【特集】小論文・志望理由書作成指導へのアドバイス(第3回/全3回連載)|大学Times

大学Times Vol.4(2012年2月発行)

【特集】小論文・志望理由書作成指導へのアドバイス(第3回/全3回連載)
『頭がいい人、悪い人の話し方』の著者でも知られる、小論文指導の第一人者・樋口裕一先生から小論文・志望理由書作成指導のアドバイスをいただきました。今号より3回の連載です。
多摩大学経営情報学部教授 樋口裕一

小論文作成の実技指導

推薦入試やAO入試がますます盛んになってきた。それらの入試では、ほとんどの場合、志望理由書が課される。指導に困っておられる先生方も多いだろう。前回まで、小論文の書き方について説明してきたが、今回は入試の面接を担当し、志望理由書を審査している大学の教員として、志望理由書の書き方について解説する。

1 志望理由書とは何か

志望理由書とはもちろん、何をしたいためにその学部・学科を志望するかを書く文章だ。
学部・学科の側としては、受験生に進学後、勉強意欲が本当にあるのかを見ようとしている。
まず、頭に入れておいてほしいこと、それは志望理由書が基本的に面接のための資料として用いられるということだ。そのためにはポイントが二つある。一つは自分をしっかりとアピールすること、そしてもう一つは志望学部・学科の長所をきちんと把握しておくことだ。
したがって、志望理由書で自分の意欲をしっかりとアピールし、志望学部・学科について、きちんと知った上で志望していることを示し、面接でアピールしたいことを含ませておく必要がある。

2 志望理由書の構成

次のような構成で書くとすっきりまとまる。なお、志望理由書は敬体(です・ます調)を用いてもよい。
第一部 「私は、・・・をしたいために、△△大学○○学部を志望する」というようにズバリと志望動機を書く。「これを学びたい」「こんな職業をしたい」「こんな資格がほしい」というような具体的目標があると、いっそう説得力が増す。
第二部 志望するようになったきっかけを書いて、進学後の意欲をアピールする。子どものころからの夢だったこと、あるいは、高校で勉強するうちにその分野に興味を持ったことなどを書く。
第三部 具体的に大学で学びたい内容を書く。「古典の教師になるために、古典を勉強したい。『源氏物語』を特に勉強したい」「医療技師になるための勉強をしたい」「経営の基礎を知って、将来起業したい」などの説明が好ましい。こうして、しっかりとした考えを持った上で志望していること、そして勉強したいと思っている内容について、きちんとした知識があること、とりわけその大学でそれを学ぶことに意義があることを示す。
第四部 「貴学は、私がこの分野を勉強するのに最適の場だと知ったので、志望する」といったふうに締めくくる。

3 指定文字数について

学部・学科によって提出書類の字数が異なる。志望理由書を800字で書くこともあるし、200字程度のこともある。原稿用紙の場合もあるし、罫線があるだけのレポート用紙の場合もある。そこでまずは400字程度で書いてみるといい。そのうえで、それを少し詳しくして字数を増やしたり、切りつめて字数を減らしたりする。

4 志望理由書を書く際の注意点

①したいことをはっきりと示す
中には「したいことは決まっていません」と書く受験生がいる。正直に答えているつもりかもしれないが、これでは自分から「落としてください」と語っているようなもの。そんな生徒は一般入試を受けてほしい。推薦入試やAO入試は、大学で学ぶ意欲を持って進学を考えている人を合格させるための制度だということを忘れてはならない。

②したいことがいくつもあるとしても、羅列してはいけない
あれもこれもしたいと並べると、むしろ本当にしたいことが曖昧になってしまう。学部・学科で複数の志望理由を書くことが求められている場合を除いて、一つに絞るのが好ましい。そもそも、たくさんしたいことがあるということは、言い換えれば、これといって強くしたいと思っていることがないということを意味する。

③できるだけ、志望学部・学科の長所に合わせる
志望学部・学科だからこそできることを織り交ぜて書くと説得力が増す。単に「この分野を学びたい」だけでなく、「その分野で業績を上げている○○先生に教えてほしい」「その分野で優秀な卒業生をたくさん出している○○学科で学びたい」「設備の整っている貴学で学びたい」「教員と学生のコミュニケーションが密な貴学で学びたい」などだ。その学部・学科の長所や売り物はパンフレットに書かれている。それをきちんと読み、それを理解した上で志望していることを示す必要がある。

④不真面目なこと、やる気のなさそうなこと、消極的なことを書いてはいけない
これまでもまじめに勉強してきたが、これからもますます勉強するつもりだということを示す必要がある。「勉強するつもりはない」「大学に入ったら遊びたい」「これまで、遊んでばかりだったので、これから少し、態度を改めたい」などと書くのは言語道断。

⑤知識を蓄えておく
「したい」と決めたことについて、知識がないと、その意欲を疑われてしまう。安易に書いておくと、面接で突っ込まれて立ち往生することがある。前もって、その分野についてしっかりと考えておく必要がある。そのためには、志望校に行って、内部の書店に入り、教授陣の書いた本を見ておくと役に立つ。

⑥具体的にしたいことを絞って書く
大学で学びたいことが「日本文学を研究したい」では、あまりに分野が広い。「『源氏物語』を学びたい」でも広すぎる。それでは、熱意が伝わらない。「『源氏物語』からみた平安時代の女性の生き方を考えたい」などとすると、具体的にしたいことが明確になり、しっかりした知識があることもアピールできる。

志望理由書の例

【プロフィール】

樋口裕一(ひぐちゆういち)

1951年、大分県生まれ。多摩大学経営情報学部教授。通信添削による小学生から社会人までの作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長。2004年刊行の「頭がいい人、悪い人の話し方」(PHP新書)が250万部を超える大ベストセラーに。そのほか 「ホンモノの文章力」(集英社新書)、「読むだけ小論文」(学研)など著書多数。