グローバル系大学特集学長インタビュー
「語学の獨協、その先へ」
その先にある社会、世界、未来。
“グローバル市民”を育てる4年間の学びとは~獨協大学~

大学Times Vol.58(2025年11月発行)

【グローバル系大学特集】学長インタビュー 獨協大学

獨協大学は2025年策定のビジョン「国際化推進」で「グローバル市民を育てる」ことを目標とした。21世紀に入って外国語を学ぶ意義が変わり、ことばを使って他者と理解しあってより良い社会を作っていくことや、地球環境や国際情勢を学び広い視野を身に付けることが求められている。「未来は自分たちで切り拓く」未来志向を持った“グローバル市民”育成を推進するべく、時代に即した教育プログラムや支援制度を拡充しているという。前沢浩子学長に展望を伺った。

獨協大学 学長
前沢 浩子(まえざわ ひろこ)

外国語学部英語学科 教授 専門はイギリス文学・イギリス文化。
東京医科歯科大学教養部助教授を経て2006年から獨協大学外国語学部英語学科助教授、2011年同教授。2017年英語学科長、2020年国際交流センター長。2024年4月学長就任。

近代以降の日本社会の発展とともに
変化を遂げる“外国語を学ぶ意義”

本学は1883年、源流の獨逸学協会学校の開学以来、語学に力を入れている教育機関として今日に至っていますが、時代とともに外国語を学ぶ意義が変わってきています。
第1期は明治のころ、欧米の知識や制度を日本に輸入するためであり、第2期は1960年代から20世紀の終わりごろまで、国際的なビジネスや文化交流のための語学でした。そして第3期はまさに今ですが、地球温暖化や国際情勢など世界で共有している問題は、一つの国家の問題ではなく自分たちの課題なんだという理解が重要です。そのための視点を持ち情報発信を行う「グローバル市民」として生きる姿勢と語学力が、今日求められていると考えています。もう一つは、現在はさまざまな地域から異なる文化背景を持った人たちが日本に来て暮らしています。彼らと双方向のコミュニケーションができることも大切です。多様な人たちとともに社会を作っていく上で、互いを理解するための語学が更に重要になっています。

語学スキルの一要素としてのAI
「情報科学教育プログラム」

本学では2024年4月から全学部の学生がAIやデータサイエンスを学ぶことができる「情報科学教育プログラム」を導入しました。
AIは今日、人間の生活に大きな影響を与えるツールとして発達していますが、「AIに何をさせるか」、それを自分の頭できちんと考え、使いこなせるようになることが大切です。AIから提示される情報の中でどれが正しい情報かを見定めるには、外国語だけでなく日本語を含め正確に読み取って確認できる力が不可欠です。言語運用能力が高い人ほど、AIを使いこなせると実感しています。これからは「AIを使いこなす力」も語学力スキルの一要素になることから、「情報科学教育プログラム」は全学部の学生を対象としました。
近年、卒業生の17%以上がIT系企業へ就職しています。ますます多くの学生の履修を期待しています。

問いを立てる力を哲学から学び
AIリテラシーの土台をつくる

本学の源流「獨逸学協会学校」初代校長は、日本哲学の父と呼ばれる西周(にしあまね)です。本学には「哲学」を必修科目としている学部もあり、哲学を通じて学生の考える力を養っています。AIを活用する際には、何に使うのか「問いを立てる力」が求められます。目標を定めるのは人間の力であり、たとえば「社会を良くするにはどうすればいいか、人々が幸福に生きていくにはどうすればいいか」など、問いを立てる能力を伸ばすには哲学が有用です。生き方や社会の在り方を考え、課題を解決するためにAIを利用するのです。

大学から始める「人間形成」
本当の自分は探すのではなく、つくっていくもの

「目標に向かって突き進むこと」が当然というイメージが、今の若者を苦しめていると感じています。高校生のうちは「やりたいことがみつからない自分」で当たり前。大学に入っていろいろなものを学び、関心の持てるものを見つけていくことが大事です。それが人間形成なのです。やりたいことが見つからないという引け目から解放されて「自分をつくっていく」と思えば、就職活動や学部での学びの中で偶然起きるさまざまな出来事も、自分をつくる途中と理解できるようになります。そしてその「人間形成」は一生かけてやっていくものです。その出発点に獨協大学を選んでほしいと思います。

“グローバル市民”育成のための
長期留学プログラム&奨学金を拡充

2024年度から新たに外国語学部交流文化学科で「ツーリズム・キャリア・プログラム」と2025年度から国際教養学部で「海外実践プログラム」がスタートしました。

「ツーリズム・キャリア・プログラム」は、実践型の授業「ツーリズム・キャリア実習」をはじめ、学科が指定するツーリズム部門の専門科目を履修します。履修した学生は、卒業後もさまざまに実践できる知的技能(リテラシー)を修得可能なほか、卒業時に同プログラム修了生として表彰されます。

「海外実践プログラム」はアジア、オーストラリアでの“リアルな社会”を学びの場としている3カ月の長期海外インターンシップがプログラムの1つです。事前学習と帰国後の振り返りを通じて何を次につなげるかを見定めます。選択科目として修了後は単位認定されます。

今や学びの場はキャンパスの中に留まらないので、大学のキャンパスを学びのハブとして、学生にはいろいろな地域へ行くことで学びの選択肢があると理解してもらいたいです。「大学で学ぶこと」と「キャンパスの外で実践すること」の往復運動を学生には経験してもらいたいと期待を寄せています。

「グローバルチャレンジ奨学金」
2025年度より導入 月10万円の給付型奨学金でJASSOとの併用可。
長期留学など、“グローバル市民”としての地球的課題に挑戦する奨学金制度。獨協大学では海外留学へのその他の奨学金も拡充支援している。

本学はドイツの大学14校と協定を結んでいます。昨今は教授言語が英語の大学もあり、「ドイツ語を学ぶ」だけでなく、さまざまな背景を持った人たちと「英語で学ぶ」ための留学となっています。チェコやトルコなどでも英語で授業を行う大学も増えています。欧州の大学は欧米に比べて学費が安いこともあり、今後、学生の留学先として選ばれることも多くなりそうです。本学では、さらに韓国などアジアへの留学にも力を入れています。

獨協大学 3つの新プログラム

全学部対応!【情報科学教育プログラム】
2024年から新たに始まった、IT・データサイエンスを使いこなす人材の育成を目的としたプログラム。ITと専門領域を組み合わせた授業を全学部生が受講可能です。

世界に出る!【海外実践プログラム】
海外でのインターンシップと海外の大学の大学生とのオンライン課題解決型授業で、普段の授業で吸収したものを外の世界で試し、大学での学びに活かすサイクル型学修を可能にする国際教養学部のプログラム。

観光を探究!【ツーリズム・キャリア・プログラム】
観光・ツーリズムを学べる外国語学部交流文化学科のプログラム。実践型の授業「ツーリズム・キャリア実習」、ツーリズムを通じた異文化理解を学ぶ「交流文化概論」などで、ツーリズムを多角的に理解します。

外国語学部?国際教養学部?
教員の研究内容から「やってみたい」を探す

本学の外国語教育は外国語を学ぶことがメインではなく、「外国語で」学ぶことがメインになります。「外国語学部」と「国際教養学部」は外国語教育や異文化理解など、重なり合う学びの多い学部ですが、どちらに行きたいか迷う高校生には、どんな専門分野を研究している教員がいるかに注目してもらうと良いと思います。各教員の専門分野は大学ガイドブックの「教員紹介」「ゼミ一覧」などに記載しています。外国語学部の教員の専門分野は欧米の文学、音楽、歴史、美術、ツーリズムなど多岐にわたります。国際教養学部は、韓国や中国、日本などアジアやラテンアメリカなど環太平洋圏を専門に研究している先生が大勢います。

先生の研究分野によって、学べる内容が変わりますので、「これやってみたいな」という分野を研究している先生に目星をつけて、オープンキャンパスに来てもらうのもひとつの方法だと思います。