【インタビュー】企業・大学・学生にきく!就職事情の最前線(連載第3回)|大学Times

【インタビュー】企業・大学・学生にきく!就職事情の最前線(連載第3回)

大学Voice 多摩大学 エンターテイナーのような表現力をキャリア教育の現場に注入 ミュージカルから自己表現や積極性を体得

学務部長 池田 剛透 氏

学生たちのコミュニケーション能力の低下が叫ばれる中、大学側はその潜在能力を引き出すためさまざまな手法で試行錯誤を繰り返している。多摩大学では今年5月からエンターテインメント要素を取り入れたキャリア教育を展開。その趣旨と狙いとは。

学務部長 池田 剛透 氏
1989年 出版業界就職
1993年 多摩大学入職
2002年 メディア&インフォメーション・センター(MIC)課長
2008年 同センター部長
2010年 学務部部長(教務、学生支援、キャリア支援MIC)
2010年から学務部長として学修支援およびキャリア支援に携わり、学生の特性を見極めた指導を行っている。

【育成sideから】自分の殻を打ち破るような体感型のキャリア支援をめざして

≪多摩キャンパス 経営情報学部≫
明るさと元気を呼び覚ます 殻を破るニュータイプのキャリア支援

ミュージカル劇団「音楽座ミュージカル」のプロ俳優の方たちの協力のもと、就活前の3年生を対象に『IYOKUBA(意欲場)』というキャリア支援講座を今年からスタートさせています。この取り組みは“場の共感”をコンセプトにみんなで何かを作るとか、大声を出したり、歌ったり、自分の殻を打ち破るような体感・体験型のワークショップ形式の講座です。

自己表現や積極性、場の雰囲気を読むことなどを従来のキャリア支援とは手法を変え、それらを身体で感じてもらおうというのが目的です。当然、オーソドックスな内容も用意していますが、まずはテクニカル的なことよりも、非日常的な体験で学生たちの意識を刺激し積極的に就活へと向かわせることを狙いとしています。

企業の方たちと話をする際に、どんな人材を希望されていますか、と尋ねると必ず「明るく元気な子」という答えが返ってきます。しかし、最近、そういう学生が少なくなっているのが実状ですが、この講座により活力にあふれた人材育成にもつながると考えています。

場を共有することのメリット 面接官と対話できる力を

また、交流のない同期生と何かを一緒に成しとげたり、初対面の人と会話をさせることを意識的にやらせています。

「IYOKUBA」は前期5回 後期2回の予定で実施しており、第一回目は全学年320人の内120人の希望者が参加しました。現在は80名の学生が来る12月12日の就活出陣式で披露するビジュアルの制作に励んでいます。「IYOKUBA」は今年はじめての講座なので、ほかの授業との噛み合いなども考えながら進歩させて行きたいと考えています。前期ではこの講座が「就職、就活にどう役立つんですか?」という問い掛けのあった学生が後期では「これは就活に役立ちそうです」といった認識になり、学生の内面の変化も窺い知ることができました。

人や企業との接触を絶やさない学び

企業・大学・学生にきく!就職事情の最前線

今の学生たちは核家族で育ってきた影響もあるのか、自分たちとは縁のない、いわゆる異文化との接触を避ける傾向にあります。メールではいくらでもやりとりするのに、人と直接会うことは忌避するのですね。この傾向を打開するために本学ではゼミの先生や多摩市、地元企業など多くの方たちとタイアップをしながら授業やゼミの活動も行っています。

できるだけ企業やさまざまな人たちとの接点を持たせ、学生たちの経験値を上げることに重点を置いた教育を展開しています。学問ベースとして、もはや、座学だけをやっているようでは大学教育は終わってしまうと思うのです。学問領域にもよりますけど、経営情報学において経営は生き物であり、また情報も非常に移り変わりが早いものですから、先端企業の方たちと会ったり、社会を知る機会を作るということは非常に大切なことだと考えています。

2年次からのインターンシップで学生の就職意識を高める

≪湘南キャンパス グローバルスタディーズ学部≫
インターンシップの事前授業で社会人予備軍に

グローバルスタディーズ学部では、学生の70%が2年次に実施されるインターンシップに参加しています。2年次のインターンシップは早すぎると思われるでしょうが、これは直接的な就職対策ではなく、いわゆる「働くとは」「社会人とは」という理解を体験を通して就業力につなげていきます。逆に就職対策のインターンシップに参加したいという学生は3年生の公募で参加するといった傾向にあります。

インターンシップで仕事を体験すると良い意味で憧れが消えていくのですね。たとえば、どうしてもホテルで働きたかった学生が現場を見てくると現実とのギャップに目が覚めてホテルは大変だということが明らかになるので、考えが締まってくるのです。

またインターンシップに出た学生と出てない学生では内定率にも違いが出ており、10パーセントほどの差が確認されています。相乗効果として、インターンシップに出ると自主的に動くことが要求されるのでサークルでリーダーシップを発揮するなどの変化があらわれ、大学生活も充実してくるようです。

15コマの事前授業では社会人と学生の違いをはっきりと認識させています。マナーなども徹底的に教育し、言うならば、社会人予備軍を育てるわけです。

いちばん気を付けさせていることは報告・連絡・相談の“ホウレンソウ”とタイムマネージメントの自己管理。また、学生たちは企業というものが利益を上げる組織だということを理解できていないため、働く意味づけをしっかりと学ばせています。

最近の学生たちはコミュニケーション力がないと言われがちですが、同一化されたコミュニティの中では自分たちの能力を発揮していますので、決して能力がないわけではありません。

要するに仲間内では大丈夫でも外の人と話すことができないだけ。否が応でもインターンシップ先の職場では、いろんな人と話さなくてはならないので積極的になっていきますね。それを機に、自己表現ができるようになったり物怖じをしなくなることが第一の目的です。