大学Times Vol.3(2011年9月発行)


●「認定こども園」の実施がすでにスタートしていますが、現状はどうなっているのでしょうか
「こども園」の普及率については、ある程度の地域差が見られます。
まず、少子化の著しい地方の事情ですが、保育所も幼稚園も定員割れが起こっていて、合併が必要な地域が増えています。結果、「こども園」と名称を変えて公立の保育所と幼稚園が統合しているケースが多く見られますね。逆に、都市部となると相変わらず保育所不足が深刻で、幼稚園に関しては園児が集まる幼稚園とそうでない幼稚園の格差が進んでいます。ですから都市部での幼保一体化の進行は緩慢な状態というのが現状です。
●幼保一体化が具体的に制度として動き出すのはいつごろからでしょうか
まだ数年先になると思われますね。幼稚園は文部科学省所管の学校教育のひとつですから、幼稚園教諭は「クラスを受け持つ担任」という形になりますが、児童福祉法に基づく保育士は、「一人の保育士が何人の子どもを受け持つか」という形で幼稚園教諭とは異なります。現段階では「保育教諭」という仮称になっていますが、両方の資格・免許を統合した新しい形の資格・免許が必要になってくるでしょう。
●近年、幼児教育や保育系学科の新設が目立ちますが少子化が進む現在、卒業者の受け皿は確保できるのでしょうか
今後、少子化が進むのは確実ですが、幼稚園教諭や保育士の需要が減るかと言うとそうとは限りません。先ほどもお話したとおり、都市部では保育士が不足していますし、幼児教育の場としての幼稚園のニーズも高い。しばらくは幼稚園教諭や保育士の需要は伸び続けるでしょうね。ただ、これから先、少子化の影響は都市部にも必ず現れるでしょうから、幼保一体化の動きが活発になった時の状況に注目したいです。
●専門学校、短大と大学で学ぶことにはどのような違いがありますか
まず、専門学校や短大の養成では、短い時間で徹底的に実学を学びますが、大学では2年長い分、総合的に広い範囲を学ぶことができます。実際の現場へ出るのは遅れますが、知識や素養を身につけたいと思うなら有効だと思いますよ。幼児教育や保育の現場に限って言えば、昔は確かに4大卒が敬遠されたりした時代がありましたが、最近ではそのようなことはほとんどありません。
それから、学びの内容だけではなく、その養成施設の学科がどのような資格・免許取得を目標としているのかを知っておくのは大切ですね。
保育士、あるいは幼稚園教諭を単独で目指す学科もあれば、両方、あるいは幼稚園教諭と小学校教諭や特別支援学校教諭を目指す学科など、その組み合わせは様々です。幼稚園教諭を取得し、保育士資格は保育士試験で取るというやり方もありますね。来るべき幼保一体化を見据える意味でも複数の資格・免許取得の組み合わせの可能性に注目して学科選びをしていくことが大切だと思います。
【プロフィール】
むとう たかし 白梅学園大学大学院 研究科長 教授
東京大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科博士課程中退。
お茶の水女子大学生活科学部教授などを経て、2004年より白梅学園短期大学学長、2005年より大学学長。2007年10月まで在任。