【特集】いち推し教授探訪
リベラルアーツ×英語×少人数教育のGIS
社会心理を学び真のグローバルリーダーを目指す~法政大学~

大学Times Vol.60(2026年7月発行)

法政大学15学部のうち、卒業生アンケートで満足度1位※を連続で獲得するグローバル教養学部(GIS)。グローバルなリーダー育成目指し、1学年約100名、1クラス平均20名の少人数授業はすべて英語で行っている。さらに今年6月開催の「オープンデイ(GIS独自のオープンキャンパス)」も、1カ月前には定員締切りとなる盛況ぶりだった。今、学生に支持され受験生の注目を集める理由はどこにあるのか、新谷優教授に伺った。
※法政大学総長室付大学評価室2024年度卒業生アンケートにおいて98.8%が「満足」「やや満足」と回答し全15学部のうち最も高い数値を獲得

法政大学 グローバル教養学部(GIS)教授
新谷 優(にいや ゆう) 博士(社会心理学)

研究テーマ:ノンゼロサム信念
2025年度「学生が選ぶベストティーチャー賞」受賞(殿堂入り)
〈主催:法政大学教育開発支援機構「学生が選ぶベストティーチャー賞」実行委員会〉

幅広く学問を学び問題解決への行動力と
専門家同士を繋ぐリーダーを育成

グローバル教養学部(GIS、以下同じ)は「グローバルなリーダーを育てたい」という学部です。世の中の理不尽なことに対して、ただ不平不満を言うのではなく、問題に向き合ってアクションを起こせる人物を育てています。しかし問題の本質は一つではないので、何が問題なのかを見抜く力や、解決にはいろいろな人との協働・共創が不可欠です。教養教育であるリベラルアーツとは、あらゆる学問を幅広く学ぶのが特徴ですが、問題解決には先ず、学んだ知識を活かして“学問毎を繋ぐ力”を養うことが求められます。日本における「教養」とは「広く浅く」と思われがちですが、GISは色々な分野を学んで深く理解することで物事の本質を見抜き、解決のための「専門家同士を繋げられる人」を育てている学部です。

私の専門分野の「社会心理学」では、人の行動、感情や思考パターンについて知り、他者からはどんな影響を受けているか、また自分の行動における他者への影響について学びます。また、そこから派生したのが「文化心理学」です。個人が文化をどう作っていくのか、たとえば規範が異なる日本と海外では、相手に対して振る舞いを変えることがありますが、その影響などを考えます。

真っ先に浮かぶ解が最善とは限らない
人のため=自分のためを追求する研究

最近の研究テーマ「ノンゼロサム信念」では、人のために行ったことが自分のためにもなる、最善の手段などを考えます。たとえば自分にとっての“ベストな解”を求める際に、タイパ・コスパを優先して真っ先に浮かんだものが最善とは限らず、自己を最優先させる考え方は世界を狭める原因にもなってしまいます。もう少し深く考えたり他の人にも聞いてみたりして、皆にとっての「もっといい解決策」を導くこと。これは自身の子育て中の「時間の使い方」に置き換えても研究しました。

行動の動機が「自分のためだけ」ならば、万一周囲からの抵抗や批判を浴びて困難に陥ると「じゃあ止めよう」と諦めてしまいます。しかし、その行動によって「周りが良くなる」と視野を広げて、諦めずに「大変だけどもう少し頑張ってみよう」と粘り強く行動する力は、グローバルなリーダーに不可欠な素養として身につくのではないでしょうか。近年はビジネス界でも自社の利益のみ追求するのではなく、社会に貢献しながら経済活動を推進させるよう移行しています。人助けが偽善ではなく、自分のためにもなるという考えです。

毎時間全学生が“特等席”で授業に臨み
ディスカッションに必要な英語力を修得

近年の諸問題は日本だけで解決できるものばかりではありません。問題解決には世界の人々と交流して自分の意見を発信したり、他者の意見を理解したり、ディスカッションのスキルが不可欠です。GISではすべての授業を英語で行うことで、世界の人々とのディスカッションに必須な語学力を身につけていきます。

さらに、GISでは「傍観者を出さない授業」として、少人数教育を徹底しています。全員が特等席で授業を聴き、毎回発言してほしいので、教員は学生全員の顔と名前を憶えて積極的にディスカッションし、双方向の授業を展開しています。

理想の英語力は大学1年の頑張りで修得可能
GISのリソースをフル活用してほしい

“授業で困らない英語力”の修得について、これまでは語学スキルの高い学生を優先していましたが、現在は入学時に理想の英語力に満たなくても、「やる気重視」で学生個々の“伸びしろ”に期待しています。入学後は毎日英語の授業環境に加えて、1年生で英語スキルコースの授業を多めに履修することで、「ライティング」「リーディング」「プレゼンテーションスピーキング」の力を伸ばすことができるからです。また、GISにはネイティブのスタッフが常駐しており、日々の宿題やTOEFLの面接練習などの相談ができますので、教員も含めてリソースを上手く活用してほしいです。自分から「教えてください!」と来られる学生は英語力が伸びると確信していますが、英語ができないことにコンプレックスを抱いてしまうと、ますます話さなくなるので、まずは隠さず「英語ができるようになりたい!」と前向きに意識することが大切です。

心理学を社会生活に昇華させて
教養を自分のツールとして活用する

GISでは授業で学ぶ各分野の関連性に学生が気づくことがあり、授業の際に指摘されることがあります。各学生が卒業後も実社会で心理学や他の分野の知識を活かし、より良く生きるために行動しているのを嬉しく思います。

中にはリベラルアーツを学ぶ学生から「自分の専門性がない」「就活で企業に評価されない」などと不安の声を上げることがありますが、グローバルビジネスでは「ネゴシエーション」を担う役割が何より重要です。たとえば食事会での会話では幅広い教養によって人間性が信頼され、商談が纏まることも珍しくありません。日本では幹部社員研修として「リベラルアーツ教育」を取り入れている大手企業もありますので、GISの学生には4年間学んだ教養の力を信じ、胸を張って実社会に巣立ってほしいと願っています。GISでは、さらに専門分野を修得したい学生のために、国外大学院進学のサポートもしています。

大学で初めて触れる学問で世界が広がる
高校では英文法を最優先に学習を

高校生のうちは「将来何をしたいかわからない」人にとって、専門分野を一つに絞らないリベラルアーツを学ぶにはいい状態だと思います。特に、大学で初めて触れる「心理学」や「哲学」は、大学から興味が湧いて学びの世界が広がることも珍しくありません。

GISの年内入試(総合型選抜/学校推薦型選抜)では、調査書や面接で「主体的に行動しているか」を見極めています。誰かに勧められたボランティア体験よりも、夏休みに自ら計画・実行した一人旅を通して、何を感じ、何を得たかをまとめるのも良いかもしれません。また、入学後は毎日が英語ですので、少しでも伸ばすよう努めてください。英語力上達には、まず「英文法」をしっかり勉強すること。今は話す、聞くが苦手でも、文法が理解できれば入学後、英語力は必ず伸びるからです。

また、毎年1学期中に開催する「オープンデイ」(GIS独自のオープンキャンパス)では、年内入試の出願要件や模擬授業も行いますので、興味のある高校生は是非とも参加をお待ちしています。