通信制大学特集スペシャルインタビュー
通信制大学のイメージを変える多様な学び方で進路選択の1つに~日本大学通信教育部~
大学Times Vol.54(2024年10月発行)
日本大学は、全16学部86学科、通信教育部、短期大学部を擁する日本屈指の総合大学であり、卒業生は127万人を数える。通信教育部は、76年の伝統を有し、国内の通信制大学を牽引してきた大学通信教育の先駆者でもある。今回は、日本大学通信教育部で学生のために長年尽力している、栁川浩昭事務局次長にその魅力について伺った。
日本大学通信教育部 事務局次長
栁川 浩昭(やながわ ひろあき)
法学部、法人本部で要職を歴任後、2010年から通信教育部入学課長として着任。徹底的な現場主義で、入学説明会や入学相談会場では、通信教育部の顔として先頭に立ち続けている。また、後進の育成にも力を注ぎ、「栁川イズム」を引き継ぐ後輩も多い。私立大学通信教育協会では、2021年から広報委員長として通信教育の発展に寄与している。
コロナ禍により変化する通信制大学への認識
通信制大学は、大学進学の選択肢の1つとして、世の中のレギュラーにはまだなれていないと考えています。これを打破するために、私立大学通信教育協会の広報などを通して、通信制大学の良さを常日頃から全国に発信していますが、なかなか理解が深まりません。その理由としては、通信制大学で学ぶことの本質が理解されていないところにあると考えています。欧米では、国土の広さなどが要因し、通信教育が発達してきた歴史がありますが、日本の場合は全国的に通いやすい場所に教育機関が設置されてきたことや、昔からある通信教育に対する誤ったイメージが影響して、欧米のように受け入れられなかったことが考えられます。しかし、日本でもある時から通信教育に対する考え方が大きく変わり、現在では進路選択の1つとしてクローズアップされ始めています。それが、コロナ禍によるインターネット学修の導入です。当時、通学課程の学生も大学に通うことができず、インターネットを利用して自宅学修を続けていました。その際、大学に行かずして自分の都合に応じて授業が受けられる、通信制大学の利便性を強く感じた学生も少なくありませんでした。
このような変化を経て、今後私が期待しているのは、コロナ禍など不測の事態に備えて通信制大学に行くのではなく、初めから通信制大学を進路選択の1つに入れてもらえるようになって欲しいということです。国内の通信制高校は毎年1万人ずつ生徒数を増やしており、そのニーズは高まる一方です。今後は5人に1人が通信制高校の卒業生になるだろうと予想していますので、通信制大学も学生にとって将来性のある選択肢になるよう、さらに理解を深めてもらいたいと考えています。
4年間通学しても私立大学1年分の学費
通信制大学唯一の大型独立キャンパス
本学の強みとして、まず卒業までの学費がリーズナブルであるということが挙げられます。本学では、私立大学1年分相当の学費で4年間通学し、卒業することが可能です。学費の安さ=教育の質が低い、面倒見が悪いと負のイメージを持たれることもありますが、実際はその逆です。日本大学という総合大学の特性を生かし、教育・研究活動から資格取得に係る実習に至るまで、他学部との教育連携も万全ですので、教育の質保証はもちろん、在学生に対する学修サポートやケアは、通学課程・通信課程を問わず、広く認知されています。また、通信制大学として唯一の独立キャンパスを東京・市ヶ谷に保有していることも大きな強みです。他の通信制大学では、日中は通学課程の学生が校舎(教室)を使用している関係上、通信制の学生が使用できる時間は限られており、肩身が狭く感じてしまうと耳にしたことがあります。しかし本学では、そういった心配は一切なく、通信教育部専用のキャンパスは学生にとっても通いやすいのではないでしょうか。特に本学では、平日の昼間に通学する「昼間スクーリング」も開講しているため、通学課程と同じように朝からキャンパスに通うことも可能です。卒業生が「ここは私の居場所です」とキャンパスに顔を出してくれるのを見ると、嬉しく感じます。
スクーリングやメディア授業など組み合わせ方はさまざま
短期集中型では苦手科目を克服
前述したとおり、本学は通信制大学でありながら平日の昼間に通学することが可能な「昼間スクーリング」を開講しています。それに加え、「夜間スクーリング」、「東京スクーリング」、「地方スクーリング」、「夏期スクーリング」といったバラエティ豊かなスクーリング(通学授業)があり、従来の通信授業と組み合わせて自分にあった時間割で学修することも可能です。さらに、Sメディアやメディア授業といったインターネット環境が整っていれば、誰でも手軽に好きな時間・場所で学修ができるオンデマンド形式での授業もあるため、仕事やスポーツと両立したい方、遠方に住んでおり通学するのが難しい方でも受講できる点も本学の強みの1つです。長期で通うことが難しい学生も、短期集中型の授業を利用すれば、スクーリングを全うすることができます。例えば、英語科目が苦手で週1回×15回の授業は挫折してしまっても、授業が3日間に凝縮されている短期集中型のスクーリングであれば通うことができた学生もいました。私はいつも「苦手なことは短期で」とアドバイスをしていますが、学生一人ひとりに合った学修方法を見つけて欲しいと考えています。
入学後も安心のサポート体制
今までのライフスタイルを変えずに学べる
本学では、学修に対する不安や懸念を払拭するため、学生に対するサポート体制を充実させています。例えば、学修相談や単位修得方法などの学修に関するサポート専用窓口である「学修支援センター」を開設し、ZOOMや対面での相談に応じています。この学修支援センターは、入学課の職員が兼任しているため、入学前に相談を受けた職員と同じ職員が対応することもあります。入学相談のときには「入学後が不安ですが、サポートはしてもらえるのでしょうか」という声をよく聞きますが、学生生活を不安なく送っていただけるように、入学後も同様にサポートしていくことを伝えると、皆さんに安心していただいています。
また、入学相談の際には「どのようなライフスタイルを過ごされていますか?」と伺っています。その理由として、相談者のライフスタイルをお聞きすることで、その方にあった本学での学修方法をアドバイスできるからです。その分、相談時間は長くなってしまうこともありますが、相談者の個性を見極めた上で、進路選択をすることも大切だと感じています。さらに、入学後の学修相談では、実際に授業を受けてみて、その方法が本当にその学生に向いているのかも考えます。もし、向いていないようであれば、他の方法を提案することもあり、さまざまな学修方法を試すことで、自分に合った学修方法を一緒に見つけることを重視しています。
選んだことを後悔させない大学へ
Re.スタートする場所として自分の目で確かめてほしい
通信制大学に対して、卒業しても学位が取得できないのではないか、入学試験がないから進学実績には入らないのではないか、通学課程の大学に入学した方が良いのではないか、と誤った情報を持っている方が未だにいらっしゃるのは事実です。そういったイメージは、通信制大学の詳しい仕組みについて根気強くアピールを続けることで、変えていきたいと考えています。事実として、通学課程の大学に進んだ学生が退学され、本学のような通信課程の大学に通い直すケースも多く見てきました。例えば、日本大学の中だけでみても、年間約130人の学生が通学課程の他学部から本学に転籍・転部してきています。柔軟性のある学びが多い通信制大学だからこそ、進路選択でミスマッチが起きてしまった人が、Re.スタートする場所になることができるのです。
私は、本学に入学を決めてくれた学生に「この大学にして良かったな」と心から思ってもらえる大学にしていきたいと考えています。入学を検討している皆さんも実際に目で見て確かめて、通信制大学も進路選択の1つとして改めて考えていただきたいと思います。