NHK学生ロボコン2021
工学部ロボコン挑戦プロジェクト「プロジェクトR」がNHK学生ロボコン2021でベスト4!デザイン賞・特別賞のW受賞!
~東京工科大学~

大学Times Vol.43(2022年1月発行)

NHK学生ロボコン2021でベスト4!~東京工科大学~

時代の要請に応え、6学部と大学院・研究所での充実した研究・教育を通して、社会で活躍する人材を多数輩出してきた東京工科大学。このたび工学部ロボコン挑戦プロジェクト「プロジェクトR」がNHK学生ロボコン2021でベスト4に輝き、デザイン賞と特別賞もダブルで受賞した。同プロジェクトの特長について紹介する。

「実学主義」の学びでスペシャリストを輩出

東京工科大学は、1986年の開学以来、社会が求める深い教養と豊かな人間性を兼ね備えたスペシャリストを輩出してきた理工系総合大学だ。「実学主義」を教育・研究の柱に据え、専門知識はもちろんのこと、国際教養、ICT(情報通信技術)リテラシーについても育むカリキュラムを展開している。

工学部は、現在そして未来の諸問題を解決するために、「環境」「産業」「人間」の調和を保ちながら持続可能な社会を構築すべく、「サステイナブル工学」を実践してきた。工学的手法を基盤とする幅広い領域のサステイナブル工学を追究するとともに、企業等での実習も必須のコーオプ教育など独自のカリキュラムにより、専門性と実践力、国際性を養っている。

NHK学生ロボコン2021で躍進

工学部の教育プログラムの一環に、「NHK学生ロボコン」への参加取り組みがある。「NHK学生ロボコン」とは、1991年にスタートした日本全国の大学、大学校、高等専門学校が参加するロボットコンテスト。書類選考とビデオ審査による選抜を経て、各チームがロボコン競技でしのぎを削る。優勝チームは日本代表として、世界大会「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」へ出場することができる。

このたび、同大工学部のロボコン挑戦プロジェクト「プロジェクトR」が、2021年10月10日に開催された「NHK学生ロボコン2021」において、全16チーム中でベスト4に進出した。
毎年競技課題は変わり、今回の課題はロボットが矢を壺に投げ入れることで得点を競う「投壺 ~トゥフー~」だった。「プロジェクトR」は、事前の選考を通過し、同大としては2009年の初出場以来、5大会連続6回目の本戦への出場で、ベスト4まで勝ち上がることができた。

「プロジェクトR」は、予選リーグで筑波大学を下し、準々決勝では金沢工業大学に勝利。準決勝では惜しくも予選1位の長岡技術科学大学に敗れたものの、デザイン賞と特別賞のダブル受賞も果たした。

工学部ロボコン挑戦プロジェクト「プロジェクトR」

ロボット開発には、機械工学、電気工学、電子工学、情報工学が融合したメカトロニクスの知識や技術が必要になる。このような複雑な知識や技術を学生たちが自然に吸収できるように、毎年開催されるNHK学生ロボコンに挑戦するためのプロジェクトを実施。参加学生たちは、ロボコン出場、さらには優勝を目指してチームでのロボット開発に取り組む過程を通じて、高度な知識や技術を身につけられるだけでなく、組織に欠かせないコミュニケーション能力やプロジェクトを全うする力などを学修。授業だけでは身につけにくい、これらの力を培う場となっている。

授業だけでは学べない知識や技術、さまざまな経験を積める

現在「プロジェクトR」を指導する工学部機械工学科 上野祐樹助教も、2008年の「NHK学生ロボコン」優勝経験者であり、ロボットやロボットを操作するインターフェースの研究に従事している。上野助教は当プロジェクトについて次のように語る。

「このプロジェクトでは、技術修得と実践経験の繰り返しを大事にしていて、参加すると、まずは上級生が実施する技術講習会で機械加工や設計、電子回路、プログラミングなどの技術を学びます。その後、アイデアコンテストやミニロボコンなどを開催し、それまでに身につけた知識や技術を実践の場で使ってもらうことにしています。さらに夏季休暇中に学外のロボコン大会を経験してもらい、これらを経て、NHK学生ロボコンに向けたロボット開発に関わっていくことになります。」

こうしたステップを踏むことにより、アイデアを形にする過程を繰り返し経験することができ、知識や技術を深いレベルで定着させることができるという。

「実社会では、心ゆくまで技術やアイデアを追究したいと願っても、期限までに判断を下し、折り合いを付けながら開発を進めていく能力も求められます。こうした能力を通常の授業で身につけることは難しいでしょう。ロボコンでは、期限までにとにかく競技できるものを創り上げなければなりません。ですから、実社会での開発業務と同じような経験ができ、社会で求められる『自分で考える力』や『判断能力』が磨かれていくのです」(上野助教)。

現在、40名ほどの学生がプロジェクトに参加しており、1~3年生の学生が日夜、ロボット開発に取り組んでいる。

「メンバーは工学部の学生が中心ですが、どの学部の学生も参加可能です。興味や熱意ある学生にはどんどん参加して欲しいと思います」(上野助教)。

人生が変わるような経験の可能性

「大学に入学したら、ぜひ自分の学びたいことを見つける努力をしてください。興味を持ったことを自分で調べて突き詰めていくと面白い発見があり、さらにそれを深めていくことにつながります」と上野助教は話す。このプログラムに参加している学生たちはそれを実現している人が多く、事実、興味のあることに積極的に参加する彼らは、熱心にロボコンに取り組んでいるのだという。

大会に出場することで初めて見える景色を経験し、自分の知らなかった世界が拓ける可能性を秘めていると言っても過言ではない。

本プロジェクトの最終目標は、ロボコン国内大会優勝、そして海外大会での優勝である。
人生が変わるような経験に期待が集まる。