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【これからの日本を変えるこの分野 日本獣医生命科学大学 獣医学部獣医保健看護学科】日本の獣医療の新たな黎明期を担う 動物看護師の今日

動物看護師の在り方を、従来の獣医療の補助的な存在から、獣医師とともに、自律的に獣医療行為を担う存在に地位を向上させていくためにも、この職業の国家資格化が重要であると唱える、日本獣医生命科学大学の左向敏紀教授にお話を伺った。

“国家資格化を見すえた人材育成、動物看護のレベルアップを目指して

チーム獣医療体制を確立するために

【これからの日本を変えるこの分野 日本獣医生命科学大学 獣医学部獣医保健看護学科】

家庭で飼育する犬や猫、いわゆる"伴侶動物(コンパニオンアニマル)"の寿命が格段に伸びている。
獣医療の高度化、ペットフードの高品質化などにより、15年以上生きる犬や猫も今では珍しくはないそうだ。寿命が伸びたことにより罹る病気も人間と同様、糖尿病、白内障、心臓病などさまざまで、痴ほう症にかかる犬もいるという。  「日本の獣医療は、高度化が進んでいるとは言っても、欧米にはまだまだ及びません」と日本獣医生命科学大学獣医学部獣医保健看護学科の左向敏紀教授は語る。欧米では獣医師と資格を持った動物看護師の"チーム獣医療体制"が確立されており、人の医療制度と変わらないという。

「日本では動物看護師の業務範囲を規定した法律が、まだありません。そのため、どこまで獣医療に関わるかは動物病院によってまちまちで、チーム獣医療体制が確立された動物病院はまだまだ少ないのが現状です」。

日本獣医生命科学大学が獣医学部に獣医保健看護学科を開設したのは今から10年前。

「本学では、2003年に動物看護師養成のため2年制の動物保健学別科を開設しましたが、2年後の2005年に、動物看護師資格の国家資格化を見すえて4年制の獣医保健看護学科に改組しました」と話す。

その後、国家資格化対策の一環として2011年に、全国の動物看護師を養成する学科を持つ大学や専門学校、獣医師会などが中心となり、さまざまな団体が独自の基準で認定してきた資格を一本化するため「動物看護師統一認定機構」を設立し、2013年に初の統一認定試験を実施した。

最終目標とする国家資格化に向けて

【これからの日本を変えるこの分野 日本獣医生命科学大学 獣医学部獣医保健看護学科】

「認定動物看護師資格」はまだ国家資格とはなっていないが、最終目標とする国家資格化に向けて、大学や専門学校のカリキュラムを統一する作業が、動物看護師統一認定機構により進められてきた。左向教授はカリキュラム委員長として統一化に尽力してきたひとりだ。

動物看護師を養成する4年制大学は全国に6大学あり、毎年合わせて約500人の動物看護師が誕生している。また、修業年限が大学より短期で学校数も多い専門学校では、毎年約2,000人が資格を取得しているという。しかし、2016年以降は、認定動物看護師の受験資格はこの統一カリキュラムを受けた者だけに限られるようになる。

「従来の獣医療の補助的な存在ではなく、チーム獣医療を担える動物看護師が必要とされているのです。国家資格化は動物看護師の社会的地位の向上と待遇改善のためにも重要です」と教授は唱える。

さらに、「本学が、チーム獣医療を担える動物看護師を育成している大学であることを認知してくれている動物病院に、卒業生を就職させたいと思っていますし、世の中が徐々にそうなってきています。本学では、今までに約700人の卒業生を輩出していますが、大卒新規採用者の3年目離職率が上昇傾向にある中、ずっと同じ動物病院に勤め、子供ができても離職せずそのまま働いている卒業生もいます」と話す。

動物看護師は、これからも職種として伸びて行く

また、最近の良い兆候として、ある国立大学が、動物看護師を養成する学科の開設に興味を寄せているという。
「国立大学に養成学科ができれば、国家資格化への良い弾みになるので、期待しています」。

教授は今後の動物看護師の未来を次のように語る。
「犬猫を飼っている家庭の数は、ここ数年ほとんど増加していませんが、動物にかける金額は、獣医療にかかる経費を含めてここ15年で1.7倍にも増加しています」。

これは少子化により、ひとりの子どもにかける金額が増大している人間社会の現象と酷似している。
「だから、これからも職種として伸びて行くし、必要とされています。入院した動物に飼い主さんが付き添える病院設備を望む声もあがってきています」とこれからの施設の在り方も教授は見つめている。

「卒業生には、本学で得た知識を、動物病院に限らず、ペットフードを開発する企業や野生動物を守る公務員など、さまざまな分野で活かしていってほしいと思います。また、次の世代を育てていく動物看護系の教育者にもなっていってもらいたいです」。日本の獣医療は、新たな黎明期を迎えているのかもしれない。

日本のココが変わる

保健医療学部鍼灸学科 学科長 高倉伸有 教授

獣医師の仕事の一部を動物看護師が担うことで、獣医師が、もう一段階上の高度な仕事がきるようになります。そうなると、獣医療のレベルが全体的に上がることにつながります。獣医師と動物看護師が連携する構図ができあがれば必ず、日本の獣医療の質はさらにあがってくると思います。

獣医学部獣医保健看護学科獣医保健看護学臨床部門
左向 敏紀(さこう としのり) 教授

昭和55年 日本獣医畜産大学獣医畜産学部獣医学科卒業、平成元年 獣医学博士の学位を取得(日本獣医畜産大学)、平成18年 日本獣医生命科学大学獣医学部獣医保健看護学科教授、現在に至る