【グローバル系大学特集】学部長インタビュー 玉川大学|大学Times

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大学Times Vol.44(2022年4月発行)

【グローバル系大学特集】学部長インタビュー 玉川大学

玉川大学観光学部は、この4月から「グローバルエリートコース」をスタートさせた。高度な英語力を活かして、世界を舞台に活躍できる人材を育成する少数精鋭のコースにするという。教育の特徴とこれからの観光人材育成について、家長千恵子学部長に話を伺った。

玉川大学 観光学部 観光学科 学部長 家長 千恵子(いえなが ちえこ)

玉川大学 観光学部 観光学科 学部長 家長 千恵子(いえなが ちえこ)

MICEや観光によるまちづくりを中心とした、持続可能な観光地マネジメントのあり方を研究しています。今あるものから新しい視点でモノ・コトを開発し、地域の魅力を再構築すること、そして、その魅力を将来にわたって発信し続けていくために今できることが何かを的確に捉える視座を持ち、国際基準に準拠した観光指標や、地域ブランド論、体験価値マーケティングなどを活用して定量的・定性的手法で研究を行なっています。【講義】イベント・ツーリズム、アート・ツーリズム、観光開発論A(基礎編)、観光開発論B(応用編)【ゼミナール】持続可能な観光地マネジメント(GSTC-D、JSTS-D、GDS-Indext等)

英語を武器として世界で活躍する
「グローバルエリートコース」始動

英語力強化の一環として、2013年の本学部開設から留学プログラムを実施していますが、これまでは英語の習熟度に関係なく、単一のコースでした。しかし元々英語が得意な人や、留学を経て英語力が伸びるケースもあり、「卒業後は英語力を活かして活躍したい」と希望する学生が年々増えてきたことが本コース開設の背景にあります。将来は英語を武器として広く社会で活躍することを見据え、より英語力を強化するべく、TOEIC®L&R800以上を卒業要件としています。

本学部は「観光産業に従事する人材を育成する」わけですが、多様な事業者の新規参入や事業多角化を図る企業の観光分野進出が見られることから、グローバルの視点に加えてマネジメントスキルやマーケティングなどの知識も必要です。グローバルに活躍したい学生に、理論と実践をバランスよく修得できるコースとしてスタートします。グローバルの視点を活かした観光まちづくりなど、世界と地域を結び、地域社会で活躍することを目指す「リージョナルリーダーコース」と2コース体制となります。

観光学部で学ぶ
グローバル社会に必要な「学士力」とは

観光学部では大学4年間を3つの期間に分け、2年生秋から3年生春までの「留学」(オーストラリア)を中心に、入学から留学前を「英語力と専門基礎の強化」、帰国後から卒業までを「専門科目集中学修」と位置付けています(別表1参照)。学生が学びを通じて身に付ける、観光学部の考える「学士力」とは、次の3要素です。


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①英語力
1年間の留学は必修となります。「グローバルエリートコース」は、留学期間の大半が留学先の大学で専門科目の講義(別表2 観光、マネジメント、マーケティングなど)を受ける事になりますので、参加要件として、学生は出発までにIELTS6.0以上をクリアしなければなりません。「わかるけど話せない」ということのないように、入学1年目は英語の4技能を高めるべく運用力を磨きます。留学中は2回のインターンシップを必修とし、帰国後は外資系企業を中心に英語力を活かした仕事の研修を行います。さらに、英語を使う専門科目の授業もあります。


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②「ツーリズム」の専門教育
観光学部ではホスピタリティやレジャーだけでなく、観光を「ツーリズム」として伝えています。ツーリズムとは「日ごろ住んでいる場所を離れる人の活動」という極めて広い意味がありますので、観光ビッグデータやVR,ARなどのテクノロジー、MaaS(移動手段の統合サービス)などを駆使し、グローバル力と共に人の動きを社会の動きとして大きく捉えた学びから人材を育成します。「観光」の中身が時代と共に変わってきていますので、その意義と役割をしっかり理解し、洞察力を身に付けてSDGsに貢献できる人材をめざします。

③日本のアイデンティティを育てる
異文化を理解しグローバル力が必須といっても、海外の知識だけでは十分とは言えません。日本の文化を語れることは、多国籍の人たちとのコミュニケーションの場で重要です。基本的な英語でも日本の魅力を説明できるように準備しておくことも大切です。1年生から「日本文化論」という授業を受講します。観光の語源は「国の光を観る」ことです。地域の「光」を見出す感性を磨くために、まず日本の魅力を理解することが大切です。そうすることで初めて留学先での異文化理解が可能となり、多様な価値観と共生する力が備わります。それによって国際社会の一員として自己を確立できると考えます。

グローバル時代のツーリズムを通じて、
地域社会の持続的発展に貢献する力を養う

これまで各産業や団体が個別に観光振興を行なってきました。近年は、官民の連携によって観光地域づくりを一元的に推進する組織である各地のDMO(Destination Management/Market-ing Organization)が、マーケティングや地域のブランディング、商品造成などを行なっています。観光を通じて地域の「稼ぐ力」を引き出すことが期待されています。

日本には素晴らしい「ものづくり」の文化があり、細やかな技術力が光る製品が各地にあります。先端技術を持つ地場産業や伝統工芸品は見せ方を工夫することによって、産業観光として地域の活性化に貢献できる資源となります。これらはインバウンドを誘客できるチャンスです。地域の観光資源を育てあげ、魅力を創出するには、グローバルな視点、構想力、マーケティング力、そして周囲を巻き込む力が必要です。また、この活動は技術を次の世代に伝承させるという持続可能な社会に必要な人材養成にも貢献できるはずです。

コロナ禍によって、観光のシフトチェンジが加速しています。これからの観光人材は“受入れ”だけではなく、自ら切り開く力、アイデアを生み出す力、行動できる能力が求められるでしょう。観光を起点として広い視野で物事を見るには、経済の流れやグローバル・国際力が必須であり、世界に通用するスキルと新しい価値観を活かして結果を出す力を養うことが大切です。

テクノロジーの進化でさらなる発展を目指す観光産業

コロナ禍による移動制限がきっかけで、オンラインツアーが進化を遂げています。メタバースの利用はその好例です。旅行に出られなかった人たちも観光の体験ができるようになりました。テクノロジーの進化によって距離を克服し、新しいサービスの可能性が広がっているのです。

観光の学びとは広く「人の移動」を考えることであり、本学部でも幅広い産業、社会全体に貢献できる人材の育成を目指しています。旅行会社、ホテル、エアラインで活躍できる人材の育成はその一部に過ぎません。私が携わった国際会議の誘致も多彩な業界の人々が関わっていました。テクノロジーの進化により観光はますます多くの産業と協力して発展できる可能性を手にしています。英語と異文化理解力を武器にすれば国境を超えてのビジネスも容易になります。

このように、さらなる成長の可能性を持っている観光です。「人に喜んでもらいたい」「役立つものを生み出したい」と思う高校生はぜひ、夢の実現に向けて本学部で学んでほしいと思います。