大学Times Vol.29(2018年7月発行)
農学系12学科から構成される日本大学生物資源科学部は「生物資源の生産・利用に関する科学」「生命科学」「環境科学」を三本柱とし、時代に先がけた教育・研究を展開するためのフィールド、最新鋭の施設・設備を完備。都市近郊ながらも広大で恵まれた環境の中、学生たちは日々学業や研究に励んでいる。引き続き 関 泰一郎 教授に生物資源科学部の学びの特徴について伺った。
生物資源科学分野の総合学部として、私たちの暮らしに密着した「生命」、「食料」、「環境」の分野を中心に教育・研究を展開しています。植物、動物、微生物から海洋生物に至るまで、あらゆる地球上の生命体を網羅し、DNAなど遺伝子レベルから生物個体、生態系を対象とした研究を行っています。特に、獣医学や海洋生物資源に関する学科が開設されているのは本学ならではの特徴で、駅から徒歩3分の広大な一つのキャンパスに最新の講義棟、充実した実験・実習施設が整備されています。農場、演習林などのフィールドもキャンパス内に整備され、他大学のように移動に時間を要することなく、効率良く学習できる大きなメリットがあります。緑豊かで利便性の高い、充実した施設を保有するキャンパスは、都市近郊の他大学には見ることができません。
広大で恵まれたキャンパスにおいて、講義と実験・実習・演習を一体化させた独自のカリキュラムを構築し、総合的フィールドサイエンス教育を展開しています。本学部では他学科の授業を相互履修できる制度も用意され、どの学科に所属していても12学科の学問分野を幅広く学べる利点もあります。教員は、研究面において科学研究費補助金をはじめとした競争的外部資金を多く獲得しています。教育力の高さも本学の自慢で、学生が学会で受賞した件数も数多く、卒業研究や修士・博士研究が評価されています。研究活動には施設や設備の充実が不可欠で、その点からも他の大学に負けない卓越した環境が整っています。キャンパスの外にも演習林(北海道、群馬県、千葉県)、臨海実験所(静岡県)、富士自然教育センター(静岡県)が整備され、生物資源科学部の総敷地面積は東京都の武蔵野市と三鷹市を合わせたエリアにほぼ匹敵します。
私たちの研究室では人間と食べ物、病気との関係、特に生活習慣病を予防するための食べ方や食べ物について様々な角度から研究を行っています。栄養学と生理学を基盤とした領域で、食べ物の機能を生体の機能の側面からみていきます。基本的なからだのしくみに関する研究も展開し、肝臓の再生や肥満のメカニズム、血栓が解けるメカニズムに関する基礎的な研究も強力に推進して成果を挙げております。
「なぜ肥ると病気になりやすくなるのか?」に始まり、食べ物や食べ方を変えることで体の働きを整えて、病気を予防することができないか、などを探ります。また、ニンニクのにおい成分が人間の健康増進に有用であるなど、医食同源の考えと同様に、食べ物による病気の予防についても探っています。米国の癌研究所の研究で、ニンニクの摂取ががんのリスクを低下させる可能性が示唆されました。私たちはニンニク中の有機化合物ががん細胞を自殺させる仕組みを世界に先駆けて明らかにしました。
私たちはさまざまな生活習慣病に対し、薬による治療ではなく、食事や栄養をコントロールすることで予防・改善をめざしています。これらの研究は、高齢化社会を健康で快適に過ごすために、最も重要な課題を解決できるものと期待されています。
本学部は植物、動物、微生物など地球上のあらゆる生命について学べるので、理科の好きな生徒さんには向いている学部です。生命、食、環境に関連する諸問題の解決に興味のある人にもぜひ本学部を受験していただきたいと思います。さらに薬品の開発や健康に関心のある生徒さんにとっても、農学における学びのフィールドは興味深いものとなるでしょう。
「快適な生活」と「健康」をめざす本学部で、農学の新たな扉を開いてください。