRの共同調査で、全上場企業を対象に新卒として採用実績のある大学上位10校のイメージや取り組みを4段階評価し得点化した結果、本学が「対人力」で1位となった。「コミュニケーション能力」「ストレス耐性」「柔軟性・適応力」の高さが評価されている。総合でも19位で、京都大学をはじめとした国公立大学が上位を占める中、この結果は、本学の先進的なカリキュラムと、単に語学留学ではない専門留学(語学をツールとした専門分野の学修)を柱とした実践的な学びが着実に社会で活躍する力となり、実社会に支持されている証でもある。
キャリアセンターには、豊富な経験を持ち、日本キャリア開発協会などでの資格を取得した「キャリア支援のプロ」が10人以上常駐。個別指導を基本として、就職支援に努めている。卒業後に、大学院進学や海外留学など就職以外の進路に進み、改めて就職活動をスタートさせる学生もいるが、本学のキャリアセンターは、卒業後概ね3年程度就職支援を行っている。また、英語キャリア学科では、3アドバイザーのうち、キャリアアドバイザーとして4年間就職のサポートを行うなど、アカデミックアドバイザー、スタディーアブロードアドバイザーとともに、学生の支援体制を整えている。これらの体制が英語キャリア学部就職率100%(2014年度 80名、2015年度 97名実績)につながっている。