大学Times Vol.3(2011年9月発行)

7月に政府は子育て施策を大きく見直す「子ども・子育て新システム」の概要を固めた。
ポイントは「幼保一体化」に伴う「こども園」の新設だが、保育士や幼児教育者を養成する大学・短期大学はどのように考えているのだろうか。
(株)さんぽうでは、全国の主要な大学・短期大学の意見をアンケートによりまとめてみた。
幼稚園教員の免許を取得できる課程を有しているが、保育士資格は本学部では取ることができない。幼保一体化により幼稚園教員免許で就職できるところが増える可能性があるので、有利になるのではないかと期待している。
すでに幼稚園の存続が決まっていて「一体化」は頓挫している。保育園の基準緩和で保育の質が低下することが心配される。保育士・幼稚園職員が専門職としての扱いを受けず、派遣労働に転落するおそれも無きにしも非ず。現状では「一体化」はすぐに進まない。
就学前教育・保育の機会均等を考えれば、幼保一体化にするべきだと思う。未来を担う子どもたちの就学前教育・保育の質を向上させるためにも、保育者の身分保障を義務教育の教員並みに引き上げる必要があると思われる。現在の我が国には難しい問題ではあるが、財源を確保し、国が子どもを育てなければ未来の日本(世界)はないと思われる。
時代の流れから考えると、一体化に向かっていくと思われる。ただ職員の免許・資格、監督官庁の一本化、設置基準等において課題は山積しており、まだ少し時間がかかるのではないか。したがって当面は、両方の資格・免許を取得するよう指導していくことを予定していく。
幼保一体化をめぐっては、待機児童など保育の抱える問題、教育内容など多面的な課題があると同時に、養育者が求める保育や教育内容も多様であると思われる。養育者が安心して預けられる機関の設置が望まれ、大学はその機関における保育・教育を行い得る教育者の養成がますます強く求められるのではないかと思う。
幼保の連携は大切であると考えるが、その一体化は制度的に困難だと思われる。一方は福祉に属し、他方は学校教育の一部。安易な一体化は両者の目的や特質を壊すことになるのではないか。
政府の進めようとしている「子ども・子育て新システム」では、「幼保一体化」として幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払うとしているが、背景の異なる幼稚園と保育所を「一体化」するには、子どもの視点に立った両者の違いを検証し、保育の質の向上についての深い議論が必要だと思われる。こうした点の追求を本学では授業で取り上げ、より豊かな乳幼児期の保育を構築する方向性を探っていきたいと考えている。
学生に対する進路指導・就職指導は、既存の保育園と幼稚園、また“幼保一体化”に沿ったこども園まで、法と制度に基づく現実と将来展望を教育し、指導している。さらに本学では、家庭や地域社会を取り巻く環境の変化をしっかり教えることによって、多様化する保育ニーズのなかで“幼保一体化”が進展していく背景を学生に理解させている。
個人的な意見だが、管轄する役所が統一される、働く母・主婦など多様な家族形態に応えられる、子どもにとって環境がよくなるなどメリットは多いと思う。しかし、体制が安定するまでは保育士と教諭間での調整など混乱も避けられないと考える。
子育て支援の観点からは、幼稚園と保育園が一体となって子どもとその保護者を受け入れ支援することは良いことだと思う。しかし、子どもを受け入れる側も契約事務など煩雑な業務が増加すると思われ、対応への支援も必要である。