大学Times Vol.2(2011年7月発行)


就職率97.5%(2011年3月卒業生/全国平均91.9%)や大学評価ランキングで常に上位に取り上げられている金沢工業大学では「自ら考え行動する技術者」=「自ら問題を発見し解決のための方策を考え、自分の意図するところや得られた成果を分かり易く論理的に伝えることのできる人材」を育てることを教育目標としている。キャリア教育=技術者教育を通して、「仕事をこなす力」や「成果を出す力」を身につけさせるというその取り組みについて見ていく。
在学生、社会に出て3年が過ぎた卒業生、採用実績のある企業にお願いし、アンケートやインタビューを実施。その分析結果をキャリア教育にフィードバックし、教育内容の改善を図るとともに初年次に実施しているキャリアガイダンスと、学年と学生のキャリア発達レベルに合わせたキャリア教育の体系化を図っている。
金沢工業大学では夜間、土日の多くに学習支援センターを開館し、その運営補佐のために1,025名(平成22年実績)の学生を雇用している。この雇用を「学内インターンシップ」と位置づけキャリア教育を展開。学生スタッフの業務内容に合わせた研修制度と勤務評価システムを確立し、学内インターンシップを通して、就業力の向上を図っている。

実社会における技術者は問題を発見し、知識を応用して解決策を考えることが大切である。そこで、金沢工業大学では今何が問題になっているのか、事象を理解し表現する力を磨いていくことに力を入れている。
1年次の必修科目「修学基礎A」と専門科目「○○大意」を通して読み書きの力を高め、問いかける学習習慣へと転換を図る。さらに2年次の必修科目「アカデミックライティング」で専門分野のレポートや論文作成の手法を身につけ、3年次の必修科目「専門実験・演習A・B」において、専門分野における論理的な読解力と文章作成能力をブラッシュアップする。
1年次の必修科目「修学基礎A・B」ではKITポートフォリオシステムを導入。1週間の学習の優先順位や達成度、行動履歴や満足したこと、努力したことなどを記録し、修学アドバイザー(クラス担任)に毎週提出する。これにより、自己目標の達成度を常に確認していく。あわせて、KITポートフォリオシステムでは、自分史や将来の展望を描き、その将来像を実現するために在学中どのように過ごすべきかキャリアデザインを考える。
2年次では講義やグループ討議・発表、個別調査、小論文などを通じて技術者の役割や心構えを身につけるとともに、キャリアデザインの明確化を図る。続いて3年次の「専門ゼミ」で目指すキャリアを決定。4年次に取り組むプロジェクトデザインV(卒業研究)のテーマを明確にする。
また、金沢工業大学独自の人間形成科目である「人間と自然セミナー」では、1、2年次に海洋活動やグループ討議を通じてチームワークの大切さや技術者の役割、自らの将来像などを考え、3年次には就職活動に備えて模擬面接やエントリーシートの作成に取り組む。
金沢工業大学では専門教員の5割が企業出身者。実践的な専門教育を行っている。1年次の専門科目「○○大意」では、これから学ぶ分野の技術の拡がりや実社会との関わり・夢について、教員、大学院生、社会人など多分野の講話を実施。専門分野の学習へのモチベーションを高める。そして、1年次から専門科目を通じて専門基礎力の充実を図り、3年次の「専門ゼミ」で主として専門とする分野の決定を行う。
グローバル経済の中で、常に企業はフレキシブルな対応が求められている。それはまた、社員・従業員にとっても、自宅待機やリストラ、倒産などの将来起こり得るリスクを事前に想定しておくことが必要である。そこで金沢工業大学ではリスクに遭遇したときに対応する能力、リスクを未然に回避する能力を考える機会を設け、リスク管理能力を育成するに有効と思われる教材を開発。入学時に設定する目標設定について、「リスクという新たな視点」が加わり、多面的な目標設定が可能となっている。
平成24年度からカリキュラムを刷新し、4年次に「○○統合演習」を導入。3年次までに修得した内容を用いて、実社会での応用例を学び、社会に実際に役立つ能力へと統合化を図る。