看護・医療系特集教授&学生インタビュー
地域住民との交流で培われる医療マインド 経験を学びに変えて臨床の場へ~昭和医科大学(2025年4月昭和大学より名称変更)

大学Times Vol.56(2025年4月発行)

【看護・医療系特集】教授&学生インタビュー 昭和医科大学

2028年の開学100周年を間近に控え、今年4月昭和大学は「昭和医科大学」へと名称を新たにした。2027年には約2000人の学生たちが集う新・鷺沼キャンパスが竣工されるなど、次世代のフェーズへと移行しつつある。また同大学は地域に開かれた医系総合大学として、自治体との連携活動も活発であり、地域住民との交流も盛んだ。こうした地域活動に積極的に関わる教授と学生たちに現場の様子などを伺った。

昭和医科大学 保健医療学部
看護学科 安部 聡子教授(写真右)
リハビリテーション学科 理学療法学専攻 中村 大介教授(写真左)
【学生】保健医療学部
看護学科 土屋 柚貴さん(3年生)右から2人目
リハビリテーション学科 作業療法学専攻 齋藤 夢羽さん(4年生)写真中央
リハビリテーション学科 理学療法学専攻 金森 優太さん(4年生)左から2人目

看護・リハビリテーションの魅力を子どもたちに伝えるイベントに参画

安部 「横浜市教育委員会が主催する「子どもアドベンチャーカレッジ」という体験学習プログラムに学生たちがボランティア参加しました。市内の小学生を対象に理学療法・作業療法と看護の仕事内容をわかりやすく伝えるもので、本学のほかにも多くの企業や団体が参加し、さまざまな仕事体験をしてもらう内容です。本学は2日間参加し、学生は10数人ほど活躍しました。参加する小学生の上限を1日30組としていましたが、応募倍率は4倍というご好評を得ることができました」

安部 聡子教授

中村 「プログラムの企画は主に私たち教員が考えるのですが、当日の運営は学生たちに任せました。我々の視点で考えてしまうと、どうしても「学校の先生と子ども」という関係になって共有感が薄れるため、より親しみやすい「お兄ちゃんとお姉ちゃん」が一緒に教えるといったスタンスを取りました」

中村 大介教授

大学での学びを社会実装するボランティア活動

齋藤 「人々との関わりが好きなので参加しました。私が学ぶ作業療法は、他と比べると認知度が低いため、この魅力を知ってもらいたいという思いでした。リハビリテーション=理学療法と多くの人が認識していますが、この活動を通して作業療法の心や生活に関するリハビリテーションという領域を周知できたと思っています」

金森 「理学療法のブースを担当し、身体の硬い子に対して10分位の運動を教え、その前後を比較してもらいました。柔軟性と跳躍力に差が出て、その子がすごく驚いていたのが印象的でした。効果が目に見えてわかる体験なので理学療法の面白さを感じてもらえたのではないかと思います」

金森 優太さん

土屋 「学童保育のアルバイトの経験を活かせると思い参加しました。子どもたちは看護の専門的な用語を理解できないので、いかに分かりやすく話すかということに注力しました。教える内容は授業でやってきたことが主なので、復習の良い機会にもなりました」

安部 「地域貢献を行っている意義も大切ですが、何より学生が社会に参加・貢献して、体験を自ら学びへと変えてくれているのは望外の喜びです。昭和大学は昭和医科大学になり、さらに地域に開かれた大学でありたいと考えています。このような学生たちの活動もあって、本学は地域で成り立っています」

2万人のランナーが参加する市民マラソン大会も支援

安部 「「横浜マラソン」にボランティアとして参加して昨年で3回目となりました。当初はランナーたちに参加賞を手渡す役目でしたが、回を重ねるごとに活動が認められ、念願だった救護のお手伝いができるようになりました。学生たちはランナー救護の初期対応、救護所への連絡などにあたりました。来年、竣工予定の鷺沼キャンパスのある川崎市との連携で「かわさき多摩川マラソン」の救護ボランティアにも参加しています」

金森 「痛みなどの訴えを端的に救護リーダーなどに伝えるための方法を学ぶことができました。また「かわさき多摩川マラソン」ではゴール付近での救護をしていたので、ゴール後に倒れ込んでしまった人を車いすに乗せるなど、大学で学んできたことを実践することもできました」

土屋 「大勢のランナーの中から調子の悪そうな人を見つけて、水分補給や車いすで救護所への案内などを実践しました。走っている人の顔色や足を引きずっていないかなどの動作を観察して、ランナーに声掛けを行うのですが、みんな完走したいという気持ちが強く、身体を優先し本人が納得してレースを中断してもらうのは大変でした」

土屋 柚貴さん

富士吉田キャンパスでの初年次教育が現場で活きる経験に

中村 「地域活動に参加した学生の話を聞くと、自分なりに価値観を見出していて、授業で習ったことを実践してくれていると感じます。救護のような責任のある立場で参加すると、必要以上の実力を発揮してくれるのも頼もしい限りです。初年次の富士吉田キャンパスでの授業で車いすの使い方なども学びますが、実際に患者さんを相手に使う場面がなければ忘れてしまいます。地域活動を通して学生たちは富士吉田での学びも活かしてくれていることを確認できました」

土屋 「学部も性格も違う4人がひとつの部屋で暮らせたことは、すごく勉強になりました。学習内容も専門によって異なるので、それぞれが違う視点で医療のことを考えているのは興味深かったです」

齋藤 「寮生活はチーム医療のはじまりだと思いました」

金森 「将来のチーム医療の中で、自分の立ち位置や何が強みなのかを寮生活で学ぶことができました。寮生活は自由で開放的で本当に楽しかったです」

地域活動への参加を通じて
将来のキャリアデザインを考える

齋藤 「米国では学校に駐在した作業療法士が、発達に問題のある生徒などを対象に生活支援を行う『学校作業療法士』という職業があり、それを目指して入学しました。この領域は日本では普及していないため、今、広がりを見せている「放課後等デイサービス」などで経験を積み、将来小学校の教員免許も取り、教員と作業療法士のふたつの視点を持ち合わせた学校作業療法士という分野を開拓していきたいです」

齋藤 夢羽さん

土屋 「自分の強みは誰とでも仲良くなれることだと思っています。看護師はいちばん患者さんに近い存在なので、まずは患者さんを第一に考え、しっかりと寄り添えるような看護師になりたいです。ただ、進路は明確ではなく養護教諭という道も考えています」。

金森 「自分は野球肘に罹ったことをきっかけに理学療法士という仕事を知り、入学しました。まだ、理学療法を通して何をやりたいのかといった目標は見えていません。ですので今は実習に行かせてもらい、色々なことを身につけて自分がこうありたいという理想像を探しています」