進路指導インタビュー・レポート 成城高等学校|大学Times

進路指導インタビュー・レポート 成城高等学校

成城高校の進路指導

成城高等学校
成城高等学校
進学指導係主任
及川謙(おいかわけん)先生

―進路指導での取り組みを聞かせてください。

及川先生 : 長い伝統の中で培われた“勘と経験で行われている進路指導”がこれまでの成城高校の進路指導と言えると思います。しかし、去年の春に栗原卯田子校長が就任して以来、進路指導をしっかり体系化しようという方針を定め、進学係を中心に改革をスタートしています。
これまでに各学年、教員ごとに局所的に行われていた指導を体系化するため、中学1年から高校3年の6年間を通して、通常の学習活動はもちろん、学校行事、部活動などの教育資源を絡めて、可視化できる共有財産を作ることを目的としています。

―その改革の一環として、実行されたものはありますか?

及川先生 : 例えば、本校では高1〜3の夏と冬に「進学講習」が行われるのですが、これまでは学年ごとにどういった講座を開設するかを決めて、担当者を立て、生徒の募集をかける、つまり学年クローズドの行事でした。しかし、そうすると講師の都合がつかないために、ある講座が開設されないなど、どうしても限界がありました。そこで別の学年の教員や非常勤講師も含めて対応するなど、成城という学校全体で指導していくかたちに変えました。

―今後、進路指導で取り入れていきたいことはありますか?

及川先生 : まずは進路指導のシラバス(全体計画)をしっかり作りたいと考えています。「この学年のこの時期にはこんなことをする」という明瞭なものを作りたいです。

―来年130周年を迎える大変歴史のある御校ですが、今回シラバスを作ろうとするきっかけはなんだったのですか?

及川先生 : 外部的な要因が挙げられますね。10年ほどの単位で競合する男子校と比較しますと、進学実績を見たときにずいぶん改善された学校がみられます。成城高校は落ち込んでいるわけではないのですが、ずっと同じような数字が続いています。そういった数字だけを強調するわけではありませんが、受験生や保護者の方などは注意を払うデータですので、改善しなければならないところであると思います。

もちろんこれまでも教育資産としていいものはたくさんありますし、学年ごとに実施されることの良さもありますが、やはりいいことはみんなで共有したいですね。それでずいぶん変わるのではないかと考えています。

―足並み揃えて改革を進めるのは大変なことですから、ご苦労もされていると思います。

及川先生 : そうですね。たしかに新しいことを始めるとなると、仕事の負担が増えるのではないかとネガティブに捉えてしまう者もおります。しかし、ひとつベースを作ってしまえば、事務作業や教育の準備も簡略化することが可能です。面白いことに、進学係と教科主任で話し合いを重ねることでひとつの進路指導のパターンとしてイメージができるようになると、周りからも理解や協力が得られるようになりました。 夏期講習は180講座用意したのですが160講座が成立し、希望者が多く分割したものを含めると、延べ170講座を開設する予定です。これはひとえに教員の理解と協力の結果だと思っています。

―今、御校の進路計画は完成にむかってどのレベルまで進んでいると思いますか?

及川先生 : きっと完成ということは永遠にないだろうと思います。進路指導で言うならば、やはり大学進学実績に対するテコ入れと、中学1年から高校3年の学習活動のテコ入れ、つまり学力の向上との二本柱だと思います。前者については形が見えてきたように思うので、後者への取り組みにも注力していきたいです。

―御校の進路指導の一助として、今回の進路説明会はどのような位置づけですか?

及川先生 : 2年前に私が高校2年生を担当していた時に実施を始め、今回で3回目となります。導入する際には事前の段階で反対意見がなかった一方で、あまり関心も払われていなかったように思います。つまりどういったものかというイメージが教員の中になかったので、良いも悪いもない感じでした。しかし一度実施してみると「良いイベントだった」という意見が教員の間で多く挙がったため、次年度以降も継承されています。

今年はこの時期(6月)に学部・学科理解の進路説明会を実施しましたが、以前はとくに理由もなく11月に開催していました。しかし、進路説明会の内容を加味した上でオープンキャンパスに参加したり、国私のコース選択をしたり、生徒に意識の変化を与えるためにもっと早く実施をしたほうがよいという提案があがりました。前述したように進路指導の体系化も検討している段階なので、流れのある指導を考えた場合、6月に実施することがベストだということになりました。高校2年の夏休みをどのように過ごすかはとても重要なことだと思うので、私としてもこの時期に実施できたことは非常によかったと思っています。

―先ほど生徒さんに進路を伺いましたが、2年生は東京大学志望者が多いようですね。

及川先生 : 志望校の動向はここ数年大きな変化はないように思います。それにこちらとしてはやみくもに有名大学に入学させたいと思っているのではありません。校長の言葉でもあるのですが、それぞれの志望の実現が第一です。その中で国公立大学、難関私立大学希望者が増えるのは良いことだと思っていますが、学校全体での数値目標の話や共有はしていません。

しかし、進路指導計画を考えていくうえで、教育感、理念について話し合うことは避けて通れないことだと思います。これまでは大枠についての暗黙の了解のもと、それぞれのイメージで教育、進路指導を行ってきたため困難を極めることだと思いますが、その中で数値目標の良し悪しなど考えればいいのではないでしょうか。

―最後に、改革の次のアクションがありましたらお聞かせください。

成城高等学校

及川先生 : これまではガイダンスや予備校の講師を招いての進路講演会を行い、生徒全員に同じ情報を流せば事足りると思っていました。しかし、実際はその生徒がどういった分野を目指すかでどんな勉強をすればいいかなど、取り組む姿勢が異なるのです。そこで現在少しずつ取り組み始めているのですが、3つほどの大学群を抽出して、国公立大学、早慶、医学部医学科の志望者に声をかけて、同じ志望を持つ者どうしのグループ作りと、彼らに対する個別具体的な進路指導とを目的としたガイダンスを考えています。大学について、入試科目や勉強する上で留意したほうがいいこと、個別の質問に乗っていただくということを考えています。

もうひとつは、教員による模擬試験の分析ですね。本来は進学先の状況に応じて教員が行うものですが、現状アウトソーシングに頼ってしまっています。そのため教員が模擬試験の結果や分析能力を持たなくてもよくなってしまっているので、教員も模擬試験の結果を分析できる眼を身につけようとしています。最初はおそらくナンセンスなものになるかもしれませんが、学年クローズドではなく学校全体で見ていくためにも必要なことだと思います。そこから今春の卒業生の合否の状況、在学中の定期考査の成績、模擬試験の成績をまとめてデータ化したり、また在学生の場合は、ある教科が弱い場合はそれを浮き彫りにして、それに対して議論できるような体制を整えたいです。

―希望進路の実現を目指して、より綿密なサポート体制を準備しているということですね。本日はお時間いただきまして、ありがとうございました。