大学Times Vol.11(2013年12月発行)
「不況の中で学費を安価に抑えることができる」、「時間を有効に使うことで学習やアルバイトに励むことができる」などの理由から“夜間学部での学び”が近年注目を集めている。しかし進路指導を行う高等学校の先生、保護や生徒たちには「夜間部は学力面で昼間部に進学できなかった生徒が進学するもの」という考え方が未だに残っているのが現状だ。そこで株式会社さんぽうが東京理科大学協力のもと『夜間大学フェア2013』を実施。大学夜間部への進学支援と魅力の紹介を行った。
第一部で大学と高等学校教諭18名による「コミュニケーションセミナー」が開催され、各大学の夜間部の説明と、それに対する質疑応答が行われた。
やはり学費に関する質問が一番最初に投げかけられた。初年度学納金はもちろん、卒業までに必要な金額にも話が及んだ。学費面で進学を断念する生徒が多くみられる昨今では重要な問題だ。各大学の回答では、昼間部の半額程度の学納金で抑えられているということで、昼間の空いている時間をアルバイトに使うことで学費を支払う学生も多くいるようだ。さらに奨学金を受給することで、無理のない学生生活を送ることができるということだ。
これまでの夜間部に通う学生のイメージは学力的に昼間部への進学が難しい人のための夜間部という考え方がどうしても多かったが、学費を抑えられることや自身に合ったライフスタイルの確立ができるなど魅力的なことが多く、参加された先生方も意外に思ったようだ。
質問は入口の話だけではなく出口の問題、つまり就職に関しても言及された。高等学校側としては「夜間の学生」であるということを色眼鏡で見られるのではないか、という不安があるようで、夜間部の就職状況もまた知っておきたい情報の一つであるということが感じられた。
しかし各大学の意見を聞いていると、夜間学部の学生であることは決してマイナスではない、むしろアピールポイントであるようだ。なんとなく昼間部に通い卒業していく学生と比較すると、自分の意思で夜間部を選択し、学費を自分で賄って卒業していく学生の方が社会からの評価が高いこともあるという。またそれだけの努力したということをアピールできる材料にもなるということで、夜間部の学生だからという理由でマイナスになることはないということだ。
就職率という面においては昼間部と変わらない、または若干下がるという回答がみられた。ただしこれは「夜間部の学生だから」という理由ではないという。夜間部は月曜日から土曜日の週6日授業が行われ、昼間も学習やアルバイトをしている学生が多い。そうするとどうしてもどうしても学業に響くケースがあるようだ。
このように夜間部での学びは決して楽なものではないが、それは夜間に学ぶことの宿命と言えるだろう。しかし、その中で自分の夢を実現させる学生がいることも事実である。夜間部であっても昼間部と同じ教授陣が授業を行っていたり、施設も同じものを使用して学ぶことができる場合も多い。要は苦境の中でも「この環境を思い切り利用してやろう」と考える“学生の意識の差”が夜間部での学び、そして就職に表れるということである。
第一部に引き続き、電気通信大学、前橋工科大学、女子栄養大学、東洋大学、東京理科大学の5校によるブース形式の進学相談が行われた。入学、学費、就職についての質問を中心に、自分自身ではわからなかったことを積極的に質問している方が多くみられた。とくに各大学の在校生には多くの人が集まり、夜に学ぶキャンパスライフについての質問が多くなされていたようだ。アルバイトはどうしているのか、学習に打ち込むことができる時間はあるか、サークル活動などは行っているのかなど、さらに深くまで夜間部について知ろうという積極的な参加者が多くみられた。
同時に大学説明会が大会議室で行われ、各大学が30分ずつの大学説明を行った。スライドを用いてそれぞれの大学が特徴を詳しく説明。より詳しく希望の学校の特徴を知ることができたようで、参加した方々は有意義な時間を過ごすことができたようだ。