【京都産業大学】クライオ電子顕微鏡を使いV/A-ATPaseが回転する仕組みを解明--英国科学雑誌「Nature Communications」(オンライン版)に掲載大学通信 2022.3.26

京都産業大学生命科学部 横山謙教授らの研究グループは、クライオ電子顕微鏡を用いて回転分子モータータンパク質である V/A-ATPaseが回転する様子をクライオスナップショットとして捉え、複数の中間体構造をつなげることで回転分子モータータンパク質が回転する仕組みを解明した。この研究で用いられたクライオ電子顕微鏡によるスナップショット撮影は、他のタンパク質の仕組みの解明や創薬にも応用できることから、新しいタンパク質研究の領域を開拓するだけでなく、新たな感染症に対処する強力な手法としても期待される。

生体内には、回転することで機能するタンパク質(回転分子モータータンパク質)が存在し、FoF1 や V-ATPase, V/A-ATPaseなどの種類に分けられる。ATP合成や水素イオンの輸送を通して生命そのものを支えている重要な膜タンパク質であるが、その回転する仕組みの全容は未だ明らかにされていない。

タンパク質の分子機構を知るには、その形を知ることが必須であり、そのための手段としてタンパク質の結晶構造解析がある。しかし従来の結晶構造解析は静止状態での構造を見ることが主で、動作中の中間体構造を捉えるのが困難であった。本研究では、クライオ電子顕微鏡を用いることで、V/A-ATPaseの動作中の構造をスナップショットとして捉えることに成功した。1条件あたり数千枚の電顕画像から数百万以上のタンパク質画像を抽出し、複数の条件で得られた電顕画像から、AIを取り入れた画像解析を駆使し、最終的に33個の動作中の中間体構造、さらに18の原子モデルを得ることができた。従来の結晶構造解析では得られなかった多数の中間体構造をつなぎ合わせることで、回転する様子を再現し、回転分子モータータンパク質のATP駆動による回転機構を明らかにすることができた。

横山教授は、「今回の研究で用いたクライオスナップショットは、クライオ電顕による構造解析の新たな可能性を示し、ミクロな世界での生命現象の解明に役立つだけでなく、創薬標的タンパク質を対象とすることで、構造に基づく創薬の可能性も広げることができる。」とコメントしている。

この研究成果は、2022年3月8日(日本時間)に英国科学雑誌「Nature Communications」(オンライン版)に掲載された。


むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学


■関連リンク
・クライオ電子顕微鏡によるスナップショットにより回転分子モータータンパク質の回転機構を解明
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/2022_ls/20220325_400a_ronbun.html
・京都産業大学 生命科学部 先端生命科学科 横山 謙教授
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/ls/yokoyama-ken.html
・横山研究室ホームページ
 http://www.cc.kyoto-su.ac.jp/~yokoken/index-j.htm

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