「社会への扉」女子短大のキャリア支援〜戸板女子短期大学〜|大学Times

「社会への扉」女子短大のキャリア支援〜戸板女子短期大学〜

政府も成長戦略として女性の社会進出を打ち出している今日。
短大生の特性を活かし、独自のキャリア支援で「社会に出て自立する女性」を輩出する戸板女子短期大学の取り組みを坂勇次郎キャリアセンター部長に伺った。

学生への「傾聴」と
自らの「気づき」で作成するステップアップシート

坂 勇次郎 戸板女子短期大学キャリアセンター部長

5年前に採択された大学教育改革支援プログラムで「卒業後の私はどうなっていたい」ということを学生に記入してもらい、そのために必要な力をつけるにはどうすればよいかを考えさせる取り組みを始めました。これが現在のステップアップシートです。例えば「CAになりたい」という学生に対し必要な要件(語学力レベルなど)を自ら考え、調べることにより「自分に不足するところを認識」させることが目的です。卒業までの2年間に5回の面談を行い、ステップアップシートに記録しています。1年生は春と秋に教員が必修授業の中で実施し、2年生になる春からはキャリアセンターにバトンタッチします。およそ半年に1回の面談を通して、その間の行動が取れたかどうかの振り返りを行い自己評価させるのです。企業では目標に対する計画や行動(PDCA)などを行いますが、その学生版です。このステップアップシートは全学生個別に作成し、教職員全体で記録し情報共有する仕組みです。今年からシステム化をはかり、タブレット端末を使って面談を実施するようになりました。この取り組みが評価され、文部科学省からS評価を受けています(詳細は本学HP上で公開)。

現在はステップアップシートと面談を通して「自ら考え積極的に就活に取り組む学生」と「現状では就活が難しい学生」を早めに見極めることができるようになりました。ステップアップ面談は、就職に対する考え方を押し付けるのではなく、あくまでも学生の意思を最大限に尊重し、全学生対象に行っています。しかしながら担当する職員は現在5名体制のため、大変エネルギーが要るのですが、「将来像が見つけられない学生も、本学の2年間で自分を知って就職する」ことを見据え、最も力を入れて対応しています。

女子短大のキャリア支援〜戸板女子短期大学〜

「企業に必要とされる人材」を育成するキャリア教育と
「企業に必要な学生情報」を発信

1年生の前期は必修科目「キャリアデザイン」で、社会に出て働くとはどういうことかを学びます。また「社会に出て必要な数学国語」として筆記試験(SPI)対策になる授業も行います。その後1年生の後期から2年生の前期まで、行きたい業界別に分かれて実務教育を行い、これが実質的な就職活動期間となります。各業界の専門家の授業のほか、企業実習(インターンシップ)も春休みや夏休みに1週間〜1か月、実際の現場で働きます。学生間の情報交換もできますし、相乗効果となって頑張れる学生もいる一方、「私はこの業界には向いてない」という希望業種変更の機会にもなっています。最近はビューティー業界やブライダル業界など就業経験を重要視する業種もあるので、インターンシップのほか1年次からのアルバイトも奨励しています。本学では文部科学省が授業におけるキャリア教育を打出す以前より、キャリアセンター職員自らが授業にも加わっています。

【工夫事例①】企業向け学生居住沿線MAP

例えば企業が栄養士を採用する場合、早朝勤務も多いので就業先の近くに住む人から採用する傾向にあります。そこで、本学では就職希望者のMAPを作ってこの鉄道の沿線には何人学生が住んでいるか、企業の人事担当に提示しているのですが、その沿線で大口の仕事が決まり、栄養士を採用したいという場合などに喜ばれています。本学でどの仕事を求めている学生がどの地区に何人いるかを把握しているので、企業の人事担当からピンポイントで「この地区に住む○○職希望の学生を採用したい」といった情報をいただくようになりました。結果としてマッチングの精度が上がり、就職率も高水準を維持しています。

戸板女子短期大学就職率

【工夫事例②】希望業種に合わせた就活写真撮影

市販の履歴書写真は主に3p×4pですが、本学制作の履歴書の写真は2倍の4.5p×6pです。女子学生ということもあるので、大きめの写真で企業に好印象を持ってもらうよう、ヘアメイクも施した写真撮影会も本学で行っています。業種に合わせて、例えばファッション業界志望の学生は敢えてまとめ髪を控えトレンド風ヘアアレンジを勧めたり、栄養士志望者などは清楚なヘアスタイルにするなどの工夫をしています。

【工夫事例③】内定者交流会

就職内定が決まった2年生が業種希望者の1年生に就活体験を話す機会を設けています。質問タイムなどは1年生から積極的に声が上がります。学生アンケートを基に毎年形を変え、今年は業種ごとに細分化しました。職員は大変ですが、その方が効果は高いようです。

企業から見た短大生の強み
「20歳前後は1年ごとの成長が大きい」

敢えて今、短大生を採用する企業からは「20歳で入社する短大生は入社してからの成長率が高く、四大卒が入社する22歳の時点では明らかに成長している」点や「年齢が若いこともあり、業務に素直に取り組む」という声をいただくことがあります。一時は短大卒一般職の採用を控えて派遣社員で補う傾向がありましたが、情報漏えいの問題で個人情報を扱う業務は正社員でという方針が増え、短大卒一般職の採用は増加しています。またここ1、2年は販売職やサービス職、栄養士の採用も増えています。さらに企業が求める人材が年々変わってきているので、今後もニーズに対応した取り組みをして参ります。これまでは「リーダーシップが取れ、自ら考え行動する、責任感のある人」が求められましたが、現在短大生に求められているのは「協調性があり、気遣いができる人」がいちばん多いです。例えば入社試験のグループディスカッションでは、四大生たちと行うので専門的な知識は不足していても、全員に発言の機会を促すなど、話を聞いて人の気持ちを尊重する点等をアピールさせています。

四大に負けない短大の
キャリア支援は「卒業後3年」まで面倒をみる

本学での2年間の気づきで最後に「本当は四年制大学に行きたかった」という学生も中にはいます。企業で短大生の新卒採用のない職種(企画職や宣伝職など)を希望した場合などは、一旦企業に就職し、3年間一生懸命働いて実績を作り人事異動してもらいなさい、それが無理ならば転職しなさい、その時はキャリアセンターに来なさいという話をします。というのは、3年後の転職までは本学キャリアセンターに責任があり、四大に負けない短大のキャリア支援の範疇であると考えているからです。

菊池桃子 客員教授によるキャリア教育