【インタビュー】企業・大学・学生にきく!就職事情の最前線(連載第4回)|大学Times

大学Times Vol.5(2012年6月発行)

【インタビュー】企業・大学・学生にきく!就職事情の最前線(連載第3回)

企業Voice 丸紅株式会社 真価を発揮する人材を求める 世界を舞台に活躍するためには優れた人間力と、困難にめげずチャレンジし続ける力が鍵となる

丸紅株式会社 人事部 部長補佐

150余年の歴史を持ち日本を代表する総合商社・丸紅は時代の動向を捉え、新たな分野の開拓、ビジネスモデルを次々生み出し発展してきた。グローバルに事業を展開させる業界の先駆けとして丸紅が求める人材像について人事部の羽賀秀則氏に話を伺った。

人間力の優れた、真価を発揮できる人間を求める

弊社は高度経済成長、バブル経済とその崩壊、急激なIT化とグローバル化といった時代の変化に応じて、新しい分野へと業容を拡大し続けています。

そこで、2014年度の採用コンセプトは『進化を真価に。』。世界を舞台に働くとき、最後にモノを言うのはその人の「人間力」。そして、挑戦し続けることで自分を進化させ、自分を磨くことで手に入れることができる己の真の実力=「真価」を発揮していける人材を求めています。人間力が優れている、真価を発揮できる人材になるためには、多様な価値観を許容できることが大切です。なぜなら、国や地域が違えば考え方や生活、文化が異なり、海外に駐在して価値観の異なる人間を引っ張っていくためには、考え方を柔軟に変えていく必要があるからです。

ですから、弊社では入社すると、20代のうちに海外経験を積みます。駐在員として派遣されるのはもちろん、中には語学研修やロースクールに入学するケースも。私自身も入社3年目にマルチメディアを学ぶために1年間スイスへ研修に行きました。

【採用sideから】「つらかったときどう克服したのか」を聞き、その人の生きざまや多様な価値観を許容できるかを判断します。

面接では、変化を恐れないチャレンジ精神に注目

多くの学生は、総合商社には語学力が重要だと思うようですが、重要なのは、一生懸命机に向かって躍起になって一つでも多く単語を覚えたりすることよりも、言語を学ぶ楽しさを感じられることや、たどたどしいながらも現地の人たちと会話しながら、その人たちの考え方や文化を積極的に理解しようとする態度です。語学力はまだこれからでも、学生時代に例えば運動部の活動など「これを極めた」というものがあれば、その力を武器にこれから頑張ればいい。ですから、弊社では必ずしも語学力が必要というわけではありません。

私が面接官として学生に接するとき、現在のその学生の姿だけなく、その人が10年後、20年後どんなふうに変わっていくのかを想像しながら話を聞くように心がけています。例えば、サークルの幹事をしていた学生で、サークルをまとめるのが大変だったという話を聞けば、発展途上国でしんどい仕事をしても、自分を鼓舞しながら危機を脱していけるのではないか、会社への利益に貢献できるのはもちろん、人間的に自分を進化させる器量があるのではないかと推察します。

そこで、面接の際、つらかったことやそれをどう克服したかをよく聞くようにしています。なぜなら、困難を乗り越えるとき、自分の価値観の偏りや誤り、一つの考えに固執していたことに気づき、自分を変化させるきっかけになると思うからです。そういうチャレンジ精神あふれる、自分が変わることを恐れない姿勢が、多様な価値観を受け入れられる、いろいろな考え・立場にいる人間の気持ちを理解しながら仕事をする礎となるからです。

弊社は食糧部門、金属部門、ライフスタイル部門、エネルギー部門など、多岐にわたるビジネス部門を擁しており、採用コンセプトはあっても求める人材はあえて定義していません。いろいろな個性を持っている人が社内にいていい、そういう考えが深く根付いています。

大学で得た専門性もあまり重視していません。確かに法学部で法律を一生懸命勉強した学生なら法務部に行くのがいいのではというのはありますが、仕事とは、自分一人で全部をこなすわけではありませんし、いろいろな部門や部署を渡り歩き、国や地域が異なる人たちと一緒に働くわけですから、自分が専門性を発揮するよりも、専門性を持った人たちをまとめ上げていく人間力のほうが大切なのです。

学生時代に感じた「多様な価値観」 商社への就職の決め手に

私自身、高校生のときアメリカ留学を経験しました。留学先は日本人を見たこともないような人たちばかりがいるテキサスの片田舎で、生活はかなり大変だった面もありますが、同じ人間なのに考え方がこうも違うのか、価値観って一つじゃないんだということを直に感じることができた貴重な体験でした。

大学に進学後は法律学科で法曹界を目指していましたが、司法試験に合格するためには青春のすべてを勉強に捧げないと無理かなと感じていましたし、高校時代にディベートを行うテレビ番組に出演していたことで、放送、マスコミ業界に興味を持つように。そこで、大学の就職部が行っているマスコミ講座を受けるようになり、広告代理店に勤めている講師の方の、コミュニケーションとはどういうものかという話に感化され、マスコミへの就職を希望しました。しかし、いろいろな価値観を感じられるのはマスコミより商社ではという思いが強くなり、丸紅への入社を決めました。高校時代や大学時代に悩みながらもたくさんの経験ができたこと、つらい思いをしたことも含めて、いろいろな機会を与えてくれた学校や両親に感謝しています。

夢をあきらめずに追いかける力を育てよう

最近の学生は自分の将来を早い段階から見据えて、業界・企業研究などを綿密に行い、大学でどんな勉強をして、どんな経験をすれば希望する企業に就職できるのか、最適かつ最短なルートを模索する傾向にあるということを耳にします。しかし最短ルートを選んだつもりでも、想定外の出来事はつきもので、挫折や失敗、つらい体験をすることがあるでしょう。そのときに何を学ぶのか、諦めずに自分を高めて再チャレンジしようという意欲をいかに維持していくか。このモチベーションが大切だと思います。

モチベーションがあれば、弊社の採用のコンセプトにもなっている自分を「進化」することができます。そして、「進化」に必要なのは、夢、言い換えればこういうことをやってみたいという気持ちです。夢は簡単に叶わないから夢であり、追いかける価値があるのです。夢を持ち続けること、それがエネルギーの源であり、夢を追いかける過程に成長と「進化」があると思います。

ですから、学生時代はやってみたいと思うことをどんどんチャレンジしてほしいと思います。いろいろな環境に身を置くことで、価値観は一つじゃない、自分の知らない世界がまだまだあるんだということが実感できるでしょう。そこで、成功するのもいいですが、失敗するのもまたいいことです。私自身、大学時代に、アメリカ人の先生に「君の考えは甘い」と叱られた経験もあったり、アメリカ人にもこういう教育をしてくれる人がいるんだと感じたりすることもありました。外国人が周りにいることは、単に英語の勉強になるというよりもむしろ、いろいろな価値観に触れて刺激を受けて、自分を高めていく面で貴重であると思います。

学校や家庭は、ぜひ多様な価値観に触れる機会をたくさん作ってほしい。そして、学生は興味を持ったものに関して、たとえ困難なことがあろうとも、めげずにチャレンジし続ける力を培ってほしいと思います。

大学Voice 東京理科大学 経営学部 高い就職率の原動力は、学生たちの学びへの自主性と自己分析能力 その潜在性を引き出すのはゼミ、クラブなど成長の場

久喜キャンパス 就職支援室 課長

理系の大学内の経営学部として異彩を放つだけでなく、高い就職率で注目を浴びる東京理科大学経営学部。『就職に強い大学』(読売新聞)2012年度版および2013年度版の学部別就職率ランキング(経営学部部門)で2年連続全国1位を記録したその実績の秘密に迫る。

【育成sideから】成長する裏には必ず苦労がある。それを習慣づけるという教育も大事です。

理系の経営学部だからできる『一人二役』の人材育成

従来から、理系の人材はあまりマネジメントが得意でなく、逆に文系の方は数字やデータなどに関してアバウトな面があるととらえられてきたと思います。しかし本学の経営学部は理系の素地を持った学生がマネジメントを学んでいきます。マネジメントにも強く、数値やデータなどにも強い『一人二役』の人材育成を目指しています。

本学部の学生はコンピュータに強いという声を、企業さんから多くいただいています。情報リテラシーを学び、数学も必修にしているので、データ的なものに非常に強い。それに加え、マネジメントも学んでいるということで、ぜひ本学の学生を採用したいと人事担当者からお聞きいたします。

これまで理系の分野で多く学生を採用してきた職種、例えばSEやIT関係の仕事も、これからの世の中、営業的な素養がないといけません。営業がクライアントと交渉する中で、例えば技術部門に一度確認してから連絡という形ではなく、営業がひとりでその場で対応していける能力を身に付けていれば、その時その場で質問に答えられる上、会話中のコミュニケーションから新しい発想が生まれてくる可能性もあるわけです。

就職行事を「必修」の「ゼミ」に

本学の就職支援の最たる特徴は、自己分析適性テスト、エントリーシート対策講座、SPIテスト、GAB・CABテストをはじめとする就職対策の講座を必修のゼミナールとして扱っていることです。このような学部は日本全国でも数少ないのではないかと思います。

適性テストなどの結果はゼミの教員からフィードバックを行い、一人ひとりの結果にどういった特徴があったのかを面談方式で伝えていきます。その過程においてコミュニケーションが生まれ、ゼミの教員との信頼関係も増していきます。

また本学部には特別講義といって企業の役員等を外部講師として招いて業界の話をしてもらう講座を学部開設当初からずっと続けています。この中にマナー講習会や、面接講習会も組み込んでいます。これらも課外講座ではなく、授業として行っています。

語学も非常に重視しており、無料で年に2回、3年生まで計6回、学生に対してTOEICテストの受験を義務付けています。数理・情報に強いだけでなく語学にも力を入れた『一人二役』も目指しています。2週間に及ぶ海外インターンシップも実施しており、そこで学んできたことが学生たちの自信にもつながっているようです。

「ゼミは大変だったけどあの時の苦労があったから、今がある」と卒業生は共通して言います。成長する裏には必ず苦労がある。それを習慣づけるという教育も大事です。

自己分析能力を伸ばすクラブ活動

大手企業に採用された本学の学生を見ると、勉強以外で色々なことを学んできたように思います。例えば、本学では『体育局』と呼んでいる運動部のクラブ活動を積極的に取り組んできた学生が採用されている傾向にあります。クラブ活動では先輩、後輩など多くの学生とクラブ運営をしていくわけですから、コミュニケーション能力が必然的に身に付いていくようです。

本学部では、特にクラブ活動に参加している学生が多く、そういった学生は自己分析が本当によくできているのです。それも本学部の特徴のひとつであるかもしれません。

業界研究よりも職種の研究

自己分析の次に大事なのが職種の研究だと考えています。どんな会社に勤めても、職種によって仕事が変わってきますから、「仕事そのもの=職種」ということを意識させるようにしています。

職種のギャップというのは、大きいですよね。例えば、華やかに見える航空会社にしても、食品会社で食品を作るにしても、その会社に就職して必ず希望する職種に携われるとは限らないわけです。その会社の一員だとしても、その職種に就けない場合のギャップは大きい。こうした例えを使って学生に“職種”の話をしています。それがミスマッチ退社を減らすためのひとつの有効的方法ではないかと。営業職として会社に入っても、部署移動によって職種が変わる。これは社会人としてのひとつの宿命といっても過言ではありません。しかし何にでも挑戦をしていく、企業の一員としての主体的な考え方を培ってほしいと思います。その結果、いつか自分に適した仕事に就けるはずです。

【育成sideから】大学の文化として根付く学生の主体性 それを創り促す大学の理念

高い就職率の秘密は学生たちの主体性にあり

「最初に就職ありき」ではなく「主体的に学ぶ」という習慣が重要です。東京理科大学の校風、伝統というのでしょうか、学生たちは学ぶことが大好きです。これが学生の文化として根付いているので、自ら学ぶ姿勢を持った意識の高い学生が多いですね。そういう自ら物事に挑戦していくという姿勢が、自分にマッチする企業へ入社することに繋がりますし、高い就職率と無関係ではないと考えています。

もちろん、学生全員が最初から飛び抜けた高い能力を持っているというわけではありません。クラブ活動、ゼミそれから海外インターンシップなど正課授業以外を学び、体験することで伸びていくのです。そしてそれが社会に出てから大きな力になる。学生という多感な時期に大学が責任を持って学びの場をいかに与え、そこで得たものを血と肉にするか。そういう面で建学の精神『理学の普及を以て国運発展の基礎とする』に常に立ち返り、社会に貢献できる人材を輩出しようと考えています。また親御さんから大切なお子さんをお預かりしているということを忘れず、誠実に学生に接していくことを心がけています。

就職支援はトコトンまで

実力はあるけれども、面接などで会話することが苦手な学生もいます。就職支援として、そういった学生たちがどう自分をアピールしていけばよいかという点なども個別に相談に乗っています。

就職活動がうまくいっていない学生たちを就職支援室に集めて、就職情報会社の方に来ていただき、振り返りをしたり、悩みを聞きながらモチベーションを上げていくというサポートも行っています。就職が決まらない学生は毎年出てしまいますが、そのような学生全員に連絡を取っていきます。卒業式の前日まであきらめないで、サポートすることが私たち教職員の役目であります。また保護者の方の相談にも乗ります。毎年開催する父母懇談会では、就職状況をお伝えして、個別相談に応じています。できる限り就職を希望する全ての学生が、卒業証書と一緒に企業の内定を勝ち取って社会に出て行ってほしいと思っています。そして、卒業生がそれぞれの使命の舞台で、個性を生かして思う存分活躍できるよう願っております。