食物・栄養学系特集学生インタビュー
心の栄養と食の安全を守る専門職をめざして~女子栄養大学~
大学Times Vol.52(2024年4月発行)

食物・栄養学系特集
- スペシャルインタビュー エームサービス株式会社
- 学生インタビュー 女子栄養大学
- 准教授インタビュー 日本獣医生命科学大学
管理栄養士国家資格の合格者数第1位を12年連続で堅持する女子栄養大学。多数の民間企業や自治体、高等学校や大学とも連携協定を結び、調理技術と栄養知識で広く社会貢献を行っている。今回は、管理栄養士合格と食品衛生監視員として地方公務員の就職をめざす実践栄養学科2年(取材時)の篠崎さやかさんに、「食と栄養の学び」の魅力を伺った。

女子栄養大学 栄養学部 実践栄養学科
篠崎 さやかさん
埼玉県 花咲徳栄高等学校 食育実践科出身
母の手料理と両親の家庭菜園で食に興味を持った子ども時代
小さい時から食べることが大好きで、漠然と「将来は食に関する仕事に就きたい」と思っていました。特に影響を受けたのは、毎日の母の手料理です。どの食事も美味しく、特に母の出身地・東北地方の郷土料理である甘味を付けた赤飯がお気に入りでした。実家の庭には両親の家庭菜園があり、いつも新鮮な野菜を食べて育ったことも大きかったと思います。幼稚園でも野菜を栽培していて、もぎたての茄子を丸かじりしたり、泥だらけになって遊んだりしました。今思えば母の献立も、毎日栄養バランスを考えてくれていたと気付き、感謝しています。
思春期のダイエット経験が栄養の大切さを知るきっかけに
母校の小学校は自校式給食でした。毎日、献立表を確認して登校し、気に入ったメニューは栄養士の先生にレシピを聞いて家でも作り、食べることの楽しさを日々育んでいたと思います。ところが、中学生になって美容やおしゃれに関心を持ち、親の反対を押し切って無理なダイエットを始めてしまいました。次第に体調にも不調をきたし、部活動(陸上部)にも影響が出るなど、初めて栄養の大切さが身に染みた経験から、栄養について興味を持ち始めて、卒業後は食と栄養について専門的に学べる高校の食育実践科に進学しました。
オンラインから対面式OCを経て栄大1校に絞り受験対策
卒業時に調理師免許が取れる高校の学びは実践的で、和洋中の本格料理から大学で行う集団調理の実習もありました。手芸クッキング部に所属し、授業で扱わないお菓子作りが楽しかったと記憶しています。高校生活を通じて「管理栄養士」という職業にも興味を持ち始めて、国家資格を取るための大学へ進学したいと進路を決めました。志望校選択の時期にコロナ禍となり、まずは各大学のパンフレットを取り寄せて検討し、オンラインでのオープンキャンパスに参加しました。その中で「ここは!」と思った大学へは実際に足を運んで、自分の目で確かめたのが3,4校だったと思います。その中でも女子栄養大学は対面式のオープンキャンパスに参加でき、学生サポーターの先輩方や雰囲気の良さが自分には合っていると判断して、最終的には栄大1校に絞りました。公募推薦の受験対策では食育実践科の先生方が親身になってサポートしてくださり、小論文の指導は全体で20~30回(約30回)書いて添削いただいたことや、苦手な面接も個人や集団など何度もリハーサルして、試験当日は落ち着いて臨めました。
切磋琢磨できる友人と食品衛生学との出会い
実践栄養学科では1年前期に「理学的化学的基礎」という授業があります。高校で理数科目の少なかった私は苦戦しましたが、初めて「栄養学は理系分野なんだ」と実感できました。同級生は全員、食や栄養に興味を持つ人ばかり。高校までは周囲に頼られる場面も多かったのですが、大学では自分よりも深く学んでいる友人に教えてもらえることが、いい刺激にもなっています。切磋琢磨しながら学ぶ毎日は楽しく、栄大生になって本当に良かったと思いました。
高校で調理関連の実習は経験していたこともあり、私にとって夏休み中に受講した斉藤守弘教授の「食品衛生学実験」という講義が最も印象深く残っています。食中毒について、実際にサバの身から寄生虫のアニサキスを数えて取り出し、顕微鏡で観察してスケッチする(写真参照)など、食品衛生学の先端の学びに興味が湧き、「食の安全」の重要さとこの分野のおもしろさを知るきっかけにもなりました。

食の安全を守る公務員職「食品衛生監視員」
新年度からは3年生になり、研究室に入りインターンシップにも参加する時期を迎えます。私は斉藤教授の「食品衛生学研究室」で、食中毒や食の安全について学びを深めたいと希望しています。企業等のインターンシップには参加せず、卒業後は検疫所や保健所で食の安全を守る「食品衛生監視員」として就業したいと考えて、地方公務員の採用試験の準備を始める予定です。管理栄養士国家試験の勉強に加え、公務員試験のための勉強の二刀流にはなりますが、今は次の目標に向かって頑張りたい、という気持ちの方が強いです。食品衛生監視員には厚生労働省採用の国家公務員と地方自治体採用の地方公務員がありますが、飲食店数の多い地域の方が自己成長できるのではないかと考え、できれば東京都など大都市の保健所で就業できるといいなと希望しています。

“心にも身体にもいい食事”の発信と普及
私の場合は、母の手料理から食や栄養に興味を持ったので、将来は大学で学んだ知識や技術を、自分だけでなく家族や親戚はじめ、社会に向けて発信し、人々の豊かな食生活をサポートできればと考えています。近年は大災害が毎年のように起こり、生きるための食事について考える機会も少なくありません。命をつなぐ炭水化物から温かいもの、さらには自分の好きなものを食べたいと人間の欲は深まりますが、生きる希望を持てる「心の栄養」と「身体にとっていい食事」の両輪が必要ではないかと思います。最近は市場で「完全栄養食」と言われているカップ食が手軽に入手できますが、それだけ食べ続けても健康になれるわけではなく、四季を感じる見た目や彩り、旬の食材などを取り入れることで、心にも身体にもいい栄養となるのではないでしょうか。
進路選択は自分で考えて決断し大人の応援が力に
私は栄大で自分の興味を持つ分野を深く学び、充実した学生生活を送っています。高校生の皆さんも、大学で興味あることを学ぶのが一番だと思います。迷ったら遠慮なく周りの人に相談して意見を聞き、整理して自分で考え、より良い進路を選んでください。私はこの分野の進路を高校受験で決め、普通科ではない高校に進学しましたが、両親は私の希望を尊重し、応援してくれたことが心強く後押ししてくれました。
