通信制大学特集スペシャルインタビュー
いつ、どこで学んでも孤独じゃない!仮想空間でも学生を手厚くサポート~日本大学通信教育部~

大学Times Vol.60(2026年7月発行)

年齢も住む地域も生活スタイルもさまざま。日本大学通信教育部の学生が気軽にいつでも、しかも「アバターで相談・交流できる」システムが今年2月から新たに稼働し、注目されている。24時間の学生交流も可能なメタバース空間を大学が開設し、学生生活や学修の支援を推し進める背景や今後の展望を担当職員に伺った。

日本大学通信教育部 学生・学修支援センター
学生支援と学修支援の双方を目的として2025年2月に本格スタート。「入学課」「教務課」「学生課」の三課と専任コーディネーターが連携して支援に当たっている。昨年、私大にも適用された障がいのある学生に対する「合理的配慮」は、同センターから大学教員へ対象学生の学修環境について調整等の役割を担う。在学生の履修、学修、生活面に対する相談など学生一人ひとりに寄り添い、円滑できめ細やかなサポートを行っている。

いまの学生に寄り添った
「バーチャル相談窓口」を開設

入学課・千代川氏 「今回私たちはメタバースプラットフォーム『MetaLife(メタライフ)』の中に、バーチャル空間上の学生・学修支援センターを開設しました。今年の2月に運用を開始しています。今年度4月入学の新入生には全員、在学生にも随時広報して利用を呼び掛けています。メールアドレスでログインし、空間内ではアバターで行動・会話するもので、学生は物理空間と同じ感覚で自分のアバターを動かすことができます」

教務課・小澤氏 「私たちは普段、履修の仕方から生活面の不安まで、学生たちのさまざまな相談に乗っていますが、中には対面での相談が苦手という学生もいます。オンライン相談にはこれまでZoomを使っていましたが、いまの若年層の学生は電話もメールも顔出しも苦手という声も多いです。しかしSNSのようなチャットやアバターなら自分の気持ちを伝えやすいだろうし、私たちも支援しやすいと考えました。話しかける勇気も要らず、会話を始めるハードルはぐんと下がったと思います。もちろん、これまで通り市ヶ谷キャンパス内での対面相談や支援も行っていますが、ネットの世界に慣れている若い世代に向けて、相談窓口をひとつ増やしたという感じです」

職員への相談の敷居を下げ
仲間や先輩たちとも交流する場に

入学課・千代川氏 「通信教育部は地方や海外に住んでいる学生も多く、学生同士の交流が難しい面がありました。しかしメタライフなら空間を超えてアバター同士自由に会話することが可能です。当センターの事務室だけでなく、3人程度で会話できるおしゃべりエリア、畳をイメージした大人数で歓談できる部屋もあって、いろいろな形で集えるようになっています(写真参照)。顔を出さずに気軽な交流ができる場として、ぜひ多くの学生に利用してもらいたいですね。通信教育部には4学部8学科(専攻)あり、幅広い世代の方たちが学んでいますから、いろいろな交流ができると思います。同じ学部同士で情報交換をするとか、社会人の学生同士で夜中に語り合うとか。先輩に教えを乞う場としてもいいですね。

先輩と後輩の交流という点では、全国にある面談式の学習センターは現在、基本的に日曜日に開室して学生たちの相談に対応しています。ところが学習センターの開室時間に、全ての学生が行けるわけではありません。バイトもあるでしょうし、家庭を持つ社会人学生にとっては家族サービスの日かもしれません。海外在住の学生には時差もありますので、時間的に相談できない学生たちの受け皿として、この「バーチャル学生・学修支援センター」が活用できればと思います。職員も勤務時間内しかMetaLifeの中にいられませんから、それ以外の時間、例えば平日の毎晩20時くらいからデジタルネイティブ世代の先輩が数名、相談員として常駐してくれるのが理想です」

学生の相談内容によっては教員が直接対応し、指導しています。(写真は文理学部国文学専攻 助教)

履修方法の動画を制作し自由視聴
スクーリングや就職ガイダンスにも

入学課・千代川氏 「相談や交流以外にも、Meta-Life内の学生・学修支援センターはいろいろな機能を持っています。例えば新入生を対象に、履修の仕方や単位の取り方などをゼロから教える動画を新たに制作し、自分のスマホでいつでも観られるようにしています。解説動画は、対面で説明するよりずっと難しかったですね。私たちが普段使っている専門用語が全く知識のない学生に理解できるか不安でしたし、言葉の使い方ひとつで誤解を生まないように気を遣いました。世代によって発信する言葉の意図や受け取り方が違うということを、今回の動画制作で学んだ気がします」

教務課・小澤氏 「新入生を対象にしたガイダンスでは、このMetaLifeについて繰り返し伝えてきましたので、最近はアカウントの登録数も増えています。現在は学部生7630人のうち1割弱なので、今後はさらに学生へ向けて積極的に広報し、利用を促すのが喫緊の課題です。登録者数が増えれば、将来的にはこのMetaLifeを利用したオンラインスクーリングも可能になると考えています」

入学課・千代川氏 「これからの展望として、例えば人事・採用系の職場で就業している社会人学生と就活中の学生たちが、MetaLife内で就職ガイダンス的な会話をすることも可能になります。さまざまなキャリアを持つ幅広い年代の学生たちが在籍しているのが本学の強みですので、それを最大限に活かせればいいですね」

いつでも誰かと繋がる安心感
最先端の学修環境を提供する大学へ

教務課・小澤氏 「これまで大学の教育システムは、その仕組みに学生たちが合わせていましたが、これからの時代は、社会情勢に合わせて大学側も変化しなければいけないような気がします。そのひとつとして、私たちは仮想空間の活用を選択しました。最先端の学修環境の提供へ、一歩前進することができたのではないかと考えています。

通信制大学での学びを検討している方は、ぜひ本学を選んでいただき、親身な相談や自由な交流ができるMetaLife上で学生生活を楽しみながら、自身の目標に向かって進んでもらいたいです。通信制大学で学ぶことは、決して孤独ではないことを本学で是非とも体感してください」

専門資格を持つコーディネーターが
メタバースでも寄り添う、
独自の「合理的配慮」と手厚い環境調整

入学課・井部氏 「障害者差別解消法の改正に伴い、私立大学でも障がいのある学生への『合理的配慮』が義務化されました。本学には、これまで通信制高校や特別支援学校から学生を受け入れてきた確かな実績と、手厚い支援を行う独自のノウハウがあります。今回は、その支援体制に『メタバース空間』という新たな選択肢が加わりました。学生のサポートを担うのは、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を持つ専門コーディネーターです。『専任のコーディネーターがいるから安心』と入学を決意される方も多く、学生たちの大きな拠り所となっています」

学生課(コーディネーター)・小林氏 「私たちの役割は、学生の困りごとを一緒に整理し、教職員との架け橋になることです。自身の特性から、困りごとをうまく言葉にできない学生も少なくありません。そのため、決して答えを急がず、雑談を交えながら相手のペースに寄り添うことを常に意識しています。特にアバターを介して行うメタバース空間での相談は、カメラのON/OFFも自由にできることから、学生が緊張せずリラックスして話せるのがメリットです。焦らず丁寧に対話を重ねることで、適切な環境調整や問題解決へと繋げています」