【特集】看護・医療系専門職養成に果たす大学の役割への期待は|医療・看護の高度化に向けて|大学Times

大学Times Vol.1(2011年2月発行)

【特集】医療・看護の高度化に向けて−医療・看護の高度化、専門化が進む今日、看護師を始めとした医療専門職を
養成する大学の果たす役割も今後ますます重要になるといえよう。
医療・看護の現状を見ながら、それに伴う大学教育のこれからについて展望
してみたい。−

看護・医療系専門職養成に果たす大学の役割への期待は

賛否両論の中、「特定看護師制度」導入を検討高度化へ向け、看護師のあり方が今後変化へ

厚生労働省が運営する「チーム医療の推進に関する検討会」では、2009年8月の発足以来、医師と看護師など医療スタッフとの協働・連携の在り方について検討を重ねてきた。中でも2010年3月の検討会では、従来の看護業務よりも高度な医療行為を担う「特定看護師(仮称)」の導入が大きな議題となった。

現在の医師法では、医業を行えるのは、医師免許を持つ者に限られている。看護師は保健師助産師看護師法によって、「医師の指示」の下での診療補助は行うことができるが、医師の指示なしに診断や治療を行うことはできない。特定看護師の担う仕事の一例としては、「胸の単純X線実施時期の判断」、「人工呼吸器装着時の器官内挿管」などが上がっており、医師の指示に従い、一部の医療行為ができるようにしたいとしている。

制度導入の目的は、看護師の役割を拡大し、医師の負担を軽減するということに主眼があるが、看護師の業務拡大を歓迎する声がある一方、逆に看護師の負担がこれまで以上に増えるのではないかと、危ぶむ声もある。

このように特定看護師制度に関しては、行うことのできる医療行為や具体的な要件を巡ってまだ議論の余地があり、厚労省では今回の報告を踏まえ、医師や看護師など、現場の意見を聞きながらさらに議論を進めていくことにしている。いずれにせよ、看護師のあり方が今後変化を見せていくことは間違いのないところだろう。

一歩進んだ「ナースプラクティショナー」の 養成をスタートした学校も

一方、アメリカやカナダ、韓国などの海外では、医師の指示がなくても診療や治療の一部が行えるナースプラクティショナー(NP)診療看護師という制度がある。日本では特定看護師制度の検討が始まったばかりで、NPは認められていないが、大学の動きとしてはすでに2008年4月に大分県立看護科学大学の大学院修士課程で、NPの育成を目的とした「実践者養成コース(NP養成コース)」がスタートしている。これに刺激を受けて、2009年4月には国際医療福祉大学が福岡看護学部を新設し、大学院修士課程保健医療学専攻に「ナースプラクティショナー養成分野」を開設。2010年4月には、東京医療保健大学が看護学研究科に国内で唯一の急性期看護のナースプラクティショナー養成講座を設置。同じく2010年4月には、北海道医療大学大学院看護福祉学研究科が「NP養成カリキュラム」を設けた。

これら4大学院は、厚労省の特定看護師養成調査試行事業の指定校となっている。その他、2010年4月、聖マリア学院大学大学院看護学研究科で「NP養成カリキュラム」を設置。2011年4月には東北文化学園大学大学院で「ナースプラクティショナリー養成分野」が開設予定だ。2011年度の大きな動きとしては上智学院(上智大学)と聖母学園(聖母大学)が合併し、上智大学総合人間科学部に看護学科の新設が予定されている。

いずれの大学も将来的な特定看護師、またはそれに類する新制度の導入に対応した人材育成を目的としていることは共通しており、今後は大学院だけでなく4年制大学を含めて高度な看護養成課程が増えていくことは間違いないといえるだろう。