【大阪大学】AI技術を活用した皮膚状態検出モデル検証、Googleとの共同研究を開始 ― 皮膚疾患に悩むすべての人に正確な情報を大学通信 2023.12.22

大阪大学大学院医学系研究科の藤本学教授(皮膚科学)らの研究グループは、グーグル合同会社(Google)と、AI技術を活用した皮膚状態検出モデルの有効性を検証するための共同研究契約を2023年8月8日に締結しました。 今回の共同研究では、Googleが開発した、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデル について、日本における有効性の評価と検出精度の向上に取り組みます。本共同研究を通じて、皮膚疾患検出におけるAIモデルの公平性をより高め、日本だけでなく、世界中のあらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスできるよう取り組んでいきます。

■皮膚疾患に悩むすべての人に正確な情報を
 皮膚の状態に不安を抱える人は世界で約20億人いるとされ、そのうち約70%以上の人が、まずインターネットで検索をして、症状の特定や治療法を探しはじめています。一方で、オンライン上には不正確な情報や有害な情報も存在します。
 Googleは外部の専門家らとともに、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルを開発し、2020年にNature Medicineで発表しました。さらに2023年、このモデルを活用して、ユーザーがGoogle Lensで皮膚の状態を検索できる機能を提供しました。
 これらの機械学習を活用することで、オンライン上の不正確な情報に頼らず、あらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスすることが可能になります。

■共同研究の内容
・Googleが開発した、写真に基づいて皮膚の状態を検出する機械学習モデルの日本における有用性の検証
・同モデルの検出精度の向上

※AIモデルを安全に運用するためには、多数の異なる集団での有効性を評価する必要があります。本共同研究では、大阪大学医学部附属病院で撮影された約10,000人の皮膚写真を個人が特定できないように完全に匿名化し、また高水準のセキュリティと暗号化の基準に準拠した環境下で保存した上で、解析しています。研究に使用されるデータは大阪大学大学院医学系研究科が管理し、個人を特定できる情報は研究者が解析を行う前に完全に削除されます。

 本共同研究により皮膚疾患検出におけるAIモデルの公平性をより高め、日本だけでなく、世界中のあらゆる人が皮膚の状態や治療法に関するより適切な情報にアクセスできるよう取り組んでまいります。

【藤本学教授のコメント】
 皮膚疾患は、見た目に変化が生じ、かゆみや痛みがあったりして生活の質を落とし、ときには生命に関わることもあります。夜間や勤務中など、急に発症することもあり、信頼している皮膚科医師をすぐに受診できないことがあるかもしれません。このような問題に対し、GoogleのAI技術は新しい解決策を提供できる可能性があります。
このAI技術を用いれば、世界中の誰もが、皮膚疾患に関する正確な情報に気軽にアクセスでき、いつでもどこでも利用できるようになります。この技術によって、皮膚疾患に悩む多くの方々が、より正確な情報を得ることができ、皮膚に関する悩み解決の一助になることが期待されます。このように、未来の医療では、医療者とAI技術の連携が不可欠であると言えるでしょう。
 私たちは、このように革新的な技術にチャレンジしながら、皮膚疾患に悩む方々の生活の質の向上に貢献していきたいと考えています。

■参考URL
○藤本学 教授 研究者総覧
 https://researchmap.jp/read0122743
○大阪大学 大学院医学系研究科 皮膚科学教室
 https://www.derma-osaka-u.jp/

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