【特集】製薬業界の動向 ノバルティスファーマ株式会社 採用グループマネージャー 梅本忠夫氏|大学Times

大学Times Vol.3(2011年9月発行)

【特集】薬学部の現在と未来 調剤薬局、製薬メーカー及び大学に聞く
薬学部6年制初の卒業生 その期待度と採用状況

製薬業界の動向 ノバルティスファーマ株式会社 採用グループマネージャー 梅本忠夫氏 現場実習での経験をフィードバックして
業務に活かせるような貴重な人材に期待

― 今年の新卒者の採用状況について教えてください

梅本 : 今年の新入社員は医薬情報担当者(MR)と臨床開発という2つの職種で採用しました。MR職は、自社の医薬品の有効性や安全性に関する適正使用情報を医師や薬剤師に面会の上、情報伝達・収集を行う仕事です。そのため、医学・薬学に関する専門的な知識が求められますが、営業という側面も求められます。

一方、臨床開発職は大学で薬学部を中心に、農学部や工学部でバイオ関連の研究をされている修士課程修了者を対象としてきました。今年からはさらに6年制の薬学部の学生も募集対象に加え、幅広く学生時代に学んだ知識や経験を臨床開発職で発揮してもらえるよう期待しています。

― 薬学部が6年制になったことで御社としてはどんなメリットを感じていますか?

梅本 : 今年初めて6年制で学ばれた学生を内定者として迎えることとなった段階なので、まだ評価をさせていただくことはできませんが、弊社としては非常に期待しています。私自身、薬学部卒業生ですが、当時は臨床現場で学べるカリキュラムはあまりありませんでした。しかし、今の6年制の場合は在学中の半年間、薬局や病院で実習を行います。実際の医療現場で医師・薬剤師・患者さん、あるいは、製薬会社の社員と接するという貴重な経験をされています。たとえば、薬の飲み方や投与方法など、服薬指導の際に患者さんがどのようなことで困っているのかということなど、座学では学べない知識や経験を沢山されています。医療や薬剤、そして患者さんへの貢献に興味を持ち学んでいる優秀な方は、広い視野で仕事に従事していただける貴重な存在です。大変期待しています。

― 文系の方も採用されるということですが、それでもやはり薬学部の学生のほうが就職には有利なのでしょうか?

梅本 : 弊社の場合、MR職の7〜8割は薬学部以外の出身者です。つまり、卒業学部に関わらず、製薬業界で働きたいという意欲をしっかりと持った方であればどの学部出身者でも問題はありません。しかし、この業界でMRとして働くためには入社後に「MR認定」という資格を取得する必要があります。これは、かなり多くの薬学や医療関連知識を学び、一定以上のレベルまで達しなければ合格しません。このような環境を考慮すると、学生時代から薬学や医療について学んでいる薬学生は断然有利です。他学部の学生が入社後にMR認定試験に向けてほぼゼロベースに近い状態から研修をスタートすることから考えれば、その時間を社会人として他のスキルアップのための時間として使うことができるわけです。また、これからMRにはさらに医薬品に関する科学的な情報提供が望まれることとなります。もちろん、営業という側面もありますが、知識という側面がさらに重要となると予測されるので、このような観点からも薬学で学んだ学生には適する業界または職務だと思います。ただし、入社後努力を怠ると、一生懸命専門性を高める努力を続ける文系等の他学部卒業の同期に追い抜かれてしまいます。学び続ける意欲があることがベースとなることは忘れないで下さい。

さらに、製薬業界で働く上で大前提となるのは、倫理観や使命感です。そのため、薬学部出身者かどうかというより、患者さんや医療への貢献に対して興味を持っていること、守らなければならないことをしっかり守れる倫理観があること、そして新しいことに意欲的にチャレンジすること、これが求められる人物像となると思います。