【理工系大学特集】学部長インタビュー 玉川大学|大学Times

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理工系大学特集学部長インタビュー
他学部と協働した「ものづくり」で“世の中を幸せに導く技術”を探究する玉川大学工学部の挑戦
~玉川大学~

大学Times Vol.46(2022年10月発行)

【理工系大学特集】学部長インタビュー 玉川大学

2023年4月、玉川大学工学部に新学科「デザインサイエンス学科」が始動する。工学部で探究する「人を幸せにするものづくり」とは何か。さらに他学部との協働プロジェクトの取り組みや本格稼働した校舎「STREAM Hall 2019」の効果など、山﨑浩一学部長に話を伺った。

玉川大学 工学部長 教授
山﨑 浩一(やまざき こういち)

ソフトウェアサイエンス学科 量子情報ネットワーク研究室

工学分野だけでなく、他学部の学問分野と協働し社会課題を解決する

本学は一つのキャンパスに8学部(文、農、工、経営、教育、芸術、リベラルアーツ、観光学部)を擁する総合大学です。現代の社会課題は一つの学問分野だけで解決することは困難であり、特にIoT、AIなどの情報通信、データサイエンスが今では日常生活の中でなくてはならない役割を果たしています。たとえば農学分野では、ドローン技術やスマート農業の導入によって作業の手間を減らし就農者不足を補うなど、工学分野が求められるニーズも年々広がっています。そこで工学部ではキャンパスの利を生かし、他学部と協働しながら問題解決をする取り組みを積極的に行っています。

また本学は創立以来、「全人教育」に基づき「真・善・美・聖・健・富」の6つの価値を調和的に創造し、倫理観を身に付けることを重視しています。工学の技術は良いことに使えば人々を幸せにしますが、使い方次第では人々を不幸にしてしまう諸刃の剣です。すべての人を幸せにするイノベーションを引き起こす工学部をめざしています。

実社会の課題と向き合う工学部4学科

【情報通信工学科】
「人と人をつなぐ」をキーワードに、急速な進化を遂げる情報通信技術について学びます。1・2年生で数学や物理などの基礎科目を学び、電気回路やセンサなどの情報通信技術の専門分野へと進みます。各学期に実験・実習科目が設置されており、知識とともに体験を通して技能を身に付けることも大きな特徴です。専門分野としては知能ロボットや人工知能・脳科学、量子暗号などの授業もあります。ロボットラボは毎年「ロボカップ」に出場しており、世界大会での優勝実績もあります。

【ソフトウェアサイエンス学科】
スマホやゲーム、クラウドなど私たちの身の回りにある道具を通じ、ソフトウェアの最先端を学びます。次の4つの専門領域(①コンピュータ・ソフトウェア②モバイルシステム・ネットワーク③ゲームコンテンツ④教員養成)から、複合的に履修することを推奨しています。特に、モバイルシステムを総合的に学べるのは本学科の大きな特徴であり、5Gなど通信システムのほかサービス(アプリ開発)、産業界全体で不足しているセキュリティ人材の育成にも力を入れています。

【マネジメントサイエンス学科】
ITやAIなどの最先端技術を駆使して、経営やマネジメントに関わる課題を解決する方法を学びます。市場調査を計画・実施し、その結果を企業経営に生かす「マーケティングマネジメント」、ビックデータの効果的な管理・活用手法を学び、ビジネスに反映する「データマネジメント」、経営データを読み解き、経営課題解決を進める「経営情報システム」、新しいサービスの価値共創プロセスを学ぶ「サービスマネジメント」の4領域を用意。幅広いマネジメント知識と能力を兼ね備えた人材を育みます。

【デザインサイエンス学科】(2023年4月新設)
「ものづくり」を通して、社会におけるさまざまな課題に対応できるデザイン能力を身に付けます。快適な暮らしを実現する商品・製品をデザインする「プロダクトデザイン」、人の営みを手助けするロボットをデザインする「ロボットデザイン」、持続可能な生活環境をカタチにする「環境デザイン」の3領域で新しい価値を創出できる人材を育成します。

工学部でものづくりを探究する新学科「デザインサイエンス学科」3つの専門領域

本学科入学後、次の各プログラムに分かれて専門的に学びを深めます。

①プロダクトデザインプログラム
人間工学に基づいた、安全で使いやすく環境負荷の少ない、日々の暮らしを豊かにするものづくりを学びます。

②ロボットデザインプログラム
人の生活の手助けをするロボットの機能を学び製作をめざします。生物の機能や形状をロボットに取り入れ工業製品を良くする「バイオミメティクス」も学びます。

③環境デザインプログラム
燃料電池、ソーラーバッテリーを用いたソーラーカー製作をはじめとした持続可能な社会づくりを学びます。

数学・工学の専門力も兼ね備えた数学教員を養成
「数学教員養成プログラム」

これまで「教員養成の玉川」として数多くの教員を輩出してきました。「数学教員プログラム」は工学部の学科の専門分野を学びながら中学校・高等学校の数学教員免許の取得を目指すプログラムです。工学部の4学科のいずれかに所属し、学科の専門性を高めながら、教員として必要なスキルや知識も同時に身に付けていきます。専門分野についても学ぶことで、数学に関する知識はもちろん数学の「楽しさ」を生徒に伝えることのできる教員を養成しています。

工学部では中学・高等学校数学教員のほか、中学校「技術*」、高等学校「情報」「工業」の教員免許、さらには小学校教諭二種免許状※の取得が可能です。
*教職課程認定申請中。文部科学省における審査の結果、予定している教職課程の開設時期が変更となる可能性があります。
※ダブル免許プログラム受講による。

学部間の垣根を越えたオープンな学び
その舞台となる「STREAM Hall 2019」の効果

本学では学部を横断した「ESTEAM教育」を推進しています。現在、社会で話題となっている科学・技術と芸術を融合したSTEAM教育に共通語としての英語であるELF(English as a Lingua Franca)を加えたこの教育の舞台となるのが「STREAM Hall 2019」です。

建物の中心となる「メーカーズフロア」では学生たちが自由にアイデアを形にする光景が日常的に見られます。ガラス張りで「見える化」された教室内の活動を興味深く見つめる学生をよく見かけます。担当教員が声をかけて教室に招き入れると、嬉しそうにものづくりに参加します。このような経緯からプロジェクトも生まれ、実際に外部のコンテストに作品を出展し、賞をいただいた学生もいます。

学生の自主性を育み協力して取り組む転換点に

「STREAM Hall 2019」が本格始動したことで、新しいことに挑戦しよう!という気運が学生にも高まってきました。授業では、ものづくり4学部(工・農・芸・リベラルアーツ)の各学生が4人1グループとなり、ものづくりを通じた課題解決に取り組んでいます。さらに協働プロジェクトを通じて、トラブルに対して皆が協力して解決しながら、少しずつ作り上げる喜びを報告する学生もいます。これまでの「与えられた課題に取り組む」ことから、自ら課題を見出し解決に向けて協力しながら行動する、転換点になっていると感じています。

大学4年間で「人を幸せにする」力を付けたい高校生に

玉川大学工学部では「世の中の人々を幸せにする」ことに挑戦する学部です。決して簡単ではありませんが、ひとつの夢として人々の幸せを大切にしたいものづくりに興味のある高校生の入学を期待しています。