「社会への扉」「人間力向上」のキャリア支援〜多摩大学〜|大学Times

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「社会への扉」「人間力向上」のキャリア支援〜多摩大学〜

平成元年に開学した多摩大学は、一貫して「実学」を追及してきたという。 資格取得のみに頼らない、「人間力」を高めるキャリア支援の取り組みについて、早河智春キャリア支援課課長に伺った。

職員全員が民間企業出身者で構成するキャリア支援課

早河智春 多摩大学 キャリア支援課 課長

本学キャリア支援課の職員は、全員が民間企業の出身者です。各々が企業での貴重な経験をもとに、学生からの就職相談をはじめ日々の業務を行っています。ゼミの先生方からも企業の情報や業界動向について尋ねられることがありますが、経験を踏まえて話すことができるなど人材を活かし、就職活動を支えています。  現在多摩キャンパス(経営情報学部)は学生約300名に対して6名と非常勤1名、湘南キャンパス(グローバルスタディーズ学部)は学生約120名に対して3名と非常勤1名の11名体制をとっています。

まずは第一印象、発声や歩き方など“表現力”を鍛える

経営情報学部では開学以来、「学生に特徴を持たせたい、本学ならではの強みを持って社会に送り出したい」ということを念頭に置き、キャリア支援に取り組んできました。3年生対象のキャリア支援講座は年間を通して20回実施していますが、座学を離れ、自らが体験してみるグループワークを中心とした実践的な講座を実施しています。大勢の中での採用面接で、好ましい人物として受け入れられるには、まず「第一印象」と「表現力」が大事と考え、挨拶のしかたや声の出し方、滑舌、姿勢、歩き方、身だしなみなどをプロのミュージカル俳優が指導をする講座を設けました(自己表現プログラム)。彼らは表現者としてのプロであり、与えられた役になりきる力もありますので、講師として適任であると考えています。学生アンケートを参考に年々リニューアルを重ねながら、4年連続で実施しています。

多摩大学

「自分を変えたい」学生には大好評

ほとんどの学生にとっては、今まで日常での声の出し方や歩き方など指導を受ける機会はなかったと思いますが、受講した学生には大変好評で、満足度の高いキャリア支援講座となりました。後日アンケートを読むと「就活にあたりこのままではいけない、自分を変えたい」という意識を持った学生が多い一方で、「就活とあまり関係ない」と講座に参加しない学生もいます。受講した学生には必ず力になっていますので、今後はさらに多くの学生に参加してもらうことが課題です。

インターンシップは全学生の3割が実施

経営情報学部は3年生の夏、グローバルスタディーズ学部は2年生の夏からインターンシップを実施しています。グローバルスタディーズ学部は海外留学を奨励しており、3年生の夏に留学する学生を見据えて早めに取り組んでいます。企業・業界研究と「この仕事は自分に向いているか」を見極める指標にもなりますので、本学では積極的に奨めています。できるだけ多くの企業へ学生を送り出せるように、多摩と湘南の両キャンパス間で情報を共有し、現在は全学生のおよそ3割が夏のインターンシップに参加しています。

「ゼミ力の多摩大」教育は2年生から本領発揮

経営情報学部では、2年生からホームゼミがスタートします。約300名の学生に30数名の先生方が指導にあたりますので、学生と先生との信頼も厚く、密度の濃い繋がりを持っています。このような手作りの教育手法は本学の大きな特徴であり、「ゼミ力の多摩大」の所以でもあります。

またゼミの中には対外活動が中心のものもあり、ゼミ活動を通じて社会を知り、社会常識を学ぶ場になるなど就業力をつける機会にもなっています。さらに「誠実に黙々と組織の下支えができ、周囲の人々が『一緒に仕事がしたい』と思う人間を社会に送り出したい」という寺島実郎学長の言葉にも、「実学」を追及してきた本学の真髄が込められています。

キャリア支援にあたり、学生1名にゼミの先生とキャリア支援課の職員1名の三位一体の体制で取り組んでいます(右図参照)。ゼミの先生方が学生ひとり一人の情報や希望などを把握しているのは何よりの強みで、3年生の後期に3名で時間をかけてキャリア支援面談を行っています。中にはあまり大学に来ない学生もおりますが、そのような学生にゼミの先生方が保護者のように付き添って、一緒にキャリア支援課に来る光景もみられます。

開学6年目のグローバルスタディーズ学部は現在、ゼミ制をとっていませんが、学生が100名余りと少数なので、「就職委員会」の担当職員と先生方で目の行き届いたキャリア支援を行っています。

このようなきめ細かいサポートの成果もあり、本学の就職決定率は経営情報学部95.7%、グローバルスタディーズ学部95.0%と高い水準を維持し続けています。(2015年3月実績)

就活経験者の学生父母に「懇談会」実施

多摩大学

本学だけではないのかも知れませんが、わが子の卒業や就職を心配するご父兄からのお問い合わせが年々増えています。この数十年で履修システムが複雑になり、就職活動の流れも難しくなっているので、「お父様お母様の時代とは違う」ということをご理解いただいたうえで、現在の就職活動の状況などをお話しする機会を定期的に設けています。懇談会にはゼミの先生方も参加しており、終了後の個別相談では先生とご父兄との情報共有の場にもなっています。

「就職に有利な資格」はない

ご父兄だけでなく学生からも「就職に有利な資格はありますか?」というお問い合わせがありますが、そのときには「学生時代の1〜2年で取得できる資格でそのようなものはありません」とお答えしています。これは資格を軽視するのではなく、社会に出る時に重要なことが資格の他にあると考えているからです。中には自ら進んで資格取得をしたいという学生に対しては、その意欲を評価し、学業に直結していなくても提携校などを通じて取得のためのサポートを行っています。

就職活動でまず重要なのは「人間力を高めること」であり、本学では2年生からのゼミ活動や先述の表現力講座などが有効と考えています。実際にほとんどの学生たちの履歴書には「学業で力を入れたこと」にゼミ活動が記載されており、長期にわたる取り組みが、学生ひとり一人の大きな力と自信になっているようです。キャリア支援課では「履歴書に資格の肩書を並べるよりも、サークル活動でもアルバイトでも、企業の面接担当者に胸をはって話せる経験の方が大事」だと話しています。

筆記試験対策と新たな取組み

就職活動に避けて通れないのが筆記試験です。これだけは学生が自分の力で突破してもらうしか方法がありません。そこで今年度から、3年生の筆記試験対策講座を単位取得科目に改めました。本学の黎明期には、現在では考えられないような企業の就職実績がありましたが、開学当時の志の高い卒業生に続きたいという思いもあります。

またキャリア支援課としては、企業との繋がりをより強固なものにするためにも卒業生をより活用した支援体制を今後も整えたいと考えています。現在も企業の合同選考会などには人事担当者のほか、本学卒業生の社員の方にも同席してもらうよう、積極的にリクエストしています。

全学をあげて学生を応援

多摩大学

就職活動を楽しんで取り組めればそれに越したことはないのですが、どうしても辛いことに遭遇します。学生が辛くなったときに、「ひとりじゃないよ。先生方も職員もみんな君を応援しているよ」というフォローがとても大事だと考えています。これからも学生に信頼され、気軽に来て話をしてもらえるキャリア支援課にしてゆく所存です。