進路指導インタビュー・レポート ぐんま国際アカデミー|大学Times

進路指導インタビュー・レポート ぐんま国際アカデミー

ぐんま国際アカデミー

URL : http://www.gka.ed.jp/

群馬県太田市にある私立の小中高一貫校(2005年設立)。英語イマージョン教育による学習を通して真の国際人を育成することを目指す。高等部では国内大学進学コース、海外大学進学コースを用意し、生徒一人ひとりの希望に合わせた学習を行う。世界110カ国以上の大学で入学資格として認定されている、国際バカロレアディプロマプログラム(IBDP)の認定校。

ぐんま国際アカデミー “GKA!Go Global Fair 2017”
小中高一貫の「英語イマージョン教育」×IBDPプログラムでグローバル人材育成に力を注ぐ高等学校の取り組み

2017年6月2日(金)、群馬県太田市のぐんま国際アカデミーで”GKA!Go Global Fair 2017”と称する合同進路説明会が開催されました。これは同校卒業生による基調講演と海外大学を含む12大学、3つの留学機関、2つの関係団体等による説明会で構成され、生徒はそれぞれに興味のある学校や団体の話を聞いて、自分自身の進路について真剣に考えていました。

同校は国際バカロレアディプロマプログラム(IBDP)の認定を受けた一条校です。同プログラムはグローバル人材を育成する効果的な教育手法として注目され、日本政府は国際バカロレア認定校(ディプロマプログラム)を2018年度までに200校に増やすことを目標として取り組んでいます。同プログラムの元で特徴的な教育を実践するぐんま国際アカデミーに、その取り組みについて聞きました。

―Q1.ぐんま国際アカデミー(以下、GKA)はどのような学校ですか。

ぐんま国際アカデミー
学校について語る
中・高等部校長の吉田先生

GKAはグローバル化する社会に対応できる人材を育て、日本の教育の未来を指向する学校です。初等部から高等部まで12年間の一貫した教育を行っています。2011年には国際バカロレア(※1)ワールドスクールの認可を受け、IBディプロマプログラム(DP)(※2)の実施が認証されました。

計画当初は「英語に傾くのは日本の文化や伝統に対する挑戦である」ということで批判を受けることもありましたが、GKAが掲げる教育理念は、国や大学が掲げる教育の方向性と一致しています。英語イマージョン教育(※3)、クリティカルシンキング能力の育成を柱に日々の教育を実践することで、国内外で活躍できる自立した有用な人材を輩出できるよう努力しています。

―Q2.英語イマージョン教育とはどのような教育手法ですか。

英語イマージョン教育とは、様々な教科の内容を英語で学ぶ学習方法です。GKAでは初等部から英語イマージョン教育を採り入れています。これは、英語を学ぶことが目的ではなく、英語で知識や概念を習得することが根底にあります。

日本の子どもたちが小学校卒業時に日本語の新聞記事を読解するのは難しいものです。それは知的関心が高まっていないことに加え、語彙・表現能力が伴っていないからです。GKAでは小学校6年時に自分の考えを英語でディベートできるようになることを目指しています。そして、中・高等部においてより高度な内容を英語で学習することで、真のバイリンガルになることが目標です。

―Q3.IBDPのカリキュラムに「知識の理論(Theory Of Knowledge:以下、TOK)(※4)」があります。具体的にどのような授業が展開されるのでしょうか。

ぐんま国際アカデミー
TOKの理論について語る
進路指導主事の桐生先生

TOKはIBのカリキュラムのなかで課題論文(EE)(※5)創造性・活動・奉仕(CAS)(※6)と並び、コア科目と呼ばれるもののひとつです。英語や数学、社会等の科目を横断して、そもそも知識とはなにかということについて考えます。日本の通常のカリキュラムだと、教科書に書いてある事が基本的に正しい知識として与えられますが、まずはそれらを批判的に捉える視点を育むためのものです。それぞれの科目における知識とは一体どのようにつくられたのかを考えるのです。

通常の理科の授業では、植物は二酸化炭素を吸って酸素を出すことを知識として習います。証明するための実験を行うこともあります。しかしTOKでは、私たちはこの事象について本当に正しいと知っているのかを考えるのです。社会科では死刑制度の是非を問う問題を取り上げるかもしれません。これはTOKでは入口の議論になります。そこからさらに、私たちは人を殺めてはいけないことを知っているが、それはなぜだろうということを考えるのです。私たちはそのことをどのように知るのか、価値観や制度というものをどこから知るのか、あるいは倫理やロジック、直感や感情はどのような役割を果しているのかについて掘り下げていくことになります。

他には、理科における知識のつくられ方と歴史における知識のつくられ方は何が違うのを考えることで、科目の内容そのものではなく、大学生活や社会生活で新しく知識を得る時の姿勢そのものを身につけることができるようになります。

正解がないので生徒も最初はとまどうことがあります。議論をしたあとで、日本の授業でいう「まとめ」をせずに授業を終えることも多いので、そのスタイルに慣れる、もしくは価値を感じるというところにマインドセットを切り換えさせることは大変です。しかしTOKでの学習を通して、ある学びのなかで知識を得る時には必ずそこに特定の視点が介在しているということに生徒は気づきます。自分の知識に対して持っている視点を客観視することで、より多様な価値観を受け入れられる人間になるのです。これは、IBの目指す全ての人と共存できる社会を創るという理念にもつながります。

―Q4.GKAのIBコースの学びの特徴について教えて下さい。

IB校とひと口に言っても、一条校もあればインターナショナルスクールもあるので、学校によって取り組んでいることは様々だと思いますが、GKAのIBコースでは、日本語を除く全ての教科を英語で展開することがアイデンティティーになっています。これについては、同じ一条校でも他の学校のIBとは大きく違うところです。

他の学校ではIBコースとそうでないコースを切り離しているところもあります。入試の段階から分かれている学校もあります。そのため、IBコースの生徒と他の生徒が交流する機会がほとんどないということを耳にします。GKAの場合、初等部からの一貫教育です。全生徒が英語イマージョン教育のもとで10年間一緒に学びます(高校2年生の段階でIBコースが選択可)。コースが分かれたあとも学校行事やクラスなどは一緒に行いますので、IBで学習している生徒も学習指導要領で学習している生徒も、互いの学びを交流させる機会が常日頃からあるのもGKAの特徴だと思います。

具体的には、IBコースではない生徒に対してもIBのコアカリキュラムであるCASを応用して、積極的に課外活動に取り組んだり、探求的な活動を授業に取り入れたりしています。受験勉強のなかにTOKのエッセンスを入れることもできます。これはIBコースと普通のコースの授業を兼任している教員が多いからこそできることです。一方のコースのエッセンスをもう一方のコースに転化しやすい土壌があるのは大きな特徴でありメリットだと思います。

―Q5.本日実施している「GKA!Go Global Fair 2017」でも、両コースの生徒が一緒になって参加されていますね。このイベントは生徒の進学意識向上やモチベーション向上にどのようにつながっていますか。

生徒がよい影響を受けているのは確かです。卒業生が基調講演で自分の思いや考え、経験を話す姿に在校生は大いに刺激を受けています。いまの高校2年生や3年生の話を聞くと、去年のイベントで話を聞いた学校を志望校に定めた者もいます。

私たち教員の立場からみると、卒業生が在学中に様々な悩みや思いを抱えて学校生活を送っていたこと、そしてそれらを乗り越えてきたということに基調講演の内容を通して改めて気づくことができます。そういった意味でも非常に有意義で価値のあるイベントだと思います。

自分の将来を具体的に考える機会は他にも用意しています。東京で開催される留学関係のフェアに参加したり、先輩を呼んで自分自身の体験談などを語ってもらう場をセッティングしたりしています。

こうしたイベントは確実に生徒のモチベーションを高めてよい結果を生みだします。今年は文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」のプログラムに9名もの合格者を輩出することができました。このプログラムでは自分自身の留学目的に合わせて渡航先や滞在期間などの留学計画書をゼロから作成する必要があります。さらなる成長を促すことができるでしょう。このような活動を通してたくましく成長する生徒の姿を見るのが楽しみです。

進路指導インタビュー・レポート ぐんま国際アカデミー
真剣な様子で学校説明に耳を傾けるGKA生

―Q6.グローバル時代で力を発揮する人材を育成するにはどのような教育が必要だと考えますか。

日本の教育を変えていかなければいけないということは、以前から議論され続けてきました。そのなかで掲げられているグローバルな世界で求められる力や方向性は間違っていないと考えています。要は、求められている能力を養うための教育を日々の活動でどれだけ実践できているかということが大切になります。そこに向かって徹底的に取り組まなければ、これからも何も変わらないでしょう。

大学入試改革が注目されていますが、入試が変わるから教育内容を変えなければという意識ではいけないと思います。世の中が変化していくことに対する意識をどれだけ多くの教員が強く持てるかどうかということが重要です。教員同士で授業の中身やスタイルについて、「検索すれば分かるようなことは教えるのをやめよう」とか「主体的に考えさせるという時点で主体的でなくなるよね」などと、よく議論することがあります。つまり、私たちはもっと教師の役割について考えなければいけないということです。

学校の役割は20年前、30年前と比べて大きく変化しています。学校以外にも学びの場が多くある時代です。様々な場所にアクセスして知識を得られる時代です。そのなかで、教師がいかに子どもたちと社会をつなぐコーディネーターになれるかどうか、いかに子どもたちが考えたくなるような問いを投げかけられるかどうかに、教師の役割があるのではないでしょうか。教師が「教える」というスタンスからいかに脱却できるかです。50分の授業のなかでそれをうまく実践するためには、教員は相当な準備をして臨まないといけないでしょうね。

―Q7.新しい大学入試の話題が出ました。センター試験が大学入学共通テスト(仮)として生まれ変わることは、IBプログラムで学んだ生徒にはどのような影響を与えると考えますか。

発表されている情報や資料を見て、正直なところ「やった!」と思っています。これは本校の生徒にとって強い追い風となります。新しいテストで測ろうとしている能力は、まさにIBプログラムの中で養おうとしているものと同じだからです。

英語イマージョン教育で取り組んできた生徒たちは、いわゆる受験英語で求められる力とは別の部分に強みを持っています。このような生徒たちの力を評価してもらうために、以前は入試制度を選ぶ必要がありました。しかし、たとえば英語の4技能を測ろうとしていることは、彼らの力をそのまま生かすことができるようになります。さらに、多面的・総合的評価がなされることに対する、語るための経験の蓄積、それらを堂々と語る力も常日頃から意識して取り組んでいることです。新しい入試だからといってなにか対策を練ることや特別な取り組みをしなければいけないということはありません。

―Q8.2017年3月に初等部1年生から12年間学んだ生徒が卒業。2018年は同校を卒業した大学生が社会に出る年になります。学校の真価が問われる時代を迎えるなか、今後の展望や目指すべきところを教えて下さい。

学校としては、課題を一つひとつ解決することを積み重ねながら子どもたちを教育していくことで、必ず前進していけると信じています。そのなかで巣立っていった卒業生たちは、社会に出て様々な舞台で大いに活躍してくれるはずです。今日の卒業生による基調講演からも、彼らが自分の定めた目標に向かって努力していく姿を十分に窺い知ることができました。大人になって社会に出ても、様々な場面でGKA生同士がつながって協力し合い、世の中を動かすような存在になってくれたらと願っています。「私も、僕も、GKA生でした!」と自信を持って活躍してくれるはずです。

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卒業生による基調講演の様子

【キーワード】

1 国際バカロレア(IB)
1968年にスイスのジュネーブで誕生した教育プログラム。多くの国際機関があるジュネーブでは、様々な国籍の子どもたちが共に学んでいたため、世界共通の成績証明書を作ろうという動きから生まれた。「全人教育」を理念として掲げる。
2 国際バカロレアディプロマプログラム(IBDP)
IBの4つのプログラムの内、16歳〜19歳を対象とする教程。所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)が取得可能なプログラム。DPが取得可能な日本の学校は一条校で17校、一条校以外で15校。ぐんま国際アカデミーは日本で5校目のIBDP認定校。
3 英語イマージョン教育
様々な教科の内容を英語で学ぶ学習方法。英語を学習することが目的ではなく、その言語環境下である教科を学び知識や概念を習得すること。Immersion=浸すこと。
4 知識の理論(Theory of Knowledge)
「知識の本質」について考え、「知識に関する主張」を分析し、知識の構築に関する問いを探求する。批判的思考を培い、生徒が自分なりのものの見方や、他人との違いを自覚できるよう促す。
5 課題論文 (Extended Essay)
履修科目に関連した研究分野について個人研究に取り組み、研究成果を論文にまとめる。
6 創造性・活動・奉仕(Creativity・Activity・Service)
創造的思考を伴う芸術などの活動、身体的活動、無報酬での自発的な交流活動といった体験的な学習に取り組む。

文部科学省「国際バカロレアのプログラム」、ぐんま国際アカデミーホームページより抜粋