【特集】アンケートから見えきた大学のグローバル教育取組への評価と期待|大学Times

大学Times Vol.8(2013年3月発行)

【特集】アンケートから見えきた大学のグローバル教育取組への評価と期待

アンケートから見えきた大学のグローバル教育取組への評価と期待

弊社では全国の高等学校教諭に対し「大学のグローバル化」(文部科学省のグローバル人材育成推進事業採択)の認識と期待する大学教育の取り組みに関してのアンケートを独自に実施し、多くの回答を得た。このアンケートを基に大学のグローバル化に対し高校生が現在どのような意識を持っているのか、高等学校現場ではどのように捉えているのかを分析した。

問:「グローバル人材育成推進事業」では、大学教育のグローバル化を促進する為に、各大学が様々な取り組みを行っています。下記のような取り組みは大学教育のグローバル化を図るためにどの程度効果があると思いますか。

大学のグローバル教育への取り組み(PDF)

「高等学校教育現場とのギャップ」

昨年、文部科学省が「グローバル人材育成推進事業」の公募を全大学に行った際、グローバル人材の3要素(1.語学・コミュニケーション能力 2.主体性・積極性・柔軟性など 3.異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティ)に加えて、これからの社会の中核を支える人材に求められる幅広い教養と深い専門性、課題発見・解決能力、チームワークとリーダーシップなどの能力育成を採択の審査基準とした。40拠点の募集に対して、応募は150件を超えたそうだ。グローバル人材育成は、多くの大学にとって共通の課題となっていることは確かなようである。しかしながら、この取り組みが、高校現場において具体的な進学先選びの基準となると答えたのは約65%に留まった。

上記のような取り組みは進路指導において、各大学を評価する基準となりますか

今回のアンケートで見る限り、例えば研究内容や就職率など、進路指導現場ではより重視しなければならない要素が多くあるため、「グローバル人材の育成」は、ある程度評価はするものの重要な基準とまでは到っていないのが現状のようだ。また1面の(表1)での結果でもあるように、「グローバル人材育成推進事業」に関して、「内容について詳しく知っている」と答えた割合はわずか4%、「聞いたことはあるが詳しい内容は知らない」と「知らない」を合わせて96%と、グローバル人材育成事業がまだまだ現場へ周知されていない状況であることが分かった。

「それぞれの役割と今後の課題」

このような現状をふまえ、グローバル人材育成が重要な要素として捉えられるには大学側はそれぞれの取り組みで結果を出し、その実績を高校にフィードバックするなど教育現場への情報提供を充実させ、グローバル化に対する意識を周知させていくことが大切である。

また高校現場においても、実際に学ぶ生徒へのグローバル化社会における常識と教養、一人ひとりが具体的な将来のビジョンを描けるような指導をしていくことを期待する。このような双方の意識や行動がグローバル人材を育成していくうえで重要な役割を果たすことになるのだろう。

「各学部で行われる特色あるグローバル教育」

グローバル人材育成と聞くと文系の学部学科がイメージされるが、各学問系統でも特色ある取り組みが行われている。経営・経済系では海外との取引に対応できる国際的なビジネスマナーの習得や発展するアジア諸国への商取引、理工系では世界に通用するものづくりや最新技術の提携、農学系では日本と諸外国での農業の相違や法的基準の比較など、各々の視点でグローバル教育が確実に進められている。

今後、社会全体のグローバル化が加速すれば、企業側は語学力・行動力に加え、より高度なコミュニケーション能力を持つ即戦力となる人材を求めるだろう。それに対応して、大学も今後はグローバル教育を一層重視することが考えられる。高等学校でもこの取り組みを鑑み、大学の評価の一つとして是非注目していただきたい。